ABC予想について-ABC予想とは何か、証明の行方は?-

ABC予想について-京大・望月新一教授の証明-

ABC予想は、数学上の超難問で、1985年に Joseph Oesterle’ と David Masser によって予想されたもので、数論上の超難問と言われています。これが、2012年に京都大学の望月新一教授により証明されたとの報道がなされ、大きな反響を呼んでいます。しかしながら、望月教授の証明が極めて難解で、3年近くたった今でもまだ証明だ正しいかどうか結論が出ていません。フェルマーの最終定理を証明したWillesの時も、査読で間違いが見つかり、その修正に1年以上かかっています。難問の証明では、新しい理論が多く使われるため相当な時間がかかるようです。望月教授の論文も、500ページくらいだそうですが、関連記事を含めると、2000ページくらいになるようです。

ABC予想とは何か

ABC予想とは、次のような予想です。

互いに素な自然数\(a、b、c\)が \(a+b=c、a<b\)を満たすとする。この時\(a,b,c\)の積の互いに異なる素因数全体の積をRとする。その時、任意の\(ε>0\)に対して、  \(c>R^{1+ε}\)となる\(a,b,c\)の組は、高々有限個しか存在しない。

と言う予想です。

例をあげておきましょう。\(a=4、b=15、c=19\) としてみましょう。そうすると\(R=2・15・19=570\) となります。\(R\)は、\(c\)より相当大きな数となっていますから、全ての \(ε>0\)に対して、確かに\(c≦R^{1+ε}\) となっています。\((a,b,c)\)に対して、特殊な組でなければ、通常は\(c<R\)となりますから、ABC予想は極めてまれなものとなっています。

ABC予想の望月教授の証明はいかに

望月新一教授の研究室のHPによれば、現在検証中であり、何点かの査読中の指摘はあったが、解決しているとあります。しかしながら余りにも難しい問題なので、査読も極めて困難で、2010代には、それが分かるであろうとなっています。

なぜABC問題が数論上の重要問題なのか

ABC予想及びその系が正しいと分かると、数論上の様々な難問が解けることになるのです。たとえば、フェルマーの定理は、Willesが楕円曲線論、ガロア理論を使って、谷山・志村予想を証明して解決されました。もしABC予想が正しければ、\(n<6\)が示され、\(n=3,4,5\)は既に証明されているので、自動的に証明されることになります。その他にも、モーデル予想などの多くの数論上の問題が証明できることになります。これほど、ABC予想は凄い予想なのです。

ABC予想に関する問題

何らかの数学上の予想が証明されたら、時々入試問題にも反映されることがあります。フェルマーのときの1995年ごろもそうでしたし、ガロワ生誕200年でもそうでした。

ABC予想に関わるような素因数分解の問題をあげておきます。

【問題】

自然数\(m\)に対して、mの相異なる素因数を全て掛け合わせたものをf(m)とします。例えば \(f(72)=6\)です。
(1)\(m,n\)を自然数、\(dをm,n\)の最大公約数とするとき、
\(f(d)f(mn)=f(m)f(n)\) となることを示してください。

(2)2つの箱\(A,B\)のそれぞれに1番から10番までの番号札が10枚入っているとします。箱A、Bから、1枚ずつ札を取り出すとします。箱\(A\)から取り出した番号を\(m\)、\(B\)から取り出した番号を\(n\)とします。\(f(mn)=f(m)f(n)\)となる確率\(p1\)、\(2f(mn)=f(m)f(n)\) となる確率\(p2\)を求めてください。
(大阪大)

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