リーマンのゼータ関数について-実数無限級数としての収束性-
リーマンのゼータ関数ζ(s)
リーマンのゼータ関数は、素数の正体にせまるであろうと言われているもっとも有名な数学上の未解決問題だろうと思います。概略については既に書いておりますが、もう少し掘り下げて考えてみましょう。リーマンのゼータ関数は、 ζ(s) (sは複素数)であらわされるもので、これをわかりやすく書くと、ζ(s)=\(\displaystyle \sum_{ n = 1 }^{ ∞} \frac{1}{n^s}\)=\(\frac{1}{1^s}+\frac{1}{2^s}+\frac{1}{3^s}\)・・・・・・+\(\frac{1}{n^s}\)+・・・・・・ であらわされる無限級数です。
リーマン予想
リーマン予想とは、ζ(s)=\(\displaystyle \sum_{ n = 1 }^{ ∞} \frac{1}{n^s}\)=0 の複素零点は、sの実部が1/2であろうというものです。すなわち、Re(s)=1/2 です。
ゼータ関数のs実数としたときの級数の収束性
実際のリーマン予想は、複素変数でとても難しいものですが、ここでは、sをs>0の実数としたときの \(\displaystyle \sum_{ n = 1 }^{ ∞} \frac{1}{n^s}\) の無限実数級数とみたときの収束性について考えてみましょう。
a) s>1 の場合
x>1 とすれば、\(\frac{1}{x^s}\) は単調減少関数です。従って、\(\int_n^{n+1}\frac{1}{x^s}dx\)<\(\frac{1}{n^s}\)<\(\int_{n-1}^n\frac{1}{x^s}dx\) ・・・・・・・・① となります。よって①から、 \(\displaystyle \sum_{ k = 1 }^{ m} \frac{1}{k^s}\) <\(\int_1^m\frac{1}{x^s}dx\) <\(\int_1^{∞}\frac{1}{x^s}dx\) =\(\frac{1}{s-1}\) ・・・・・・・① 従って \(\displaystyle \sum_{ n = 1 }^{ ∞} \frac{1}{n^s}\) は収束します。(厳密には、級数の絶対収束性の証明が必要です。)
b)s=1のとき
\(\displaystyle \sum_{ n = 1 }^{ m} \frac{1}{n}\)>\(\displaystyle \sum_{ n= 1 }^{ m} \frac{1}{x}\) =\(\log (m+1)\)ですから、\(\displaystyle \sum_{ n= 1 }^{ m} \frac{1}{n}\) はm→∞で発散します。
c)s<1 のとき
\(\displaystyle \sum_{ n = 1 }^{ ∞} \frac{1}{n^s}\) >\(\displaystyle \sum_{ n= 2 }^{ m+1} \frac{1}{nlogn}\) >\(\displaystyle \sum_{ n= 2 }^{ m+1} \frac{1}{xlogx}\)=\(\left[ \frac{1}{loglogx } \right]_2^{m+1}\)→∞(m→∞)となりますから、s<1でも発散します。
以上をまとめると、ζ(s)=\(\displaystyle \sum_{ n = 1 }^{ ∞} \frac{1}{n^s}\)は、sをs>0の実数とするとき、0<s≦1 のとき、発散、s>1のとき収束することがわかります。
ζ(2n)の値はどうなるのか
これも目覚しい結果が得られています。\(ζ(2n)=ηn・π^{2n}\) が得られています。 ηn=\(\displaystyle \sum_{ l = 1 }^{ n-1} (-1)^{l-1}\frac{ηn-l}{(2l-1)!}\)+\((-1)^{l-1}\frac{n+1}{(2n+1)!}\) となります。わかりやすく書くと、\(ζ(2)=\frac{π^2}{6}\), \(ζ(4)=\frac{π^4}{90}\),・・・・・などとなります。