微分方程式-現象を表すのに便利なツール-
微分方程式の使い方
ある現象を把握するのに、微分法を使うと便利になることが多いものです。最初に物理現象を微分方程式で表したのは、ニュートンです。いわゆるニュートンの3法則です。第二法則が、加速度と質量と力の関係を2次微分で表したものです。他の2つは、慣性の法則と、作用反作用の法則です。ニュートンの第二法則を使うと、全ての力学現象を解く事が出来ます。高校では、自由落下や直線運動や円運動を公式で理解しますが、微分法を使ったほうが、理解しやすく問題を解きやすいと思います。運動では、ニュートンの法則を使えば、どういう運動がなされるかが完全に予想でき間すぅ。これを因果律(Causality)と言います。
簡単な微分方程式の例
放射性元素の、原子崩壊も微分方程式で表されます。ある時間tに存在する元素数をx、時間をt、比例定数を-kとすると、dx/dt=-kxとなります。これは簡単で、変数分離法で解けますぅ。dx/x=-kで、両辺を積分すれば、logx=-kt + C となります。従って、\(x=a・e^{-kt}\)となります。aは定数です。xが初期値の半分になる時間を半減期と言う事は、良くご存知だと思います。1次微分、2次微分、などを線形にしたものを、線形上微分方程式と言います。これらも数列の特性方程式を解くのと同様な方法で解く事ができます。空間では、3次元ですから、(x,y,z)に関する微分を考えますが、これらは偏微分といいます。電磁気学のマックスウエルの方程式も量子力学のSchoreinger方程式も偏微分で表されます。詳細は大学で学びます。Schoreginger方程式を解くと、原子の電子構造の初歩的な理解が出来ます。
微分方程式の応用
ニュートンは、万有引力が存在する時に太陽や惑星、地球や月がどういう運動をするか計算しています。結果によると楕円です。また、ケプラーの法則も証明しています。あるとき、ある点Aと他の点Bを重力のみで運動するときに、AB間を最短で運動するABを結ぶ図形は何かという問題が当時のヨーロッパの著名な数学者、物理学者にだされました。ニュートンは自分の名前を隠して解答を提出しますが、すぐに解答者がニュートンだとわかってしまいました。「鷹は爪を見ればわかる」と言った逸話も残っています。この曲線はサイクロイドで最速降下曲線といいます。但し、摩擦力も抵抗も考えません。微分方程式を敷衍した変分法で解く事が出来ます。
微分方程式の経験例
ディスクメディアを研究開発していたときに、ブレインストーミングをして、円板の中心からの動径の終点方向とその曲線に絶えず接するような曲線は何かという議論になったことがあります。ベクトル解析を使って2次元で解いた事がありますが、曲座標による微分方程式を解くことにより、この曲線は2本の螺旋になりました。当時の上司は喜び、特許にできないかと考えたようですが、そこまではいきませんでした。
部分方程式の問題例
【問題】微分方程式
曲線群xy=c(cは0でない任意の実数)とそれらの全ての交点で接線が互いに直行する曲線群を求めてください。