数学の23の問題-ヒルベルトが1900年に提案した問題-
ヒルベルトの23の数学の問題
1900年にパリで開かれた第2回国際数学者会議で、ゲッティンゲン大のヒルベルトは、20世紀に解決されるべき数学上の23の問題を提起いたしました。20世紀の数学の発展は、ある意味でヒルベルトの23の問題を解決する中で、発展してきたといえるのかもしれません。この中の問題は20世紀に解決されてものがほとんどですが、この中で、第8問題のリーマン予想は、いまだに未解決です。21世紀を迎えた2000年には、アメリカのクレイ数学研究所が、21世紀に解決すべき問題として未解決の7つの数学の問題をあげました。これには、100万ドルの懸賞金が掛けられています。
ヒルベルトの数学の問題に関する日本人の貢献
第14問題は、不変式系の有限性の証明でしたが、これは日本の永田雅宣(京大)によって反例が示され、否定的に解決されています。また第12問題は、類対の構成問題です。高木貞二(東大)はヒルベルトの下に研究にゲッティンゲンにいっています。日本に帰って研究を続けることになりますが、第1次世界大戦により、ヨーロッパから論文が届かなくなり、独自に類体論を完成させています。ある意味で高木貞二の貢献は大きかったともいえると思います。高木貞二は、1932年には、第1回のフィールズ賞選考委員になっています。
その他の面白い問題としては、第18問題に、結晶群の敷き詰めの最密充填問題があげられています。これは、ケプラー問題とも言われます。最密充填の結晶構造は、fccとhcpです。
ミレニアム問題-クレイ数学研究所
2000年に21世紀に解決すべき7つの数学上の問題があげられています。簡単にどんな問題なのかをあげておきます。
・ポアンカレ予想(2002年にロシアのペリルマンにより解決)
・リーマン予想(ヒルベルトの第8問題でもありました。)
・ホッジ予想
・BSD予想(楕円曲線と無限遠点のアーベル階数が、L(E,s)関数のs=1に対応する
・ヤン・ミルズ方程式の質量ギャップ問題
・ナビエ・ストークス方程式の解の存在と滑らかさ(流体力学の問題)
・P≠NP問題
計量計算理論においてクラスPとクラスNPが等しくないと言う予想です。ある問題をコンピューターで解く時にその問題を解くためのビット数をNとし、それを解く手順が存在すれば、問題はクラスPに属するといいます。PもNPも問題の集まりですが、P⊂NPが、P=NPなのか、P≠NPなのかどちらかと、言う問題です。
その他の未解決問題
数学には、まだまだ多くの未解決問題が残っています。数学者が落ち着けるときはないのかも知れません。整数や素数に関する未解決問題が結構あります。
・ゴールドバッハの予想:4以上の偶数は、2つの素数の和で表される。
・カタラン予想:\(a^x-b^y=1\) を満たす自然数a、bの解は、a=3、b=2、x=2、y=3のみである。(2002年に解決)
・完全数の総数問題:完全数はいくつあるのか。(40くらいみつかっています。)
・双子素数の問題:p、p+2がともに素数になるものは無数に存在する。
・エルデスの予想:素数のみで任意の等差数列を作ることができる。
・フェルマー数:\(Fn=2^{2^n}+1\)で表される素数は、\(n=0,1,2,3,4\) のみである。