試験によくでる大学数学-その1-
試験によくでる大学数学
難関大の入試問題には、大学の教養課程などの項目を少し易しくしたり、誘導をつけたりして受験生に解かせる問題が出題される場合があります。入試数学によく出る大学数学についてまとめておきましょう。高校数学では学習していませんので入試問題では、説明がついたり誘導がついたりするのが普通です。入試問題は、解かなくてはいけませんので、大学数学の入門部程度は、学んでおいたほうが有利であるのは間違いありません。
入試によくでる大学教養数学の項目
数学の入試問題によく出る大学数学は、次のものがあると思います。
(1)微積分学:テーラー展開、マクローリン展開
(2)統計学、統計力学:誤差積分(Error function)
(3)ベクトル解析
(4)常微分方程式
テーラー展開、マクローリン展開について
テーラー展開やマクローリン展開は、既に問題や解答である部分は説明していますが、ここでは微積分学としての少しきちんとした説明をしておきましょう。
厳密に考えると少し厄介かもしれませんが、直感的に理解をすれば、それほど難しくないと思います。その他の項目は順に説明をしていきます。
まずテーラーの定理から始めましょう。
【定理】
関数\(f(x)\)が、(区間\([a,a+h]\)において連続な第\(n-1\)次導関数\(f^{n-1}(x)\)をもち、区間\(a,a+h)\)で第\(n\)次導関数\(f^n(x)\)をもつとき、\(0<θ<1\)を満たす適当な正の数\(θ\)をとると、次式が成り立つ。
\(f(a+h)=f(a)+f'(a)/1!・h+・・・・+f^{n-1}(a)/(n-1)!・h^{n-1}+f^n(a+θh)/n!・h^n\)・・・・・・・①
\(h<0\)なら、区間を逆にすれば①は成り立ちます。
【証明】Rolleの定理を使います。
\(b=a+h\)とおき、定数\(K\)を次のようにとります。
\(f(b)=f(a)+f'(a)/1!・(b-a)+・・・・+f^{n-1}(a)/(n-1)!・(b-a)^{n-1}+K(b-a)^p\)・・・・・・・・・②
ここで、\(p\)はあらかじめ定めた正の整数です。
また、区間\([a,b]\) で次のような関数を考えます。
\(F(x)=f(x)+f'(x)/1!・(b-x)+・・・・+f^{n-1}(x)/(n-1)!・(b-x)^{n-1}+K(b-x)^p\)・・・・・・③
\(F(x)\)は区間\([a,b]\)で連続で、\((a,b)\)で微分可能です。また、\(F(a)=f(b)\)、さらに明らかに、\(F(b)=f(b)\)です。
すなわち、\(F(a)=F(b)\)となります。従って、Rolleの定理から、
\(F'(c)=0、a<c<b\)を満たす\(c\)が存在します。
\(F’(x)=f'(x)+(-f'(x)+f”(x)/1!(b-x))+・・・・+\)
\(-f^{n-1}(x)/(n-2)!・(b-x)^{n-2}+f^n(x)/(n-1)!・(b-x)^{n-1})-pK(b-x)^{p-1}\)
より、\(F'(c)=f^n(c)/(n-1)!(b-c)^{n-1}-pK(b-c)^{p-1}=0\)
これから、
\(K==f^n(c)/(p(n-1)!)・(b-c)^{n-p}=f^n(a+θh)/(p(n-1)!)・(1-θ)^{n-p}\)
よって、
\(R_n=K(b-a)^p=f^n(a+θh)/(p(n-1)!)・(1-θ)^{n-p}・h^n\)・・・・・・・・・・④
ここで、\(p=n\)とおくと、
\(R_n=f^n(a+θh)/n)!・h^n\) ですから、①式が成り立ち、テーラーの定理がなりたちます。
また、①の右辺をテーラー展開と言います。\(h<0\)でに同様に証明できます。
\(f(a+h)=f(a)+f'(a)/1!・h+・・・・+f^{n-1}(a)/(n-1)!・h^{n-1}+R_n\)
とおいた時、\(R_n\)を剰余(項)といいます。
\(①\)式の剰余\(R_n=f^n(a+θh)/n!・h^n\)をラグランジュの剰余といいます。
\(④\)で特に\(p=1\)とおけば、
\(R_n=f^n(a+θ’h)/(n-1)!・(1-θ’)^{n-1}・h^n\)ですが、これをコーシーの剰余といいます。
テーラーの定理において、\(x=a+h、a=0\)とおくと、\(0<x<h\)とすると、有名な次のマクローリン展開が得られます。
\(f(x)=f(0)+f'(a)/1!・x+・・・・+f^{n-1}(0)/(n-1)!・x^{n-1}+f^n(θx)/n!・x^n\)
入試問題に出題されるのは、マクローリン展開の式が多いと思います。
マクローリン展開の例と問題は、次のリンクです。関数の級数展開
関数の級数展開
テーラーの定理によって、様々な関数\(f(x)\)について、\(n\)次多項式のの形に展開することができます。
また、剰余項\(R_n\)の収束性の精査が必要ですが、\(n→∞\)のとき、\(R_n→∞\)が成り立つならば、\(f(x)\)は無限級数に展開できます。
有名なものを、書いておきます。
1)\(e^x=1+x/1!+x^2/2!+・・・・・・・・・・・\)
2)\(cosx=1-x^2/2!+x^4/4!-・・・・・・・・\)
3)\(sinx=x-x^3/3!+x^5/5!-・・・・・・・\)
to be continued