実力問題演習2-難関国立大医学部・解答編-

実力診断問題2-難関国立大医学部-

国立難関大医学部の入試問題の演習の解答です。時間が短いですから、見通しよく解答を書く必要があります。目標は7割以上です。解説と問題は、こちらです。実力問題演習2-難関国立大医学部-

実力演習問題2・難関国立大編(時間:90分)
「東京医科歯科大」

【問題1】
a,b,cを相異なる正の実数とします。
(1)次の2式の大小関係を比較してください。
\(a^3+b^3\)、\(a^2b+b^2a\)
(2)次の4数の大小を比較して、小さい順に並べてください。
\((a+b+c)(a^2+b^2+c^2)、(a+b+c)(ab+bc+ca)、3(a^3+b^3+c^3)、9abc\)
(3) x,y,z を正の実数とするとき、
\((y+z)/x+(z+x)/y+(x+y)/z\) のとり得る値の範囲を求めてください。

【解答1】
ある程度、大小関係を予測して問題を解かなければならないと思います。

(1) \(a^3+b^3-(a^2b+b^2a)=(a-b)^2(a+b)>0\) ですから、\(a^3+b^3>a^2b+b^2a\) となります。
(2) \(3(a^3+b^3+c^3)\)-\((a+b+c)(a^2+b^2+c^2)\)=
\((a-b)^2(a+b)+(b-c)^2(b+c)+(c-a)^2(c+a)>0\)
となりますから、
\(3(a^3+b^3+c^3)>
(a+b+c)(a^2+b^2+c^2)\) です。
また、\((a+b+c)(a^2+b^2+c^2)\)-\((a+b+c)(ab+bc+ca)\)=
\(a^3+b^3+c^3-3abc\)=\((a+b+c)(a^2+b^2+c^2-ab-bc-ca)\)=
\(1/2・{(a-b)^2+(b-c)^2+(c-a)^2}>0\)となりますから
\((a+b+c)(a^2+b^2+c^2)>(a+b+c)(ab+bc+ca)\)
また、\((a+b+c)(ab+bc+ca)-9abc\)=\(a(b-c)^2+b(c-a)^2+c(a-b)^2\)
よって、小さい順に\(9abc、(a+b+c)(ab+bc+ca)、(a+b+c)(a^2+b^2+c^2)、3(a^3+b^3+c^3)\) となります。
(3) x,y,zは正ですから、\(y/x+x/y≧2\sqrt{(y/x)(x/y)}\)=2 となります。同様に\(z/y+y/z≧2、x/z+z/x≧2\) となります。
従って、\((y+z)/x+(z+x)/y+(x+y)/z=y/x+x/y+z/y+y/z+x/z+z/x≧6\)です。
等号は、x=y=zのときに成り立ちます。また、たとえば、y,zを固定してx→∞とすれば、この式は∞になります。よって\((y+z)/x+(z+x)/y+(x+y)/z≧6\) となります。

【問題2】
空間図形において、O(0,0,0)、A(1,0,0)、B(0,1,0)、C(0,0,1)、D(0,1,1)、E(1,0,1)、F(1,1,0)、G(1,1,1) とし、この8点を頂点とする立体をQとします。
また、P(x,y,z)、正の実数tに対し、次の6点(x+t,y,z)、(x-t,y,z)、(x,y+t,z)、(x,y-t,z)、(x,y,z+t)、(x,y,z-t)を頂点とする正8面体を\(α_t(P)\),その外部を\(β_t(P)\)とします。ただし、立方体及び正8面体は内部の領域も含むものとします。
(1) 0<t≦1のとき、\(Q\cap β_t(o)\capβ_t(D)\cap β_t(E)\cap β_t(F)\) の体積をtを用いてあらわしてください。
(2) \(Q\cap α_1(O)\cap β_1(A)\cap β_1(B)\cap β_1(C)\) の体積を求めてください。
(3) 0<t≦1 のとき、
\(Q\capβ_1(O)\capβ_1(A)\capβ_1(B)\capβ_1(C)\capβ_1(D)\capβ_1(E)\capβ_1(F)\capβ_1(G)\) の体積tで表してください。

【解答2】
(1) \(βt(O),βt(D),βt(E),βt(F)\)はいずれも、Qの内部では、共通部分を持ちません。
\(Q \cap βt(O)\) は、底面の面積がtxtx1/2で、高さがtの3角錐ですから、その体積は、\(t^3/6\)となります。従って、求める体積は、\(1-t^3/6・4=1-2/3・t^3\) となります。
(2) \(Q\capα_1(O)\) は対角線を結ぶ4面体になるから、同様に考えるとその内部の4面体となります。これは、1/4になりますから、求める体積は、1x1x(1/2)x1x(1/3)=1/6 の1/4です。従って、1/6×1/4=1/24 となります。(図を書いてみてください。)
(3)ⅰ)0<t≦1/2 のとき、\(β_t(X)\) (X=O~G) のどの2つも共有部分を持たないから求める体積は、\(1-8xt^3/6\)=\(1-4/3・t^3\)となります。
ⅱ) 1/2≦t≦1 のときは、\(α_t(O)、α_t(A)\) は共通部分を持ち、その体積は、
1/3・\(\frac{2t-1}{\sqrt{2}}\)x\(\frac{2t-1}{\sqrt{2}}\)x1/2x\(\frac{2t-1}{2}\)=1/3・\((t-1/2)^3\) となります。このような部分は辺の数だけあり、12個ですから、求める体積Vは、
V=1-{\(t^3/6\)x8-12x1/3・\((t-1/2)^3}\)=8/3・\(t^3-6t^2+3t+1/2\)
となります。

【問題3】
O-xy平面において、次の円と楕円を考えます。
C:\(x^2+y^2=1\) E:\(x^2+y^2/2=1\)
また、C上の点P(s,t)におけるCの接線をlとします。
(1)lの方程式を、s,tで表してください。
以下、t>0とし、Eがlから切り取る線分の長さをLとします。
(2) Lをtを用いて表してください。
(3) Pが動くとき、Lの最大値を求めてください。
(4) Lが(3)で求めた最大値をとるとき、lとEが囲む領域のうち、原点を含まない領域の面積をAとするとき、Aを求めてください。

【解答3】
(1) sx+ty=1が答えです。
(2) \(s^2+t^2=1\)です。(1)から、t>0より、y=\((1-sx)/t\)より、これをEに代入して、整理すると、\((t^2+1)x^2-2sx+1-2t^2=0\) となります。この判別式をDとすると、\(D/4=2t^4>0\) より、2次方程式は異なる実数解α、βをもちます。従って、Eとの交点は、P(α、(1-sα)/t),Q(β、(1-sβ)/t)となりますから、L=PQです。ここで、解と係数の関係から、\(α+β=2s/(t^2+1)\)、\(αβ=(1-2t^2)/(t^2+1)\)・・・・・① が成り立ちます。
ここで、\(L^2=(β-α)^2+((1-sβ)/t-(1-sα)/t)^2\)=\((β-α)^2/t^2\) ここで、①を用いて、\((β-α)^2=(α+β)^2-2αβ\)=\(8t^4/(t^2+1)^2\)
よって、L=2\(\sqrt{2}\)\(t/(t^2+1)\) が答えです。
(3)L=2\(\sqrt{2}\)\(t/(t^2+1)\)=2\(\sqrt{2}\)\((1/t+1/t)\)≦2\(\sqrt{2}\)/2=\(\sqrt{2}\) で等号は、t=1のときに成立します。
(4)t=1のとき、s=0です。lとEを含まない領域を考えこれをy軸に1/\(\sqrt{2}\)倍拡大すれば、Eは円となります。この領域は、半円の面積π/2から底辺が\(\sqrt{2}\)、高さが1/\(\sqrt{2}\)の3角形の面積をのぞき、さらに45°の扇形2つを除いたものですから、π/2-1/2・\(\sqrt{2}\)・1/\(\sqrt{2}\)-2xπ/4・1・1・1/2=π/4-1/2となります。 Aは、これを\(\sqrt{2}\)倍したものですから、
A=\(\sqrt{2}\)(π-2)/4 となります。

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