数ⅠAの問題・やや難-解答編-
数ⅠAの問題
すでに基本的、標準的な数ⅠAの問題をやりましたが、少しレベルの高い問題をやってみましょう。
数ⅠAの問題
【問題1】
自然数を要素とする空でない集合 \(G\) が次の条件を満たすものとします。
(1)\(m,n\) が \(G\) の要素ならば、\(m+n\) も \(G\) の要素である。
(2)\(m,n\) が \(G\) の要素で \(m>n\) ならば \(m-n\) も \(G\) の要素である。
このとき、\(G\) の最小の要素を \(d\) とすると \(G=( kd :kは自然数)\) であることを示してください。
(お茶の水女子大)
【解答1】
Ⅰ.\(k=1\) のとき \(kd=d \in G\)
Ⅱ.\(k=l\) のとき \(ldx \in G\) とすると、\(d\in G\) だから Ⅰ から
\(ld+d=(l+1)d \in G\)
よって Ⅰ、Ⅱから数学的帰納法より すべての自然数 \(k\) に対し
\(kdx \in G\)
逆に \(mx \in G\) とし、\(m\) を \(d\) で割ったときの商を \(k\) 余りを \(r\) とすると
\(m=kl+r (0≦r<d\)
ここで、\(r≠0\) とすると
\(m>kd\) \(m \in G\) かつ上記より \(kdx \in G\)
よって、\(r=m-kd \in G\) かつ \(0<r<d\)
ところが、これは \(d\) が最小の \(G\) の要素であることに反します。
従って \(G=( kd :kは自然数)\)
【問題2】
\(1+1/1!+1/2!+・・・・・・・+1/n!+・・・・・・・・\) は無理数であることを証明してください。
【解答2】
\(e=1+1/1!+1/2!+・・・・・・・+1/n!+・・・・・・・・\) が有理数であるとし \(e=m/N\) (m,N は自然数で \(N≧2\) であることを仮定すると
\(eN!\) は自然数であり \(eN!=N!+\displaystyle \sum_{ k = 1 }^{N} N!/k!+N!/(n+1)!+・・・・・・・・・・\)
ここで、 \(N!+\displaystyle \sum_{ k = 1 }^{N} N!/k!=M+1/(N+1)+1/(N+1)(N+2)+・・・・・・・・・・・\)
\(M=(N!+\displaystyle \sum_{ k = 1 }^{N} N!/k!\) は自然数です。
よって、\(eN!-M=1/(N+1)+1/(N+1)(N+2)+・・・・・・・・・・>0\)
\(eN!-M\) は自然数だから、 \(1≦eN!-M\)
一方 \(1/(N+1)+1/(N+1)(N+2)+・・・・・・・・・・<1/3+1/3^2+・・・・・・・・=1/2\) \(N≧2\)
となり矛盾します。したがって \(e\) は無理数です。
【問題3】
(1) \(f(x)\) は整数係数の \(x\) の1次以上の整式であり、整数 \(n\) が \(f(x)=0\) の解であるとします。このとき \(m≠n\) の任意の \(m\) に対して 整数 \(f(m)\) は \(n-m\) で割り切れることを示してください。
(2) 方程式 \(x^5-3x^3+23x^2+x-42=0\) の整数解をすべて求めてください。
(同志社大)
【解答3】
(1) 整式 \(f(x)\) の次数を \(p\) とします。\(f(x)\) は整数係数だから、
\(f(x)=a_px^p+a_{p-1}x^{p-1}+・・・・・・・・・・+a_0\) とおけます。
\(f(x)\) は整数係数だから、 \(f(m)\) は整数です。
また 条件より \(f(n)=0\)
よって \(f(m)=(m-n)(整数)\) より \(f(m)\) は\(m-n\) すなわち \(n-m\) で割り切れます。
(2)整数 \(n\) に対して \(f(n)=0\) とします。
(1) より \(n-0\) は \(f(0)=-42=-2・3・7\) の約数
\(n-1=n-1\) は \(f(1)=-20=-2^2・5\) の約数
\(n+1=n+1\) は \(f(-1)=-18\) の約数
これらから、上の3つを満たすのは、\(n=-3、2\)
\(f(-3)=0、f(2)≠0\) より \(n=-3\)
【問題4】
立方体のある頂点にマウスがおり1回ごとに頂点から隣の頂点に辺に沿って移動します。各頂点に立つごとにどの方向に進むかは等確立であるとします。
(1)このマウスが最初の頂点に戻るのは必ず偶数回目であることを示してください。
(2)\(2n\) 回の移動で最初の頂点に戻っている確率を \(p_n\) とするとき、\(p_n\) を \(n\) で表してください。
(奈良女子大)
【略解】
\(p_{n+1}=1/9・p_n+2/9\)
よって、\(p_n=1/4・(1+3(1/9)^n)\)
【問題5】
任意の自然数 \(n\) に対して \(28n+5\) と \(21n+4\) は互いに素であることを証明してください。
(大阪市立大)
【解答5】
自然数 \(p,q,r,s\) に \(q/p=r/p+s\) が成り立ち さらに \(p,r\) が互いに素であれば、\(p、q\) も互いに素になります。(背理法)
よって、\((28n+5)/(21n+4)=(7n+1)/(21n+4)+1\) ですから、\(21n+4\) と \(7n+1\) が互いに素を示せばいいことになります。
また、\((21n+4)/(7n+1)+3\) で \(7n+1\) と \(1\) も互いに素ですから \(21n+4\) と \(7n+1\) は互いに素です。
従って、題意は証明されました。