問題演習-難関国立大理系・解答編-

難関国立大問題演習

東京大学の以前の入試問題ですが、最近の問題に比べると、易しい問題が含まれているように感じます。難関受験問題も徐々に変化してくるのもわかります。

ただし、易しい問題があるのも事実ですが、難関校としての難関受験数学も確実に含まれているのも事実です。難関校としての存在感も感じます。

やはり、時間が経過するにつれ、問題そのものもこなれてきて、難易度も難しい方向になるようですが、極端に難化するのは、まれなようです。時間と問題数はほとんど変わっていません。

解説と問題のリンクは次です。問題演習-難関国立大理系-

問題演習・解答

【問題1】

\(S\)を中心O、半径\(a\)の球面とし、\(N\)を\(S\)上の1点とします。点Oにおいて
線分ONと\(π/3\)の角度で交わる一つの平面上で、点\(P\)が点Oを中心とする等速円運動をしているとします。その角速度は、\(π/12\)で、\(OP=4a\) とします。

点\(N\)から点\(P\)を観測するとき、\(P\)は見え初めてから何秒見え続けるか、また
\(P\)が見え始めた時点から見えなくなる時点までの、\(NP\)の最大値及び最小値を
求めてください。
ただし、球面\(S\)は、不透明であるものとします。

【解答1】

時間\(t\)において、
\(N(1/2・a、0、\sqrt{3}/2), P(4acosπ/12・t、4asinπ/12・t、0)\) となる。

\(NP\)上の点は、
\((1/2・a+ka(cosπ/12-1/2)、-1/2ka(sinπ/12-1/2)、a(\sqrt{3}/2-k)\)
となりますから、
原点と、NP上の点との距離の2乗を、\(L^2\)とすると、
\(L^2=(-4cosπ/12t+17)・a^2k^2+(4cosπ/12t-2)ak+1\)
=\({(-4cosπ/12t+17)ak+4cosπ/12・at-2)ka+a}\) ・・・・・・①

①の値が\(k≧0\)のとき、常に\(a\)以上であることが条件ですから、

\(4cosπt/12-2)/(4cosπt/12-17)≦0\)から、
従って、cosπt/12≧1/2\) よって、\(-4≦t≦4\)です。
すなわち、8秒間\(P\)は見えることになります。

また、\(L^2=a^2(-4cosπt/12+17)\)ですから、
\(L=NP\)の最大値は、\(\sqrt{17}a\)、最小値は、\(\sqrt{15}a\) です。

【問題2】

\(x_1,x_2,・・・・・・・・・・・,x_n\)はおのおの\(0,1,2\)のどれかの値をとるものとします。

\(f_1=\displaystyle \sum_{ i = 1 }^{ n } x_i\)  \(f_2=\displaystyle \sum_{ i = 1 }^{ n }( x_i)^2\)
のとき、
\(f_k=\displaystyle \sum_{ i = 1 }^{ n }( x_i)^k\) \((k=1,2,3・・・・)\) を

\(f_1、f_2\)とを用いてあらわしてください。

【解答2】

一見難しそうですが、見掛け倒しですね。

\(x_1,x_2,・・・・・・・・・・・,x_n\)のうち、0のものを、\(l個\)、1のものを\(m\)個、
2のものを、\(n\)個とします。

\(f_1=m+2n\) ・・・・・・・・・・①
\(f_2=m+2^2・n=m+4n\) ・・・・・・・②
\(f_k=m+2^k・n\) ・・・・・・・③

①、②、③より、
\(f_k=(-2^(k-1)+2)・f_1+(2^(k-1)-1)・f_2\)

【問題3】

区間 \(1≦x≦3\)において、次のように定義された関数\(f(x)\)があるとします。

\(f(x) =1 (1≦x≦2)\)
\(f(x)=x-1(2≦x≦3)\)

実数\(a\)に対して、区間 \(1≦x≦3\)における関数 \(f(x)-ax\) の最大値から
最小値を引いた値を \(V(a)\)とおきます。このとき以下の問いに答えてください。

(1)\(a\)がすべての実数にわたって動くとき、\(V(a)\) の最小値を求めてください。

(2)\(V(a)\)の最小値をとる\(a\)値を求めてください。

【解答3】

場合わけをして、\(V(a)\)を求めることになります。

(1) \(1≦x≦2\)のとき、\(f(x)-ax=-ax+1\)
\(a≧0のとき最小値は,-2a+1、最大値は、-2a+1\)
\(a<0のとき、最小値は、-a+1、最大値は、-a+1\)

(2) \(2≦x≦3\)のとき、\(f(x)-ax=-a+1\)
\(a≧1のとき、最小値は、-2a+1、最大値は、-3a+2\)

(1)、(2)より、

(3-1)  \(a≦0のとき、v(a)=-2a+1\)

(3-2)  \(0≦a≦1/2 のとき、V(a)=-3a+1\)
\(1/2a≦a≦1 のとき V(a)=a\)

(3-3) \(a≧1のとき、 V(a)=2a-1\)

\((3-1)、(3-2)、(3-3)より、V(a)はa=1/2\)で最小値となります。

【問題4】

平面上に1辺の長さが1の正方形 \(S\) があるとします。この平面上で\(S\)を平行移動して得られる正方形で, 点\(P\)を中心に持つものを\(T(P)\)とします。

このとき、共通部分 \(S \cap T(P)\) の面積が\(1/2\)以上になる範囲を求め、その面積を求めてください。

【解答4】

正方形の対角線の交点を原点とし、正方形Sである\(ABCD\)の頂点を0-xy座標上で、それぞれ、\((1/2,1/2)、(1/2、-1/2)、(-1/2、-1/2)、(-1/2,1/2)\)
とします。

ここで、中心が\((x,y)\)で、1辺の長さが1で、各辺が、x軸、y軸に平行な
正方形を考えます。座標軸における正方形\(S\)の対称性から、
\(x≧0、y≧0\)での場合を考えます。

\(S \cap T(P)\)を考えているので、\(x≦1、y≦1\)であり、これの
\(lxl≦1/2、lyl≦1/2\)の部分にある面積は、
\((x-1)(y-1)\)ですから、\((x-1)(y-1)≧1/2\)となります。

従って、第1象限におけるPの存在範囲の面積は、
\(1/2-1/2・\displaystyle \int_{1/2}^{1} 1/x・ dx\)

=\(1/2-1/2・log2\)・・・・・・①

よって、求める面積は、①を4倍して、 \(2-2log2\) となります。

【問題5】

\(t\)は1より大きい実数とします。\(xy\)平面において、不等式

(1)\(0≦x\)
(2)\(t/x(1+t^2)≦y≦1/(1+x^2)\)

を同時に満たす点\((x,y)\)全体の作る図形の面積を\(t\)の関数と考え、\(f(t)\)
とします。\(f(t)\)の導関数\(f’(t)\)を求めてください。

【解答5】

\(y=t/x(1+t^2) と y=1/(1+x^2)\)の交点を求めると
そのx座標は、\(x=t、1/t\)となります。\(t>1\) より、

\(1/t<x<t\)で、\(1/(1+x^2)≧t/x(1+t^2)\)となりますから、

\(f(t)=\displaystyle \int_{1/t}^{t}(1/(1+x^2)-t/x(1+t^2))・dx\)
=\(\displaystyle \int_{1/t}^{t}(1/(1+x^2)・dx\)
\(-\displaystyle\int_{1/t}^{t}1/x・(t/(1+t^2)・dx\)
=\(\displaystyle \int_{1/t}^{t}(1/(1+x^2)・dx\)
-\(2tlogt/(1+t^2)\)

よって、\(f’(t)=1/(1+t^2)-1/t^2・1/(1+1/t^2)\)
-\(2(logt+t^2logt+1+t^2-2t^2logt/(1+t^2)^2\)
=\(2logt(t^2-1)/(t^2+1)^2\) となります。

【問題6】

xのある2次関数のグラフが、原点において\(y=x\)に接するものとします。
このグラフ上の点\((u,v)\)における接線の傾きを、\(u,v\)であらわしてください。
ただし、\((u,v)\)は原点ではないとします。

【解答6】

この問題は、計算ミスしなければ、ほぼ全員できたと思います。(教科書レベル)

2次関数を、\(y=f(x)=ax^2+bx+c\) とします。\(y=f(x)\)は
原点を通りますから,\(f(0)=c=0\)
また、原点において,\(y=x\)に接しますから,\(f'(x)=2ax+b\)より、
\(f’0)=b=1\)
よって、\(y=f(x)=ax^2+x\)・・・・・・① となります。
\(y=f(x)の(u,v)\)上の接線の傾きは、
\(2au\)です。
また、\(v=au^2+u\)・・・・・・② です。
②から、\(u≠0から、au=v/u-1\)・・・・・・③

②、③から、求める接線の傾きは、
\(2au=2(v/u-1)\)となります。

 

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