慶応義塾大学医学部-私立大医学部の最難関大学-
慶応義塾大学医学部-私立大医学部の最難関大学-
慶応義塾大学医学部は、私立大学でも最難関大学です。医学部は定員の少ないなかで難関であるのは間違いありませんが、慶応義塾大学医学部は首都圏の、さらに東京の医学部ですから、難関中の難関だと思います。東京大学理Ⅲ、京都大、東京医科歯科大に次ぐくらいの難関大です。慶応義塾大学医学部は、東大理Ⅲや東京医科歯科大、京都大など難関国立大医学部の併願者も結構います。慶応義塾大学医学部は、私立ですから、英語、数学、理科2科目の試験科目になっており、500点満点で、英語、数学が各150点、理科が2科目で200点で500点満点です。このほかに小論文、面接が課されます。合格最低点は、265点~300点となっています。数学についてですが、国立大学の2次試験は、記述試験になっていますが、医学部に限りませんが、私立大学の入試問題は、答えの穴埋め式を採用しているところがほとんどです。日本医科大学や昭和大学医学部など一部記述式を採用しているところもありますが、やはり応募受験生が多いこともあり、採点の都合もあるものと思われます。慶応義塾大学医学部(理工学部も同じです。)ほとんどの問題が、穴埋め式になっています。また、慶応医学部の数学の問題は、問題文が長いことでも定評があります。こんな長文の数学の問題は慶応義塾大学医学部しかありません。(慶応理工も長めです。)数学の問題としても高級ですが、長文読解もあわせて試験しているのでしょうか。医学部の問題ですから、数学者としての論文を書く練習をさせている訳でもないでしょうが、なんなんででしょうか。いずれにせよ合格しなくてはならないのですから、問題傾向に慣れるしかないでしょう。問題数は毎年4問ですが、試験時間が100分となっていますので、適切な処理能力が要求されます。(陰の声:問題文をきちんと書くだけで、試験時間の100分を圧倒的に越えてしまいました。問題1を除いて難問ぞろいのこの問題を解く受験生は大変です。でも合格するには、この困難を乗り越えなくてはなりません。志望する生徒さんには、ぜひ頑張って欲しいと思っています。)
慶応医学部の数学の問題
【問題1】
以下の文章の空欄に適切な数または式を入れて文章を完成させてください。
(1)不等式 \(\log{2}(5-2x)+2\log{1/2}(x+2)≦0\)を満たす\(x\)の範囲は、\((あ) \) です。
(2)2つの関数\(f(x)=\vert x^2+3bx-b/4 \vert、g(x)=x^2+3b\vert x \vert-b/4\)の最小値が一致するような\(b\)の範囲は、\((い) \) です。
(3)\(0≦α<π/2\)のとき、関数\(f(x)=sin(x-α)cosx (α≦x≦π/2)\)は、\(x=(う) \) のとき最大値が\(1/4\)となるのは、\(α=(え)\)のときです。
【問題2】
以下の文章の空欄に適切な数または式を入れて文章を完成させてください。
数直線上の点の集合\(S={-1,0、1}\)を考えます。球が2個用意されており、\(S\)の各点上には、2個まで球を置くことができるものとします。\(S\)内に置かれた球に対する次の操作\(T\)を考えます。
操作\(T\)
操作\(T_1\):\(S\)内に球が1個だけ置かれている場合は、その球に対して次の操作\(A\)を行います。
操作\(A\)
操作\(A1\) 球が点0上に置かれている場合はその球を確率\(1/3\)で\(S\)から取り除き、、確率\(1/3\)ずつで点\(-1\)または点\(1\)の上に移す。
操作\(A2\) 球が点\(-1\)または点\(1\)の上に置かれている場合はその球を必ず点\(0\)の上に移す。
\(T_2\):\(S\)内に球が2個置かれている場合は、どちらか1個の球を等しい確率で選び、その選ばれた球に対して操作\(A\)を行います。
いま、球が2個ともに点\(0\)上に置かれている状態から始めて、操作\(T\)を繰り返し行います。ただし、\(S\)内に球がなくなった場合は、操作を行うのをやめます。\(m,n\)は自然数とします。
(1)操作\(T\)を\(n\)回繰り返し終えたとき、球が2個とも点\(0\)上に置かれている確率を\(p_n\)とし、点\(-1\)と点\(0\)の上に1個ずつ置かれているか
または点\(0\)と点\(1\)の上に1個ずつ置かれている確率を\(q_n\)とします。
(ⅰ)\(n≧2\)に対して、\(p_n=(あ)q_{n-1}\)
(ⅱ)\(q_1=(い)\)である。一般に\(q_{2m}=0\)であり、\(q_{2m-1}をm\)の式で表すと、\(q_{2m-1}=(う)\)です。
(2)操作\(T\)を\(n\)回繰り返し終えたとき、\(S\)内に球が1個だけあり、かつそれぞれが点\(0\)上に置かれている確率を\(r_n\)、点\(-1または1\)の上に置かれている確率を\(s_n\)とします。
(ⅰ)\(n≧2\)に対して、\(r_n=(え)s_{n-1}+(お)p_{n-1}、s_n=(か)r_{n-1}+(き)q_{n-1}\)です。
(ⅱ)一般に、\(r_{2m}=0\)であり、\(r_{2m-1}\)を\(m\)の式で表すと、\(r_{2m-1}=(く)\)です。
【問題3】
以下の文章の空欄に適切な数または式を入れて文章を完成させてください。
\(p,q\)を正の実数として、曲線\(Cを:x^{1/p}+y^{1/q}=1 (0≦x≦1、0≦y≦1)\)で定義するものとします。
(1)曲線\(C\)の方程式を\(y\)について解いて得られる関数を\(y=f(x) (0≦x≦1)\)とおきます。\(y=f(x)\)が\(0<x<1\)において変曲点を持つための
\(p,q\)の条件は、(あ)を満たすことが必要十分です。
(2)曲線\(C\)と\(x軸、y軸\)で囲まれた図形の面積を\(S(p,q)\)とすると、\(S(1,q)=(い)\)であり、\(p=1\)ならば\(S(p,q)とS(p-1,q+1)\)の間には
\(S(p,q)=(う)S(p-1,q+1)\)の関係があります。\(p,q\)がともに自然数であるとき、\(S(p,q)\)を\(p,q\)で表すと、\(S(p,q)=(え)\)となります。
(3)\(p=q=3\)のとき、直線\(l:x+y=α\)が曲線\(C\)と2点を共有するための必要十分条件は、\((お<α≦1\)です。この条件が成り立つとき、直線\(l\)と
曲線\(C\)の交点\(P,Q\)の\(x座標をx_1、x_2\)とすると\(x_1^{1/3}x_2^{1/3}=(か)\)かつ\((x_1^{1/3}-x_2^{1/3})^2=(き)\)であり、
さらに\(α_0=(お)\)とおくとき、\(\displaystyle \lim_{ α \to α_0+0}\frac{PQ^2}{α-α_0}=(く)\)が成り立ちます。
【問題4】
以下の文章の空欄に適切な数または式を入れて文章を完成させてください。また、設問(1),(3)に答えてください。
実数の数列\(a_n\)が「長さ有限」とは、ある番号から先の全ての\(n\)に対して\(a_n=0\)となること言うこととします。また、数列\({a_n}\)を1つの文字で表すときは、\(A={a_n}\)あるいは、\(A=(a_1,a_2,・・・・・・・・・・)\)と書くものとします。数列\(A={a_n}\)が長さ有限のとき、\(a_n≠0\)となるような自然数\(n\)の最大値を、数列\(A\)の「長さ」と呼びます。ただし、全ての\(n\)に対して\(a_n=0\)の数列の長さは\(0\)とします。数列\(A={a_n}、B={b_n}\)および実数の定数\(c\)に対して\(A+B={a_n+b_n}、cA={ca_n}\)により数列\(A+B,cA\)を定義します。次に\(A,B\)がともに有限のときに限り、内積\(A・B\)、距離\(\overline{AB}\)を次のように定めることにします。
\(A・B=\displaystyle \sum_{ n= 1 }^{ ∞ } a_n・b_n\)、\(\overline{AB}=\sqrt{\displaystyle \sum_{n= 1 }^{∞}( a_n-b_n)^2}\) (実際には、\(\displaystyle \sum_{n= 1 }^{∞}\)は有限個の数の和になります。)
\(A(0)=(0,0,0,・・・・・・・・),A(1)=(1,0,0,・・・・・・・)\)であるとし、さらに\(s=2,3,・・・・・・・\)に対して長さ\(s\)の数列\(A(s)=(a(s)_1,a(s)_2,・・・・・,a(s)_s,0,0,・・・・・・)\)が定まっていて、\(a(s)_n>0 (n=1,2,・・・・・・・・,s)\)かつ\(\overline{A(s)A(t)}=1 (s≠tかつs,t=0,1,2・・・)\)が成り立っているとします。
(1)\(s≧1\)ならば\(A(s)・A(s)=1\)であり、また\(1≦s<t\)ならば\((A(s)・A(t)=1/2\)であることを示してください。\(A(s)={a_n}\)、\(A(t)={b_n}\)としてください。
(2)\(A(2)=((あ),(い)、0,0,・・・・・・)、A(3)=((う)、(え)、(お)、0,0,・・・・・・)\)となります。
(3)\(2≦s<t\)ならば数列\(A(t)とA(s)\)のはじめの\(s-1\)はすべて一致することを示してください。ただし数列\(A(s)、A(t)\)のはじめの\(s項、t項\)をそれぞれ、\(a_1,a_2,・・・・・・・・,a_s\)および\(b_1,b_2,・・・・・・・・,b_s\)とおき、また、\(sとt\)以外の全ての\(i≧1\)について数列\(A(i)\)の初めの\(i\)項を\(c(i)_1,c(i)_2,・・・・・・・・・・,c(i)_i\)とおいてください。
(4)\(i=1,2,・・・・・・・\)に対して長さ\(t\)の数列\(B(t)\)を\(B(t)=1/(1+t)・{A(1)+A(2)+・・・・・・・・・+A(t)}=1/(t+1)・\displaystyle \sum_{ i = 1 }^{ t } A(i)\) により求めると、\(s=1,2,・・・・・・・・\)に対して\(A(s)・B(t)=(か)\)です。
(5)(3)で示されたことから、二つの数列\({x_n}、{y_n}\)が定まっていて、すべての\(s≧2\)に対して\(A(s)\)は、\(A(s)=(x_1,x_2,・・・・・・,x_{s-1},y_s,0,0,・・・・・・・・・)\)と表されます。\(y_s/x_s\)を\(s\)の式で表すと、\(y_s/x_s=(き)\)となります。また、\(x_s\)を\(s\)の式で表すと、\(x_s=(く)\)となります。