整数の問題-解答編-
整数の問題・難関大にも出題されます
整数の問題は、見ただけで直感でとけるものもありますが、整数論そのものは、その奥が深く難しい問題や未解決の問題が多くあります。整数の問題は、合同式を使うと論理的にかつ簡潔に証明や論理が書けることが多くあります。問題のリンクは次です。整数の問題・難関大にもでます。
整数の問題
【問題1】
\(x^2-3y^2=17\)は整数解をもたないことをしめしてください。
【解答1】
この問題は、フェルマーの定理と同じように、整数解が存在しないことを証明する問題です。整数の問題は、天才ガウスが深い考察を行い、色々な結果や証明をしておりますが、現在でも、自然数、整数、素数などの問題で未解決な問題は、多くあります。
この問題は、ガウスが導入した合同式(≡)を使うと、割合楽に証明できます。mod3で整数を考えることに気がつけば、証明は容易です。
\(x^2-3y^2=17\)・・・・・・・・①を満たす整数\(x,y\)が存在すると仮定します。
①から、\(x^2=3y^2+17\)・・・・・・・② が成り立ちます。
②式の左辺において、\(x≡0,1,2(mod3)\)のいずれかですから、\(x^2≡0,1(mod3)\)
となります。(\(x≡2(mod3)のときは、x^2≡4≡1(mod3)\)となります。)
従って、②の左辺は\(3で割ると余りは、0か1\)です。一方②の右辺は、\(3y^2+17≡17≡2(mod3)\)ですから、②の右辺は\(3で割ると余りは2\)です。これは、矛盾ですから、背理法により①の整数解は存在しないことになります。
【問題2】
ある自然数\(n\)を考えるとき、\(1とn\)を含めた約数の和が\(n\)に に等しくなるとき、\(n\)を完全数といいます。\(m\)を自然数とするとき \(3^m\)は完全数にならないことを示してください。
【解答2】
\(n=3^m\)が完全数であると仮定すると、\(3^m=1+3+3^2+・・・・・・・+3^{m}=(3^{m+1}-1)/2\) から、\(3^m=1\)となり、矛盾します。従って、\(n=3^m\)は完全数にはなりません。
最も小さい完全数は、6で次は28です。現在見つかっている完全数は、数10個に過ぎません。完全数で現在わかっているのは、\(n\)を正の整数とするとき、\(2^n-1\)が素数ならば、\(N=2^n(2^n-1)\)は完全数であり、偶数の完全数はこの型に限ることが示されています。
【問題3】
\(n\)を自然数とするとき、\(9^{n+1}-8n-9\)は、\(64\)で割り切れる
ことを示してください。
【解答3】
\(mod64\)で考えましょう。
\(9^{n+1}-8n-9≡(8+1)^{n+1}-8n-9≡1+8(n+1)+8^2A-8n-9\)
≡\(64A≡0(mod64)\) \((Aは自然数)\)
よって、\(9^{n+1}-8n-9は、64\)で割り切れます。
【問題4】
\(18446744073709551617\)を素因数分解してください。
【解答4】
これは、フェルマー数に関連する数です。フェルマーの最終定理で有名なフェルマーが
考えたものです。フェルマー数\(F_nは、m=2^nとおいたときに、F_n=2^m+1\)
と定義される数で、与えられた数は、\(n=6\)の場合です。\(F_n\)は、最初すべて素数であろうと 予想されましたが、オイラーによって、\(F_5=429496797=641・6700417\)と素因数分解 出来ることがしめされ、合成数であることがわかりました。問題の非常に大きな数は、\(F_6\) であり、これも合成数であることが示されています。
\(18446744073709551617=274177×67280421310721\)であることが示されています。
オイラーが\(F_5=429496797=641・6700417\)をしめし、1番目のフェルマー数の合成数を 見つけましたが、彼がやったのは、素数で順番に割り算すると言うことをやったのではありません。 こういうことをすれば、とても時間がかかります。オイラーが使ったのは、フェルマー数\(F_n\) に、\(F_n\)以外の素因数があるとすれば、\(P=2^{n+1}q+1, (qは整数)\)の形であることを 使っています。
また、フェルマー数に再び脚光を浴びさせたのは、かのガウスです。以前触れましたが、定規と コンパスで正多角形を作図できるのは、正多角形がフェルマー数であること示しています。正17角形 の場合を学生時代に論文にしています。