多面体の問題-解答編-

正多面体について

正多面体は、よく知られているように、正4面体、正6面体、正8面体、正12面体、正20面体の5種類が存在することが知られています。また、この5種類以外に正多面体は存在しないことも知られています。また、凸多面体の頂点の数を\(v\)、辺の数を\(E\)、面の数を\(F\)とすると、有名なオイラーの多面体定理が成り立ち、\(V-E+F=2\) であることが良く知られています。証明は数学的帰納法を使う方法など、いろいろ知られています。ここでは、多面体に関する問題を考えてみましょう。入試問題にも出題された問題です。

凸多面体に関する問題

1辺の長さが\(1\)である正5角形と正6角形があるとします。これらを組み合わせてできる凸多面体の表面積を求めてください。ただし、正5面体は互いに隣り合わないものとします。

(注)問題文は短いですが、数学的にきちんと考えることが要求されます。問題の本質は、表面積を求めることですので、途中の誘導過程は省略します。

【解答】

この多面体の正5角形の面の数を\(m\)、正6角形の面の数を\(n\)とします。
1つの頂点に共有される面の数は、\(3\)つですから、\(V=(5m+6n)/3\)となります。また、1つの辺に共有される面は\(2\)つですから、\(E=(5m+6n)/2\) です。また面の数は、明らかに\(F=m+n\)です。従って、オイラーの多面体定理 \(V-E+F=2\) にこれらを代入すると、
\((5m+6n)/3-(5m+6n)/2+(m+n)=2\) となりますから、これから、\(m=12\)となります。
また、1つの正5角形の周りには、5つの正6角形が接し、1つの正6角形は3つの正5角形に接していますから、\(n=5m/3=20\)となります。

ここで、正6角形と正5角形の面の数がでたので、あとは、1辺1cmの正6角形と正5角形の面積を求めればよいことになります。
正6角形の面積\(S_1\)、正5角形の面積\(S_2\)とすると、
\(S_1\)は容易で、\(S_1=6・1/2・1^2・sin60°=3\sqrt{3}/2\)となります。

\(S_2\)については、底辺が1で対する角度が、\(360°/5=72°\)である2等辺3角形の面積\(s\)が求まれば、その5倍が正5角形の面積\(S_2\)となります。
\(α=72°\)とおき、2等辺3角形の1辺を\(r\)とすると、\(sinα\)と\(r\)が求まればいいことになります。

ここで、\(5α=360°\)ですから、\(2α+3α=360°\) 従って \(sin2α=sin(360°-3α)=-sin3α\)
\(2sinαcosα=-3sinα+4sin^3α\) ⇔ \(4cos^2α+2cosα-1=0\)
よって、\(cosα>0\)から、\(cosα=(\sqrt{5}-1)/4\)
また、\(sinα=\sqrt{1-cos^2α}\) =\(\sqrt{10+2\sqrt{5}}/4\)
次に\(r\)ですが、余弦定理(ないし正弦定理)を使って、
\(1^2=r^2+r^2-2r^2cosα\) から、
\(r^2=1/2(1-cosα)=(5+\sqrt{5})/10\)
よって、\(S_2=5×1/2xr^2xsinα=5・1/2x(5+\sqrt{5})/10x\sqrt{10+2\sqrt{5}}/4\)
=\(\sqrt{(25+10\sqrt{5}})/4\)

従って、求める表面積は、
\(20S_1+12S_2=36\sqrt{3}/2+3\sqrt{25+10\sqrt{5}}\) \((cm^2)\)・・・・・・・(答)

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