覚えておくとよい代数学の公式

入試で覚えたほうがいい代数公式

既に解析学に関する覚えたほうがいい公式については書きましたが、今回は代数学に関する公式についてまとめておきます。
解析学では、大学レベルのものも多々ありましたが、代数学ではほぼ高校レベルのものです。

(1)対称式

有理式 \(f\) を構成しているいくつかの文字のうち、任意の2文字を交換しても、\(f\) の値が変わらないとき、\(f\) を対称式と言います。
(a) 対称式は、その基本対称式で表せる。
すなわち、\(x,y\) の2文字では、\(x+y、xy\)、\(x,y,z\) の3文字では、\(x+y+z,xy+yz+zx,xyz\)
(b) \(x,y,z\) の対称式が \(x+y\) の因数をもてば、\(y+z、z+x\) も因数である。
(c) \(f(x,y,z)\) が対称式であるとき、\(α、β、γ\) が \(f(x,y,z)=0\) の解であるとき、\(α、β、γ\)の任意の交換
\((α、γ、β)、(β、α、γ)、・・・・・・・・\) も解である。

[例題]
\(f(x,y,z)=x(y+z)^2+y(z+x)^2+z(x+y)^2-4xyz\) の因数分解を考えてみましょう。
\(f(x,-z,z)=0\) から、\(f\) は、\(y+z\) を因数に持ちます。同様にして、
\(f\) は、\((y+z)(z+x)(x+y)\) を因数に持ち、\(f\) が文字に対して3次式だから、
\(f(x,y,z)=k(y+z)(z+x)(x+y)\) \(k\)は定数
そこで、例えば \(x^2y\) の係数を比較して、\(k=1\)
よって、\(f(x,y,z)=(y+z)(z+x)(x+y)\)

(2)交代式

有利式 \(f\) において、あるいくつかの文字のうち任意の2つの交換において \(f=-f\) になるとき
\(f\) をこれらの文字についての交代式といいます。

(a) \(x,y\) の交代式は、\(x-y\) で \(x、y、z\) の交代式は \((x-y)(y-z)(z-x)\) で割り切れる。

(3)因数定理

整数係数の多項式 \(f(x)=a_0x^n+a_1x^{n-1}+・・・・・・・・・・・+a_n\) が \(x-b/c\) を因数に持ち
\(b/c\) は規約とするとき、\(b\) は \(a_n\) の約数、\(c\) は \(a_0\) の約数である。

(4)よく使われる恒等式と不等式

\((a^2+b^2)(x^2+y^2)=(ax+by)^2+(ay-bx)^2\)
\((a^2+b^2+c^2)(x^2+y^2+z^2)=(ax+by+cz)^2+(bz-cy)^2+(cx-az)^2+(ay-bx)^2\)
(以上 ラグランジュの恒等式 といいます。)

\((a^2+b^2)(x^2+y^2)≧(ax+by)^2\) 等号は、\(ay=bx\)
\((a^2+b^2+c^2)(x^2+y^2+z^2)≧(ax+by+cz)^2\) 等号は \(bz=cy、cz=az、ay=bx\)
(以上 コーシー・シュワルツの不等式といいます。)

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