アインシュタインの最後の宿題
アインシュタインの相対性理論
アインシュタインは、1905年に特殊相対性理論を、1915年に一般相対性理論を発表しました。特殊相対論では、等速運動する慣性系においては、物理法則は不変、光速度不変の原理から成り立っています。また特殊相対論の空間論は、4次元ミンコフスキー空間で表されます。また一般相対性理論では、重力を時空の性質と解釈しました。そして有名なアインシュタイン方程式が提唱されました。これは、いわゆるテンソル式で表され、次のようなものです。
\(G_{μν}=8πG/c^4・T_{μν}\)・・・・・・・・・・・・・①
アインシュタインは、1922年にノーベル物理学賞を受賞しましたが、これは光電効果の発見に対してであって、相対性理論ではありませんでした。理論が時代を先駆けるものであり、実証できていなかったからです。
アインシュタインの最後の宿題
①のアインシュタイン方程式を解くと、いろいろ物理的な予想ができました。アインシュタインはその方程式を解くことによって実際に予想をしました。
①式で、\(G_{μν}\)はアインシュタインテンソルと言われています。
(1) 重力レンズ効果
重力場のなかでは、光が曲がって進む。
(2) 重力による光の赤方偏移
重力により、光の波長が引き伸ばされる
(3) ブラックホールの存在
方程式のシュバルツシルド解として知られています。
そのほかにもありますが、すでに発見ないし観測されていますが、最後に残ったものが重力波の存在でした。
重力波を考える前に電磁波を考えてみましょう。
電磁波は、光速で伝播する電磁場の変動のことで理解できます。電磁気学は、マックスウエルの方程式で表され、その波動解で表されます。そして、電磁波は電荷の加速度運動によって生成されます。また、物質によって吸収や散乱をうけます。
一方重力波は、光速で伝播する時空の歪です。そして、アインシュタイン方程式の波動解として導かれるのです。重力波は、質量の加速度運動により生成され、物質に対して強い透過力をもちます。
電磁波は、1888年にヘルツにより実証されましたが、重力波は長い間発見されなかったのですが、2015年にアメリカのLIGOでブラックホール連星の合体による重力波を検出され、アインシュタインの最後の宿題が解かれ、2017年のノーベル物理学賞になったのはよく知られていると思います。
重力波の観測は今も続けられており、より進んだ素粒子論の構築に懸命の努力がなされています。