慶応義塾大学医学部-最難関私立医学部・解答編-
慶応義塾大学医学部
慶応義塾大学医学部の問題の解答を示しておきます。毎年、相当量の問題文が提示されますので、要領よく問題文をよみ、要求されている解答をしなければなりません。一部記述式になっています。個人的な見解ですが、あまり解きたいと思うような問題ではありません。しかし、ここの志望者は、解かねばならぬのだ。
穴埋め問題は、とりあえず解答を記しておきます。問題は、次のリンクです。慶応義塾大学医学部
慶応義塾大学医学部・解答
【問題1】
以下の文章の空欄に適切な数または式を入れて文章を完成させてください。
(1)不等式 \(\log{2}(5-2x)+2\log{1/2}(x+2)≦0\)を満たす\(x\)の範囲は、\((あ) \) です。
(2)2つの関数\(f(x)=\vert x^2+3bx-b/4 \vert、g(x)=x^2+3b\vert x \vert-b/4\)の最小値が一致するような\(b\)の範囲は、\((い) \) です。
(3)\(0≦α<π/2\)のとき、関数\(f(x)=sin(x-α)cosx (α≦x≦π/2)\)は、\(x=(う) \) のとき最大値が\(1/4\)となるのは、\(α=(え)\)のときです。
【解答1】
この問題は、ぜひともとりにいきましょう。
\((あ)=-3+\sqrt{10}≦x<5/2、(い)=-1/9≦b≦0\)
\((う)=α/2+π/4、(え)=π/6\)
【問題2】
以下の文章の空欄に適切な数または式を入れて文章を完成させてください。
数直線上の点の集合\(S={-1,0、1}\)を考えます。球が2個用意されており、\(S\)の各点上には、2個まで球を置くことができるものとします。\(S\)内に置かれた球に対する次の操作\(T\)を考えます。
操作\(T\)
操作\(T_1\):\(S\)内に球が1個だけ置かれている場合は、その球に対して次の操作\(A\)を行います。
操作\(A\)
操作\(A1\) 球が点0上に置かれている場合はその球を確率\(1/3\)で\(S\)から取り除き、、確率\(1/3\)ずつで点\(-1\)または点\(1\)の上に移す。
操作\(A2\) 球が点\(-1\)または点\(1\)の上に置かれている場合はその球を必ず点\(0\)の上に移す。
\(T_2\):\(S\)内に球が2個置かれている場合は、どちらか1個の球を等しい確率で選び、その選ばれた球に対して操作\(A\)を行います。
いま、球が2個ともに点\(0\)上に置かれている状態から始めて、操作\(T\)を繰り返し行います。ただし、\(S\)内に球がなくなった場合は、操作を行うのをやめます。\(m,n\)は自然数とします。
(1)操作\(T\)を\(n\)回繰り返し終えたとき、球が2個とも点\(0\)上に置かれている確率を\(p_n\)とし、点\(-1\)と点\(0\)の上に1個ずつ置かれているか
または点\(0\)と点\(1\)の上に1個ずつ置かれている確率を\(q_n\)とします。
(ⅰ)\(n≧2\)に対して、\(p_n=(あ)q_{n-1}\)
(ⅱ)\(q_1=(い)\)である。一般に\(q_{2m}=0\)であり、\(q_{2m-1}をm\)の式で表すと、\(q_{2m-1}=(う)\)です。
(2)操作\(T\)を\(n\)回繰り返し終えたとき、\(S\)内に球が1個だけあり、かつそれぞれが点\(0\)上に置かれている確率を\(r_n\)、点\(-1または1\)の上に置かれている確率を\(s_n\)とします。
(ⅰ)\(n≧2\)に対して、\(r_n=(え)s_{n-1}+(お)p_{n-1}、s_n=(か)r_{n-1}+(き)q_{n-1}\)です。
(ⅱ)一般に、\(r_{2m}=0\)であり、\(r_{2m-1}\)を\(m\)の式で表すと、\(r_{2m-1}=(く)\)です。
【解答2】
\((あ)=1/2、(い)=2/3、(う)=(2/3)^m、(え)=1\)
\((お)=1/3、(か)=2/3、(き)=1/6、(く)=m/2・(2/3)^m\)
【問題3】
以下の文章の空欄に適切な数または式を入れて文章を完成させてください。
\(p,q\)を正の実数として、曲線\(Cを:x^{1/p}+y^{1/q}=1 (0≦x≦1、0≦y≦1)\)で定義するものとします。
(1)曲線\(C\)の方程式を\(y\)について解いて得られる関数を\(y=f(x) (0≦x≦1)\)とおきます。\(y=f(x)\)が\(0<x<1\)において変曲点を持つための
\(p,q\)の条件は、(あ)を満たすことが必要十分です。
(2)曲線\(C\)と\(x軸、y軸\)で囲まれた図形の面積を\(S(p,q)\)とすると、\(S(1,q)=(い)\)であり、\(p=1\)ならば\(S(p,q)とS(p-1,q+1)\)の間には
\(S(p,q)=(う)S(p-1,q+1)\)の関係があります。\(p,q\)がともに自然数であるとき、\(S(p,q)\)を\(p,q\)で表すと、\(S(p,q)=(え)\)となります。
(3)\(p=q=3\)のとき、直線\(l:x+y=α\)が曲線\(C\)と2点を共有するための必要十分条件は、\((お<α≦1\)です。この条件が成り立つとき、直線\(l\)と
曲線\(C\)の交点\(P,Q\)の\(x座標をx_1、x_2\)とすると\(x_1^{1/3}x_2^{1/3}=(か)\)かつ\((x_1^{1/3}-x_2^{1/3})^2=(き)\)であり、
さらに\(α_0=(お)\)とおくとき、\(\displaystyle \lim_{ α \to α_0+0}\frac{PQ^2}{α-α_0}=(く)\)が成り立ちます。
【解答3】
微分をしてください。
\((あ)=(1-p)(1-q)<0、(い)=1/(q+1)、(う)=p/(q+1)\)
\((え)=p!q!/(p+q)!、(お)=1/4\)
\((か)=(1-α)/3、(き)=(4α-1)/3、(く)=3/2\)
【問題4】
以下の文章の空欄に適切な数または式を入れて文章を完成させてください。また、設問(1),(3)に答えてください。
実数の数列\(a_n\)が「長さ有限」とは、ある番号から先の全ての\(n\)に対して\(a_n=0\)となること言うこととします。また、数列\({a_n}\)を1つの文字で表すときは、\(A={a_n}\)あるいは、\(A=(a_1,a_2,・・・・・・・・・・)\)と書くものとします。数列\(A={a_n}\)が長さ有限のとき、\(a_n≠0\)となるような自然数\(n\)の最大値を、数列\(A\)の「長さ」と呼びます。ただし、全ての\(n\)に対して\(a_n=0\)の数列の長さは\(0\)とします。数列\(A={a_n}、B={b_n}\)および実数の定数\(c\)に対して\(A+B={a_n+b_n}、cA={ca_n}\)により数列\(A+B,cA\)を定義します。次に\(A,B\)がともに有限のときに限り、内積\(A・B\)、距離\(\overline{AB}\)を次のように定めることにします。
\(A・B=\displaystyle \sum_{ n= 1 }^{ ∞ } a_n・b_n\)、\(\overline{AB}=\sqrt{\displaystyle \sum_{n= 1 }^{∞}( a_n-b_n)^2}\) (実際には、\(\displaystyle \sum_{n= 1 }^{∞}\)は有限個の数の和になります。)
\(A(0)=(0,0,0,・・・・・・・・),A(1)=(1,0,0,・・・・・・・)\)であるとし、さらに\(s=2,3,・・・・・・・\)に対して長さ\(s\)の数列\(A(s)=(a(s)_1,a(s)_2,・・・・・,a(s)_s,0,0,・・・・・・)\)が定まっていて、\(a(s)_n>0 (n=1,2,・・・・・・・・,s)\)かつ\(\overline{A(s)A(t)}=1 (s≠tかつs,t=0,1,2・・・)\)が成り立っているとします。
(1)\(s≧1\)ならば\(A(s)・A(s)=1\)であり、また\(1≦s<t\)ならば\((A(s)・A(t)=1/2\)であることを示してください。\(A(s)={a_n}\)、\(A(t)={b_n}\)としてください。
(2)\(A(2)=((あ),(い)、0,0,・・・・・・)、A(3)=((う)、(え)、(お)、0,0,・・・・・・)\)となります。
(3)\(2≦s<t\)ならば数列\(A(t)とA(s)\)のはじめの\(s-1\)はすべて一致することを示してください。ただし数列\(A(s)、A(t)\)のはじめの\(s項、t項\)をそれぞれ、\(a_1,a_2,・・・・・・・・,a_s\)および\(b_1,b_2,・・・・・・・・,b_s\)とおき、また、\(sとt\)以外の全ての\(i≧1\)について数列\(A(i)\)の初めの\(i\)項を\(c(i)_1,c(i)_2,・・・・・・・・・・,c(i)_i\)とおいてください。
(4)\(i=1,2,・・・・・・・\)に対して長さ\(t\)の数列\(B(t)\)を\(B(t)=1/(1+t)・{A(1)+A(2)+・・・・・・・・・+A(t)}=1/(t+1)・\displaystyle \sum_{ i = 1 }^{ t } A(i)\) により求めると、\(s=1,2,・・・・・・・・\)に対して\(A(s)・B(t)=(か)\)です。
(5)(3)で示されたことから、二つの数列\({x_n}、{y_n}\)が定まっていて、すべての\(s≧2\)に対して\(A(s)\)は、\(A(s)=(x_1,x_2,・・・・・・,x_{s-1},y_s,0,0,・・・・・・・・・)\)と表されます。\(y_s/x_s\)を\(s\)の式で表すと、\(y_s/x_s=(き)\)となります。また、\(x_s\)を\(s\)の式で表すと、\(x_s=(く)\)となります。
【解答4】
国語や英語の長文読解も兼ねているのでしょうか。慶応義塾大学医学部の受験生は、数学をマスターすると同時に長文読解力を養っておく必要があると思います。毎年ですが、ようやるわ。
\((1)s≧1\)なら、\((\overline{A(0)A(s)})^2=1\) だから、\(\displaystyle \sum_{ n= 1 }^{s} a_n^2=1\)から、\(A(s)・A(s)=1\) また、 \(1≦s<t\)ならば、\(\displaystyle \sum_{ n= 1 }^{t} b_n^2=1\)だから、
\((\overline{A(s)A(t)})^2=\displaystyle \sum_{ n= 1 }^{ ∞ }( a_n-b_n)^2\)=\(2-2A(s)A(t)\) よって、\(A(s)A(t)=1/2\)
\((あ)=1/2、(い)=\sqrt{3}/2、(う)=1/2、(え)=\sqrt{3}/6、(お)=\sqrt{3}/3、(か)=1/2、(き)=s+1、(く)=1/\sqrt{2s(s+1)}\)