挟み撃ちの原理を使いこなそう-難関大対策・解答編-
挟み撃ちの原理を使いこなす
挟み撃ちの原理を使う雰囲気がプンプンするような問題です。問題を見て、これは挟み撃ちの原理を使いそうだ、と感じる感覚(数覚)をもてたら後はどのような不等式が見えるかが解決の糸口になります。大概は、公比の絶対値が1より小さい等比数列を念頭におくのが問題を見通す糸口です。
問題のリンクは次です。挟み撃ちの原理を使いこなそう
挟み撃ちの原理の解答編
【問題1】
\(f(x)=1/2・cosx\)とします。
(1)方程式\(x=f(x)\)は、ただ1つの実数解\(α\)を持つことを示してください。
(2)数列\({a_n}\)が。\(a_1=0、a_{n+1}=f(a_n) (n=1,2,3,・・・・・・・)\)で定義されるとき、
\(\displaystyle \lim_{ n \to \infty } a_n(x) = α\)となることを示してください。
(東京大学)
【解答1】
(1)は中間値の定理を、(2)は(1)を利用して挟み撃ちの原理を考えます。問題文を見た瞬間にこれが思い浮かぶかどうか。比をだすのだから、平均値の定理が思い浮かぶかどうか、ですね。
(1)\(g(x)=x-f(x)\)とおきます。
\(g'(x)=1+1/2・sinx>0\)より、\(y=g(x)\)は単調増加します。
\(g(0)=-1/2<0,g(π/2)=π/2>0\)だから、\(y=g(x)\)はただ1つの実数解\(α\)をもつから
\(x=f(x)\)はただ1つの実数解\(α\)をもちます。
(2)\(a_{n+1}=f(a_n)=1/2・cosa_n\)
また、(1)より、\(α=f(α)\)
さらに、\(f'(x)=-1/2・sinx\)だから、\(f'(x)\)は微分可能です。よって平均値の定理から、
\((f(a_n)-f(α))/(a_n-α)=f'(c)=-1/2・sinc\)を満たす \(c\)が \(α\)と \(a_n\)の間に存在します。
従って、\(\vert (a_{n+1}-α)/((a_n-α)\vert=\vert -1/2・sinc\vert≦1/2\)
よって、\(\vert (a_{n+1}-α)\vert≦1/2\vert (a_n-α)\vert\)
これから、\(0≦\vert (a_n-α)\vert≦\vert α\vert・(1/2)^{n-1}\)
ここで、\(n→∞\)とすれば、挟み撃ちの原理から
\(\displaystyle \lim_{ n \to \infty } \vert(a_n -α)\vert=0\)から、
\(\displaystyle \lim_{ n \to \infty } a_n=α\)
【問題2】
\(n\)を自然数とします。数列\({x_n}\)を\(x_1=1、x_{n+1}=1/2・(x_n+1/(x_n))\)で定義します。
\(\displaystyle \lim_{ n \to \infty } x_n(x) \)を求めてください。
(注)原問題には、誘導設問がありますが、誘導は省略してあります。自分で導入してください。
(東北大学)
【解答2】
\(x_{n+1}-1=1/2・(x_n-1)^2/a_n>0\)
また、\(x_1>1\)より、\(x_2-1=(x_1-1)^2/x_1>0\)
よって、\(x_n>1\)がわかります。
従って、\(x_{n+1}-1=1/2・(x_n-1)^2/x_n<(x_n-1)/2\)
これより、\(0<\displaystyle \lim_{ n \to \infty }( x_n-1)≦\displaystyle \lim_{ n \to \infty } (1/2)^{n-1}(x_1-1)=0\)
よって、\(\displaystyle \lim_{ n \to \infty } x_n=1\)となります。
(類題)\(n\)を自然数とするとき、数列\(x_n\)を、\(x_1=1、x_{n+1}=1/2・(x_n+1/(25x_n))\)で定義します。
\(\displaystyle \lim_{ n \to \infty } x_n\)を求めてください。(山形大学)
(答) \(\displaystyle \lim_{ n \to \infty } x_n=1/5\)
【問題3】
次の極限値を求めてください。
(1)\(\displaystyle \lim_{ n \to \infty }\sqrt[n]{n}\)
(2)実数値\(x\)に対して、\(\displaystyle \lim_{ n \to \infty } x^n/n!\) を求めてください。
【解答3】
(1)\(x>0\)、正の整数\(n\)に対し、\((1+x)^n≧1+nx\)が成り立ちます。
\(x=1/\sqrt{n}\)とおくと、
\((1+1/\sqrt{n})^n≧1+n/\sqrt{n}=1+\sqrt{n}>\sqrt{n}\)
よって、\((1+1/\sqrt{n})>\sqrt[1/n]{n}=\sqrt[2n]{n}\)
従って、この両辺を2乗すると、
\(1≦\sqrt[n]{n}<(1+1/\sqrt{n})^2\)・・・・・・・① が成り立ちます。
①式を、\(n→∞\)とすれば、挟み撃ちの原理から、
\(\displaystyle \lim_{ n \to \infty }\sqrt[n]{n}=1\)となります。