融合問題演習-解答編-

融合問題

入試問題では、色々な単元を融合的に使って解くような問題が結構あります。今回はこのような問題を精選してみましたので、その解答編をしめします。リンクに講義と問題があります。次に講義と問題があります。融合問題演習

融合問題演習の解答

【問題1】
\(0<a<b≦π/2\)のとき、不等式 \(a/b<sina/sinb<π/2・(a/b)\) が成り立つことを証明してください。

【解答1】
\(a/b<sina/sinb<π/2・(a/b)\)・・・・・・①
から、\(a>b>0ですから、sinb/b<sina/a\)・・・・・②となります。

ここで、\(f(x)=sinx/x\) とおけば、x>0で\(f’(x)=(xcosx-sinx)/x^2\)ですから、さらに、\(g(x)=xcosx-sinx とおくと、g'(x)=-xsinx<0(0<x≦π/2)\)
となります。従って\(y=f(x)は、0<x≦π/2\)で単調減少になりますから、
\(0<a<b≦π/2 で f(a)>f(b)≧f(π/2)\) となります。

従って、\(sina/a>sinb/b≧(sinπ/2)/(π/2)=1/(π/2)\) となりますから、この逆数をとれば、\(a/sina)<b/sinb≦π/2\) となりますから、
\(a/b<sina/sinb<π/2・(a/b)\) が成り立ちます.(Q.E.D.)

【問題2】
m,nを自然数とするとき、\(m^n=n^m\)を満たす自然数の組(m,n)をすべて求めてください。(金沢大改)

この問題には、誘導がついておりますが、本質的な問題のみを演習にしています。整数問題をどう解くかです。

【解答2】
\(m^n=n^m\)の両辺の自然対数をとると、
\(nlogm=mlogn\)から、\(logm/m=logn/n\)・・・・・・・②
となります。

ここで、m,nは自然数ですから、\(f(x)=logx/x(x>0)\)・・・・・・③
とおけば、\(f’(x)=(1-logx)/x^2\) ですから、y=f(x)は、x=eで極大値をとります。また、\(f(m)=f(n)\)・・・・・・④ですから、
ⅰ)m=nのとき、④は成り立ちます。
ⅱ)m≠nのとき、f(2)=f(4)=log2/2ですから、
④が成り立つのは、(m、n)=(4,2)(2,4)です。

従って、求める自然数\((m,n)は、(m,n)=(2,4)、(4,2)、(k,k)\) となります。
ただしkは任意の自然数です。

(注)現問題は、f(x)=logx/xは、x≧eで単調減少である事を示しなさい。
などの付随問題が加わっています。

【問題3】
2直線l:y=-2/3x+2、m:y=xがあります。P1(0,2)とし、
P1を通りx軸に平行な直線と直線mとの交点をQ1
Q1を通りy軸に平行な直線と直線lとの交点をP2
P2を通りx軸に平行な直線と直線mとの交点をQ2
Q2を通りy軸に平行な直線と直線lとの交点をP3
以下同様にして、点Pn、Qn(n=1,2,3,・・・・・・・)とし、
また、点Pnのx座標をxn(n=1,2,3・・・・・)とします。

線分PnQnの長さをLnとするとき、
\(\displaystyle \lim_{ n \to \infty }\displaystyle \sum_{ k = 1 }^{ n } L_n\) を求めてください。

【解答3】
\(Pn(xn,-2/3・xn+2), Pn+1(xn+1,-2/3・xn+1+2)\)
点Qnのx座標は、Pn+1のx座標に等しく、y座標は点Pnのy座標に等しいから、
\(Qn(xn+1,-2/3・xn+2\))で、Qnは、y=x上にあるから、
\(xn+1=-2/3・xn+2\)・・・・・・① の漸化式がえられます。

①より、\(xn+1-6/5=-2/3(xn-6/5\))から、
\(xn=6/5{1-(-2/3)^{n-1}}\)・・・・・・②

②から、\(Ln=PnQn=lxn+1-xnl=6/5・l (-2/3)^{n-1}-(-2/3)^{n} l
=2・(2/3)^{n-1}\) となります。

よって、\(\displaystyle \sum_{ n = 1 }^{ ∞} Ln\)=6 となります。

【問題4】
正の実数a,b,cが、a+5b+7c=12を満たすとします。
\(\sqrt{a}+\sqrt{5b}+\sqrt{7c}\) の最大値を求めてください。
(鳥取大改)

【解答4】
シュワルツの不等式より、実数p,q,r,x,y,zに対して、
\((p^2+q^2+r^2)(x^2+y^2+z^2)≧(ax+by+cz)^2\)・・・・・① が成り立ちます。

①でp=q=r=1、\(x=\sqrt{a}\),\(y=\sqrt{5b}\),\(z=\sqrt{7c}\) とおけば、
\((1+1+1)(a+5b+7c)≧(\sqrt{a}+\sqrt{5b}+\sqrt{7c})^2\) となりますから、
\(\sqrt{a}+\sqrt{5b}+\sqrt{7c}\)6となります。等号は、
\(\sqrt{a}=\sqrt{5b}=\sqrt{7c}=2\)のときで,a=4、b=4/5、c=4/7のときです。
よって、求める最大値は、6となります。

(注)実際の問題は、導入があり、最後の問題のみ取り上げています。

【問題5】
n≧10の自然数のとき、\(2^n>n^3\) が成り立つことを証明してください。

【解答5】
数学的帰納法で証明します。

ⅰ)n=10のとき、2^10=1024、10^3=1000 ですから、n=10のとき
なりたちます。

ⅱ)n=k(≧10)のとき、題意が成り立つとすれば、
\(2^k>k^3\) ・・・・・・・・①

①に2をかけると、
\(2^{k+1}>2k^3\)・・・・・② となります。
ここで、\(2k^3-(k+1)^3=k^3-3k^2-3k-1\)
=\(k(k^2-3k-3)-1\)
=\(k((k-3/2)^2-21/4)-1\)≧669>0(k≧10)
よって、\(2^{k+1}>(k+1)^3\) となり、n=k+1のときも不等式は
成り立ちます。

以上より,数学的帰納法により、n≧10のとき、\(2^n>n^3\) が成り立ちます。

【問題6】
aを定数とし、\(f(x)=x^4-x^3-3x^2\)とします。曲線y=f(x)に点(0,a)から接線がただ1本引けるとし、かつこの接線はただ1点でこの曲線に接するとします。このとき、aの値を求めてください。(大阪大)

標準的な問題だと思います。これは落とせないですね。

【解答6】
\(f’(x)=4x^3-3x^2-6x\) ですから、y=f(x)上の点、(t,f(t))における接線の方程式を求めると、\(y-(t^4-t^3-3t^2)=(4t^3-3t^2-3t^2)(x-t) となりますから、y=(4t^3-3t^2-3t^2)(x-t)-3t^4-t^3+3t^2\) です。これが、(0,a)を通るので、
\(a=-3t^4-2t^3+3t^2\)・・・・・・① となります。

ここで、\(g(t)=-3t^4-2t^3+3t^2\)とし、\(y=g(t)とy=a\)のグラフを考えます。\(g'(t)=-12t^3-6t^2+6t=-6t(t+1)(2t-1)\)となりますから、y=g(t)の増減表を書き、グラフを書きます。これが、y=aとただ1点で接するときのaを求めればいいですから、a=2となります。

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