πの近似値の計算-べき級数による計算-
πの近似値の求め方
円周率πの近似値は、アルキメデスなどにより、円に内外接する正多角形(正n角形)を求めることにより、π=3.141・・・・・などが求められていました。また有名な式としては、223/71<π<22/7 などが知られていました。πは無理数であり、さらにどのような代数方程式の解にもならない超越数であることは、リンデマンにより示されています。今では、πを級数展開で求めるのが一般的であり、そのべき級数の収束性の早さが近似値を求めるときに、重要になってきます。
級数展開でのπの求め方
1) \(y=\arctan x\) (-π/2<x<π/2)を微分すると
\(\frac{ dy }{ dx }\)=\(1/\frac{dx}{dy}\)=(1/\(\frac{d}{dy}tany)\)=\(1/\sec ^2x\)=\(1/(1+x^2)\) ですから、f(x)=\(y=\arctan x\)とすると、
lxl<1のとき \(f’(x)=1/(1+x^2)=1-x^2+x^4-・・・・+(-1)^nx^(2n)+\)
ここで、べき級数 \(x-x^3/3+x^5/5-・・・・+(-1)^(2n+1)/(2n+1)+\)・・・① を考えると、一般にF(x)=\(c0+c1x+・・・+cnx^n+\) については、\(\displaystyle \lim_{ n \to \infty }\vert(cn)/cn+1)\)は、F(x)はlxl<rで収束し、この範囲でF(x)は微分可能になることが知られています。これを①にて適用すると、\(\displaystyle \lim_{ n \to \infty }\vert(2n+1)/(2n-1) \vert\)=1ですから、lxl<1で収束することがわかります。①であらわされる関数をg(x)とすれば、g'(x)=f'(x)よって、f(x)-g(x)は定数となりますが、f(0)=g(0)ですから、f(x)=g(x) lxl<1 従ってf(x)が展開できて、x=1でも収束することが知られています。
よって、π/4=\(\arctan 1\)=\(1-1/3+1/5-・・・・・+(-1)^n1/(2n+1)+\) この式でnを大きくとると、πの値はいくらでも詳しく計算することができますが、この級数は収束性があまり早くありません。
2)そこで、\( arctan 1/5\)=θ とすると\( arctan 1/239\)=4θ-π/4 となることを使うと収束性が早くなります。
π/4=4\( arctan 1/5\)-\( arctan 1/239\)=\(1/5-1/3・5^3+1/5・5^2-)-\)