積分法-1変数から多変数へ-

通常の積分法

普通、高校で学ぶ積分法は、1変数の積分です。不定積分にしても定積分にしても、これは変わりません。しかしながら、高校で学ぶ積分は、実数の範囲であり、この範囲で積分できる関数を扱っているに過ぎません。ですから、問題も積分できるように作ってあるのです。解けない訳はありません。普通の方法では積分できない関数は、変数変換をしたり漸化式を作ったりして、解けるようにします。部分積分や置換積分を使ったりします。通常微積分法で、不定積分が出来ると言う事はf(x)が初等関数の時に、原始関数が初等関数の範囲内に存在することを言います。F(x)=∫ f(x)dx は、F'(x)=f(x)と同等であり、F(x)が初等関数という事なのです。

有理関数のパラメーター化の例

例えば、f(x)を有理関数としたとき, ∫f(cosx、sinx)dxを考えて見ましょう。これは、パラメーターとして、t=tan x/2 とパラメトライズすれば、簡単な計算から、cosx=(1-t^2)/(1+t^2)、sinx=2t/(1+t^2)、dx=2dt/(1+t^2)となりますから、∫f(cosx、sinx)dx=∫f((1-t^2)/(1+t^2),2t/(1+t^2)・dt/(1+t^2)とすれば、tの有理形関数の積分をすればよいことになります。

2項微分の積分

これは、∫x^m(ax^n+b)^q・dx の形のもので、Newtonが考察したものです。m,n,qは有理数です。これは、x^n=tとしてパラメータ化すれば、有理関数の積分に帰着します。

多変数の積分

上記は1変数xの積分でしたが、2変数以上の関数の積分も考えることが出来ます。これを重積分と言います。2重積分を使うと、通常は積分できない∫e^(-x^2)・dxなども積分を求める事が出来ます。こう言う関数は、統計学の正規分布に出てくる関数です。

2重積分の応用

上の正規分布に出てくる広義積分I= ∫(0~∞)e^(-x^2)・dx=√π/2も2重積分を考える事で求める事が出来ます。

I(R)=∫(0~R)e^(-x^2)・dx とおくと、

I=lin(R→∞)I(R) となります。これを求めるために、Kをxy平面上の第1象限全体とし、領域Q(R)を、0≦x≦R、0≦y≦Rを満たす正方形と考えると、R→∞とすれば、Q(R)→Kに収束します。

ここで、∬(Q(R) exp(-x^2-y^2)dxdy=∫exp(-x^2)dx∫exp(-y^2)dy=I(R)^2 となります。

ここで、(x,y)座標を(r、θ)の曲座標とすれば、0≦θ≦π/2、0≦r≦R

dxdy=r・dr・dθ となりますから、

∬(Q(R) exp(-x^2-y^2)dxdy=∫(0-R)∫(0~π/2)exp(-r^2)rdr・dθ =π/2∫(0~R)exp(-r^2)・r・dr=π/4(1-exp(-R^2)となります。従って上式でR→∞とすれば、

I^2=π/4 となります。I>0ですから、I=√π/2 が得られます。

dxdy=r・dr・dθとなるのは、変数変換における補正項です。  (これは、正確には、Jacobianを計算することになります。)

積分法による体積計算

【問題】

xyz空間において、

y^2+z^2≦1、x^2+z^2≦1、x^2+y^2≦1 をすべてみたす点全体からなる立体の体積を求めてください。(入試問題)

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