難関大学の2次曲線の問題-解答編-

難関大学の2次曲線の問題

2次曲線は、現在は数Ⅲの範囲になっています。代表的な2次曲線であるだ円、双曲線、放物線の標準形の理解は基本的です。幾何学的な定義から、2次曲線のの標準形が導出できるようにしておくと、基本的な問題の出題にも問題なく対応できるでしょう。これらの2次曲線は、ともに円錐曲線です。つまり、円錐をある平面で切ったときの切り口がだ円、双曲線、放物線となります。これらの理解も大切です。また、2次曲線は、極座標を使うと、統一的に扱うこともできますし、幾何学的な問題でも有効な場合があります。離心率も含めた曲座標での2次曲線の理解も十分しておいてください。問題は次のリンクです。難関大学の2次曲線

2次曲線の問題の解答

【問題1】

\(α、β\)実数とします。\(x\)に関する実数係数の2次式\(f(x)=ax^2+bx+c\) が \(a+b+c=0\) の関係式を満たすとき、座標\((f(α),f(β))\)の点はどのような集合になるのか求めてください。(東京大学)

【解答1】

\(c=-(a+b)\)だから、\(x=f(α)=(α-1)(aα+a+b)\)、\(y=f(β)=(β-1)(aβ+a+b)\) ですから、
ⅰ)\(α≠β,α≠1,β≠1\)のとき、\(a≠0\)だから、上式から\(b\)を消去すると、
\((β-1)x-(α-1)y=a(α-1)(β-1)(α-β)≠0\)・・・・・・・①
ⅱ)\(α≠β\)かつ\(α=1\)または\(β=1\)のときは
\(x=0またはyは全実数\) か \(xは全実数またはy=0\)となります。
ⅲ) \(α=β≠1\)のときは、\(x=y\)
ⅳ)\(α=β=1\)のときは、\(x=0,y=0\)
直線①は、\(a\)が\(a≠0\)の全ての実数をとるとき、
直線\((β-1)x-(α-1)y=0\) ・・・・・・・・② を除く全ての点を通ります。
よって、\((f(α),f(β))\)の集合は、全平面から②を除き、原点を含めた平面となります。

(注)東京大学のもとの問題では、係数\(a,b,c\)が実数であることが書かれていません。複素数も含めたものでは、条件が不足します。ここでは、問題文を修正して、係数が実数であることを条件としています。

【問題2】

点\((x,y)\)と点\((u,v)\)の間に、\(u=2x/(1+xy),v=(1-xy)/(1+xy)\)の関係があるとします。
\(0<x<y\)を満たすとき、\((u,v)\)はどのような領域にあるか求めてください。(早稲田大学)

【解答2】

\(0<x<y\)のとき、与えられた式を、\(x,y\)について解くと
\(x=u/(1+v),y=(1-v)/v\)となりますから、
\(0<u/(1+v)<(1-v)/v\)
よって、\(u(1-v)>0\)かつ\(u^2<1-v^2⇔u^2+v^2<1\)
従って、求める\((u,v)\)は、中心原点で、半径1の円内の\(u>0\)の半円の内部です。境界は含みません。

【問題3】

(1)だ円外の1点\(P\)からだ円に引いた2つの接線の接点を、\(A,B\)とします。\(F\)をだ円の1つの焦点とすると、\(PF\)は\(∠AFB\)を2等分することを証明してください。

(2)双曲線の一方の側の曲線上の1点における接線が、双曲線と交わる点を、\(A,B\)とします。焦点の1つを、\(F\)とすると、\(∠AFB\)は、一定であることを証明してください。

【解答3】

直交座標でも解くことができますが、円錐曲線の幾何学的な性質は、極座標を用いるとうまく解くことができる場合があります。離心率を用いた円錐曲線の極形式の理解は、重要だと思います。

(1)だ円を極座標表示して、\(r=l/(1-ecosθ) l>0\)とし、だ円外の点\(P(r,θ) 0≦θ≦π\)とします。(\(π≦θ≦2π\)のときも、対象移動することにより、同様にできます。)\(P\)からだ円に引いた接線の接点を、\(A,B\)とし、その偏角を、\(α、β\)とします。\(A,B\)におけるだ円の接線を求めると、
\(l/r=cos(θ-α)-ecosθ\)・・・・・・・・・・①
\(l/r=cos(θ-β)-ecosθ\)・・・・・・・・・・②
\(P\)の偏角は、①、②をともに満たすから、
\(cos(θ-α)-cos(θ-β)=0\)となります。
よって、\(2sin(θ-(α+β)/2)sin((β-α)/2=0\)
\(sin(β-α)/2≠0\)ですから、\(sin(θ-(α+β)/2)=0\)となります。
\(0≦α、β、θ≦π\)ですから、
\(θ=(α+β)/2\) これは、\(FP\)が、\(∠AFB\)の2等分線であることを示しています。

(2)双曲線\(x^2/a^2-y^2/b^2=1\)の焦点\(F(ae,0)、F'(-ae,0)\)のうち、\(F’\)を極とし、\(F’F\)を始線とする極座標を考えると、
双曲線の極方程式は、\(r=l/(1-ecosθ)、l=a(1-e^2)\)となります。\(F’\)から、2つの双曲線の漸近線に下ろした垂線の偏角を\(α,-α\),長さを\(p\)とすると、その極方程式は、\(p=rcos(θ±α)\)・・・・・・・・①
点\(P\)の偏角を\(β\)とすると、
\(l/r=cos(θ-β)-ecosθ\)・・・・・・・・・・②
①、②から、
\(lcos(θ±α)=pcos(θ-β)-epcosθ\)・・・・・・・・・③
③を満たす\(θ (0<\vert θ\vert<π)\)を、それぞれ\(θ_1,θ_2\)とすると、これらは\(A,B\)の偏角ですから、③から、
\(tanθ_1=(lcosα-pcosβ+ep)/(psinβ+lsinα)\)
\(tanθ_2=(lcosα-pcosβ+ep)/(psinβ-lsinα)\)
よって、\(tan(θ_1-θ_2)=-2Alsinα/((p^2sin^2β-+l^2sin^2α)+A^2)\)・・・・・・④
ここで、\(A=lcosα-pcosβ+ep\)です。
\(p=aecosα, l=a(1-e^2)=-b^2/a^2\)で、 \(tanα=a/b\)だから、④式は、
\(tan(θ_1-θ_2)=b^2/a^2・tanα=b/a=一定\)となり、題意は示されました。

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