入試数学とは-解答編-

入試数学

これまで出題された入試問題は、数え切れない問題があると思います。多分過去問は星の数ほどあると思われます。しかしながら、学ぶべき項目にはそれほど差があるわけではなく、その基本となるものは同じだと思います。そのような問題を解いてみましょう。ここに取り上げた問題は、かつて東京大学で出題された問題です。易しいとみるか、それ相応の問題とみるか。意見は分かれるでしょうが、それなりの問題ではあります。入試数学とは

入試数学の問題

【問題1】

\(x_1,x_2,・・・・・・・・・・,x_n\)は、\(0か1か2\)のいずれかの値をとるものとします。
\(f_1=\displaystyle \sum_{ i = 1 }^{ n } x_i\), \(f_2=\displaystyle \sum_{ i = 1 }^{ n } x_i^2\)とします。
\(f_k=\displaystyle \sum_{ i = 1 }^{ n } x_i^k\)とするとき、\(f_k\)を \(f_1, f_2\)で表してください。

【解答1】

ある事に気がつくと、た易い問題です。できる中学生なら解けるかもしれません。試験場でそれに気がつくかどうかが勝敗の別れ目です。ある方から聞いた話ですが、実際に東大の駒場キャンパスで、この入試問題に遭遇したのだそうです。最初は難しく感じたそうですが、あるヒラメキがあって、あっという間に解けたそうです。昼休みに東大の校庭で友人達に会い、話をしてみると、意外にこの問題が解けていなかったそうです。解法を説明してあげると、「そうか、そうだったのか。気がつかなかった。」と言っていたそうです。この時入試に勝った、と思ったそうです。

\(x_1,x_2,・・・・・・・・・・,x_n\)のうち、\(1\)の個数を \(p\)個、\(2\)の個数を、\(q\)とします。
ここに、\(0≦p,q≦n、0≦p+q≦n\)です。

条件から、\(f_1=p+2q\)・・・・・・・・・・・①
\(f_2=p+4q\)・・・・・・・・・・・②
また、\(f_k=p+2^k・q\)・・・・・・・・・③
①、②から、\(p=2f_1-f_2、q=1/2(f_2-f_1)\)となりますから、これを③に代入すると
\(f_k=(-2^{k-1}+2)f_1+(2^{k-1}-1)f_2\)

【問題2】

\(t\)を \(t>1\)の実数とします。\(xy\)平面で、\(P(x,y)\)は、次の条件を満たすとします。
1) \(x>0\)
2) \(t/((1+t^2)x)≦y≦1/(1+x^2)\)
この2つの条件をともに満たす図形の面積を、\(S(t)\)とします。このとき、\(S(t)\)の導関数\(S'(t)\)を求めてください。

【解答2】

東大受験生は、この問題は落とせません。計算がきちんとできれば、完答できます。あるいは完答できないと、厳しいでしょう。

\(y=t/(1+t^2)x\)と、\(y=1/(1+x^2)\)の\(x>0\)での交点を求めると、\(x=1/t,t\)で、\(1/t<t\)です。
この2つの曲線のグラフを考えて、\(S(t)\)を求めると、

\(S(t)= \displaystyle\int_{1/t}^{t} (1/(1+x^2)-t/((1+t^2)x)) dx\)
=\(\displaystyle\int_{1/t}^{t} (1/(1+x^2))dx-t/(1+t^2)\displaystyle\int_{1/t}^{t} 1/x・dx\)
=\(\displaystyle\int_{1/t}^{t} (1/(1+x^2))dx-2tlogt/(1+t^2)\)
従って、\(d/dt\displaystyle\int_{1/t}^{t} (1/(1+x^2))dx=2/(1+t^2)\)ですから、
\(S'(t)=2(t^2-1)logt/(1+t^2)^2\) となります。

参考の問題

以下の問題も、同時期の東大の問題です。以前から図形的な問題が、結構多かったようです。

【1】\(S\)を中心\(O\)、半径\(a\)の球面とし、\(N\)を\(S\)上の1点とします。点\(O\)において、線分\(ON\)と\(π/3\)の角度で交わっている1つの平面上で、点\(P\)が点\(O\)を中心とする等速円運動をしているものとします。その角速度は、毎秒\(π/12\)で、\(OP=4a\)とします。点\(N\)から、点\(P\)を観測するとき、\(P\)は見えはじめてから何秒間見え続けるか求めてください。また、点\(P\)が見えはじめた時点から見えなくなるまでの\(\overline{NP}\)の最大値および最小値を求めてください。ただし、球面\(S\)は不透明であるとします。

【2】平面上に1辺の長さが\(1\)の正方形\(S\)があります。この平面上で\(S\)を平行移動して得られる正方形で、点\(P\)を中心にもつものを\(T(P)\)とします。ここで、正方形の中心とは、その対角線の交点とします。このとき、共通部分\(S \cap T(P)\)の面積が\(1/2\)以上になるような点\(P\)の範囲を図示し、この範囲の面積を求めてください。

 

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