ベクトルの内積と外積
ベクトルについて
ベクトルの定義
ベクトルは、方向と大きさを持ったものとして定義されます。通常2次元ベクトルや3次元ベクトルが考えられます。一般的には、
\(n\) 次元で考えることができ、\(n\) 個の数値の組、\((a_1、a_2、・・・・・・・・、a_n)\) を \(n\) 次元ベクトルと考えます。また、方向を持たない大きさだけの物理量は、スカラーと言います。
ベクトルの演算
ベクトルを\(3次元\)直交座標で考えます。\(3\) 次元空間上で \(\vec{ a}、\vec{a}\) のように表します。
\(\vec{ a }\) の始点と終点の座標を、\((x_1,y_1,z_1)\)、\((x_2、y_2、z_2)\) とすれば、
\(\vec{ a} =(x_2-x_1、y_2-y_1、z_2-z_1)\) です。
また、\( \vec{ a_1 } =(a_1,a_2,a_3)、 \vec{ a_2} =(b_1、b_2、b_3)\) とすれば、
ベクトルの大きさは、\(\vert \vec{ a } \vert=\sqrt{a_1^2+a_2^2+a_3^2}\) 、\( \vert \vec{b} \vert=\sqrt{b_1^2+b_2^2+b_3^2}\)
ベクトルの加法は、平行四辺形を作る方法でできます。また、交換法則と結合法則が成り立ちます。
さらに、\(n\) 個のベクトル \( \vec{ a_1}、\vec{ a_2 }、・・・・・・・・・ \vec{ a_n } \) と
スカラー量 \(α_1、α_2、・・・・・・・・・、α_n\) があるとき、
\(α_1 \vec{ a_1 } +α_2 \vec{ a_2 }+・・・・・・・・・・+α_n \vec{ a_n } = \vec{ 0} \)
を満たす \(α_1、α_2、・・・・・・・・・、α_n\) が、\(α_1=α_2=・・・・・・・=0\) しかないとき
これらのベクトルは、1次独立であると言います。それ以外の時は一次従属と言います。
単位ベクトル
\(n\) 次元の直交座標で、\(n\) 個の軸にそった単位の長さ \(1\) のベクトルを、単位ベクトルと言います。
例えば、\(3\) 次元空間では、\( \vec{ e_1 } 、\vec{ e_2 } 、\vec{ e_3 }\) あるいは、簡単に 、\( \vec{i} 、 \vec{ j} 、 \vec{k} \) とあらわします。\(3\) 次元空間座標では、
\( \vec{i} =(1,0,0)、 \vec{j} =(0,1,0)、 \vec{k}=(0,0,1)\) となるわけです。
ベクトルの内積(スカラー積)
\( \vert \vec{ a } \vert と \vert \vec{ b } \vert \) のなす角を \(θ\) とするとき
内積(スカラー積)を次で定義します。
\(\vec{ a } \cdot \vec{ b }= \vert \vec{ a } \vert ・ \vert \vec{b} \vert ・\cos θ\)
また、内積を、座標成分で表すと、ベクトルでできる三角形に余弦定理を用いると、
容易に
\( \vec{ a } \cdot \vec{ b }= a_1b_1+a_2b_2+c_1c_2\) となります。
また、単位ベクトル \( \vec{i} 、 \vec{ j} 、 \vec{k} \) について、
\( \vec{i} \cdot \vec{j} = \vec{j} \cdot \vec{k} = \vec{k} \cdot \vec{ i} =0\) \( \vec{i} \cdot \vec{i} = \vec{j} \cdot \vec{j} = \vec{k} \cdot \vec{ k} =1\)
\( \vec{ a } =a_1 \vec{i} +a_2 \vec{j}+a_3 \vec{k}、 \vec{ ab} =b_1 \vec{i} +b_2 \vec{j}+b_3 \vec{k}\)
からも、 \( \vec{ a } \cdot \vec{ b }= a_1b_1+a_2b_2+c_1c_2\) となることがわかります。
ベクトル外積について
\( \vec{ a } 、\vec{ b } \) の両方に垂直で、大きさが\( \vec{ a } 、\vec{ b } \) ではる平行四辺形の面積
である \(\vec{c} \) をベクトル \(\vec{ a }、\vec{ b } \) の外積といい、
\( \vec{c}= \vec{ a } \times \vec{ b }\) とかきます。
単位ベクトルの外積から、
\( \vec{ a } \times \vec{ b } =(a_2b_1-a_3b_2) \vec{i} +(a_3b_1-a_1b_3) \vec{i} +(a_1b_2-a_2b_1) \vec{k} \)
あるいは、行列で書くと
\(\vec{ a } \times \vec{ b } \)=\(\begin{pmatrix}
\vec{i} & \vec{j}&\vec{k} \\
a_1&a_2&a_3 \\
b_1&b_2& b_3
\end{pmatrix}\)
となります。
\(\vec{ a } 、\vec{ b } \) のなす角を \(θ\) とすると、
\( \vec{ a } \times \vec{ b } = \vert \vec{ a } \vert ・ \vert \vec{b} \vert ・\sin θ \)
ベクトル積は、回転に関したところによく使われます。
点 \(O\) の周りを質量 \(m\) の質点が、\( \vec{ a } \) の速度で回転しているとき、
位置ベクトルを \( \vec{ r}\) 角速度を \( \vec{ ω } \) とすると、
\( \vec{ v}= \vec{r} \times \vec{ω} \)
また、角運動量を \( \vec{M} \) とし、角運動量を \( \vec{p}\)とすると、
\( \vec{M}= \vec{r} \times \vec{p}\) となります。
さらに、 \(\vec{ a } \times \vec{ b }\) の定義から 次のスカラー3重積
\(\vec{ a } \cdot (\vec{ b } \times \vec{ c}) \)
を考えることができます。
空間図形としては、\( \vec{ a } 、\vec{ b }、 \vec{c} \) ではる平行六面体を表し、
その大きさで、平行六面体の体積を求めることができます。