フィールズ賞-数学の世界最高の賞-
フィールズ賞について
世界的に注目されるノーベル賞ですが、どう言うわけか自然科学部門に数学賞がありません。物理学賞、化学賞、医学・生理学賞だけです。これには諸説あるようですが、はっきりしたことはわかりません。時に言われることは、以前書いておきましたので、下記のリンクを参照してみてください。ノーベル賞に数学賞がないために、カナダの数学者のフィールズが中心となって、数学部門の世界的な賞が作られました。1936年が第一回です。4年に1回開かれるICM(国際数学者会議)の場で受賞者が発表されます。ですから、フィールズ賞は4年に1回しか受賞チャンスはありません。そして、数学の若い才能を育てると言う意味から、受賞年において40歳を超えてはならない、と言うある意味で厳しい条件が課されています。1つ例外があって、1998年には、1995年にフェルマーの最終定理を証明したワイルズがフィールズ特別賞を受賞しています。360年未解決の難問を解決した栄誉を称え、40を超えてはいましたが、特別に受賞しました。前回は、2014年のソウルのICMで発表されています。次回は2018年です。フィールズ賞は、世界の数学会で最も権威のあるものですが、賞金等の面も含めたノーベル賞級の数学賞を設けようと言うことで、2003年にアーベル賞が設けられました。これは、ノーベル賞と同じく、毎年1回で年齢制限はありません。また賞金もノーベル賞とほぼ同等となっています。コワレフスカヤ-美人数学者-
これまでのフィールズ賞受賞者
フィールズ賞受賞者は以下のようになっています。
国別では、ほぼ第二次世界大戦後からですので、アメリカが13と最多になっています。
米国:13
フランス:12
ロシア:9
イギリス:7
日本:3
ベルギー:2
その他1個受賞している国は:オーストラリア、オーストリア、ドイツ、カナダなど14カ国にわたっています。
ドイツの受賞者数が少ないですが、これは戦後アメリカなどに渡り研究を続けた優秀な数学者が多かったためだと思われます。
日本人では、これまで3名の受賞者が出ています。
1954年 小平邦彦(東京大学、プリンストン高等研究所など)
調和積分論、二次元代数多様体の分類
1970年 広中平祐(京都大学、コロンビア大、ハーバード大など)
代数多様体の特異点の解消及び解析多様体の特異点の解消
1990年 森重文(京都大学、ハーバード大、名古屋大など)
3次元多様体における極小モデルの存在証明
3名とも受賞当時はアメリカの大学の教授であり、いわゆる頭脳流出組みでした。ともに、母校に戻り、後進の指導にあたっています。
小平邦彦は、東京大学に復帰し、小平スクールと言われるグループで10数人の有名な数学者を育てています。この頃京都大学では、永田雅宣を中心とする永田スクールというものがありました。広中平祐も同じ頃の数学者で、カミソリの永田、ナタの広中と言われています。広中平祐は、論文が長いことで有名で、フィールズ賞受賞の多様体の特異点の解消の論文は、広中の電話帳と言われたことでも有名です。
3人目の受賞者の森重文は、高校生のころから数学で有名だったと言われています。「大学への数学」という有名な数学の受験月刊誌がありますが、森重文は、その学力コンテストで、満点を取り続けたことでも有名です。また宿題のコーナーでも素晴らしい成績を上げつづけたと言われています。また森重文の大学受験当時の昭1969年、東京大学の入学試験が、いわゆる東大紛争で中止となり、京都大学に進学されています。森氏にとっては、この方が良かったのではないか、とも言われています。仮定の話は出来ませんが。。。。。京都大学での博士課程指導者は、カミソリ永田雅宣です。日本人で最後の受賞者が、1990年の森重文です。そろそろ4人目の受賞者を期待したいところです。
フィールズ賞受賞者は下記の通りです。
1936年 アールフォース、ダグラス
1950年 シュヴァルツ、セルバーグ
1954年 小平邦彦、セール
1958年 ロス、トム
1962年 ヘルマンダー、ミルナー
1966年 アティア、コーエン、グロタンディエク、スメイル
1970年 ベーカー、広中平祐、ノヴィコフ、トンプソン
1974年 ボンビエリ、マンフォード
1978年 ドリーニュ、フェファーマン、マルグリス、キレン
1982年 コンヌ、サーストン、丘成桐(米)
1986年 ドナルドソン、ファルティングス、フリードマン
1990年 ドリンフェルト、ジョーンズ、森重文、ウイッテン
1994年 ブルガン、リオン、ヨッコス、ゼルマノフ
1998年 ボーチャーズ、ゴワーズ、コンチェビッチ、マクマレン、アンドリュー・ワイルズ(特別表彰)
2002年 ラフォルグ、ヴォエヴォドスキー
2006年 塔哲軒(豪)、ペレルマン(辞退)、オコンコフ、ウエルナー
2010年 リンデンシュトラウス、スミルノフ、チャウ、ヴィラニ
2014年 ミルザハニ(イラン、女性)、アビラ、バルガヴァ、ハイラー