ベクトルの微分
ベクトルとその微分
高校では大きさと方向をもったベクトルを学びますが、ベクトルの微分を考えることができます。大学教養で学びますが、高校で学ぶ物理の力学でも平面座標にせよ空間座標にせよ、速度や加速度もその成分の微分を考えていることになります。ここでは、3次元ベクトルの微分を考えてみましょう。
関数 \(φ(x,y,z)\) の微分は、
\(dφ=\frac{ \partial φ }{ \partial x }dx+\frac{ \partial f }{ \partial y }dy+\frac{ \partial f }{ \partial z}dz\)
となりますが、偏微分は方向を表していますからベクトルです。そこで、この偏微分係数を次のようなベクトル演算子として表わします。
\(\nabla f= grad φ=\vec{i} \frac{ \partial φ }{ \partial x } + \vec{j} \frac{ \partial φ }{ \partial y }+ \vec{k} \frac{ \partial φ }{ \partial z }\)
\(\nabla \) の演算
流体が流れているように、点とそれに伴うベクトルから構成されている空間をベクトル場といいます。
\(\nabla \) もベクトルですから、スカラー積とベクトル積を考えることができます。
ベクトル \( \vec{R} = \vec{i}R_x + \vec{j} R_y+ \vec{k} R_z\) とすれば、
\(\nabla \cdot \vec{R}=div \vec{R} \)
= \( (\vec{i} \frac{ \partial φ }{ \partial x } + \vec{j} \frac{ \partial φ }{ \partial y }+ \vec{k} \frac{ \partial φ }{ \partial z })
\cdot ( \vec{i}R_x + \vec{j} R_y+ \vec{k} R_z)\)
= \(\frac{ \partial R_x }{ \partial x }+\frac{ \partial R_y }{ \partial y }+\frac{ \partial R_z }{ \partial z}\)
\( \nabla \times \vec{R}=rot \vec{R} =curl \vec{R} \) ですが、
\(rot \vec{R} = \nabla \times \vec{R} \)
=\( \vec{i} ( \frac{ \partial R_z}{ \partial y } - \frac{ \partial R_y }{ \partial z } )+ \vec{j} (\frac{ \partial R_x }{ \partial z }- \frac{ \partial R_z }{ \partial x })- \vec{k} (\frac{ \partial R_y }{ \partial x } - \frac{ \partial R_x }{ \partial y } )\)
=\(\begin{pmatrix}
\vec{i} & \vec{j}&\vec{k} \\
\frac{ \partial }{ \partial x } & \frac{ \partial }{ \partial y } & \frac{ \partial}{ \partial z} \\
R_x & R_y & R_z
\end{pmatrix}\)
のように表されます。これらのベクトルの微分はさまざまな物理量に応用されています。
例えば、電磁気学はマックスウエルにより、19世紀に後半に理論体系化されましたが、これにはベクトルの微分が使われています。
これらの微分方程式を解くことにより様々な電気的磁気的現象が理解できるわけです。
電束密度を、 \(\vec{D} \)、磁束密度を \( \vec{B}\) 、電場と磁場を、\( \vec{E} \vec{H}\) とすると、
マックスウエルの方程式はつぎのようになります。
\(div \vec{D}=ρ\)
\( div \vec{B}=0\)
\( rot \vec{H} = \vec{I}+ \frac{ \partial H}{ \partial t } \)
\(rot \vec{E} =- \frac{ \partial B }{ \partial t } \)