難関大数学演習-解答編-
2019年国立大学合格発表
国立大学前期の合格発表が始まっているようです。3月10日の東京大学、京都大学の合格発表で一段落します。後期試験もある国立大学もありますが、東京大学、京都大学、大阪大学などはは後期試験を実施していません。ここでは、東京大学、京都大学の数ⅠA,ⅡBの範囲の入試問題の演習をやってみましょう。もう来年2020年の入試は始まっています。
東大、京大の合格発表も終わりました。東大は、例年通り開成が合格数でNO1でした。理Ⅲもあいかわらづ常連校ですし、鉄緑の天下なのだと思います。多様性を求めないと、TVの東大王やクイズ番組で天才といわれるような人材が増えていくのでしょう。このような問題が解ける人は、クイズ王なのであって、天才では決してありません。どぎゃんかせんといかん。
難関大入試問題
【問題1】
定数 \(p\) に対して、3次方程式 \(x^3-3x-p=0\) の実数解のうち最大のものと最小のものとの積を \(f(p)\) とします。ただし、実数解がただ1つのときは、その2乗を \(f(p)\)とします。\(p\) が全ての実数を動くとき、\(f(p)\) の最小値を求めてください。
(東大)
【解答1】
与えられた式の実数解は、\(y=x^3-3x\) と \(y=p\) の共有点の \(x\)座標を表します。
1) 実数解が1つのときは、\(f(p)=実数解の2乗≧0\) だから \(f(p)<0\) にはなりません。
2) 実数解が複数存在するときは、明らかに \(f(p)<0\) だからこの時の最小値を求めればよいことになります。
図を考察することにより、\(f(p)\) の最小値は \(-3\) となります。
【問題2】
\(f(x)\) は\(x\) の3次式で、\(f(x)\) をその導関数 \(f'(x)\) で割ったときの余りは定数であるとします。このとき、\(f(x)=0\) を満たす実数解はただ1つであることを示してください。
(京大)
【解答2】
\(y=f(x)\) が単調関数であることを示せばいいことになります。
これを背理法でしめします。
\(y=f(x)\) が単調関数でなければ、3次関数だから、極大値と極小値を1つずつもつから、極大点を \(A\)、極小点を \(B\)とします。
そして、 \(AB\) は\(x\)軸に平行ではない から \(f'(x)=0\) は異なる2つの実数解を持つことになります。これを \(α、β\) とします。
題意から、\(f(x)=f'(x)h(x)+c\) ・・・・・・① とかけ \(y=f(x)、y=f'(x)\) はともに、\(A,B\) を通るから \(y-f(x)+f'(x)h(x)=0\)・・・・・・・②
となり、②は\(A,B\) を通ります。ここで、①より、\(y=c\)となり、矛盾します。よって、実数解はただ1つです。
【問題3】
\(k\) は \(k>0\)の実数とします。\(xy\)平面上の2つの曲線 \(y=k(x-x^3)、x=k(y-y^3)\) の交点 \((α、β)\) をもち \(α≠β\)とします。交点 \((α、β)\) が第一象限にあるときの \(k\) の範囲を求めてください。
(東大)
【解答3】
答え:\(k>2\) 解説 to be contined
【問題4】
\(△ABC\) の周上の2点 \(P,Q\) を結ぶ線分 \(PQ\) で三角形を2等分するものとします。このような線分 \(PQ\) の長さの最小値を求めてください。\(BC,CA,AB\)の長さをそれぞれ \(a,b,c\) とし、\(a>b>c\) とします。
(東大)
【解答4】
\(AP=x、AQ=y\)とおきます。また求める\(PQ=L\)とします。
\(P\)が \(AC\) 上 \(Q\) が \(AB\)上にあるときは、
面積の条件より、\(1/2・bcsinA=2・1/2・xysinA\) となりますから、\(xy=1/2・bc\)
\(PQ^2=L^2=x^2+y^2-2xysinA=(x-y)^2+2xy(1-cosA)≧bc(1-cosA)=2(s-b)(s-c)\)
ただし、\(2s=a+b+c\) とします。
\(PQ\)が他の辺上にあるときも同様にして、\(L^2≧2(s-a)(s-b)、L^2≧2(s-c)(s-a)\) となります。
ここで、\(a>b>c\) ですから、\((s-b)(s-c)>(s-c)(s-a)>(s-a)(s-b)\) となるので、\(P,Q\)を\(BC上、CA上\) に \(x=y=\sqrt{ab/2}\)にとれば \(PQ\)の最小値は、
\(\sqrt{2(s-a)(s-b)}\) となります。
ここで、\(a>b>c>a-b\) ですから、\(a<2b\) よって、\(\sqrt{ab/2}<b<a\) となるから、上記の条件になるのは実現可能です。
従って、最小値は \(\sqrt{2(s-a)(s-b)}=\sqrt{(b+c-a)(c+a-b)/2}\) となります。