うそつきの数学 -論理の無矛盾性は保証されているのか-

数学における論理、論理式

数学で言う論理では、ある命題を考えた時に、その真偽が判定できるものを言います。通常命題は、p,qをある論理とした時に、p⇒qと言う形であらわされます。p⇒qが真である時、qはpの必要条件、pはqの十分条件と言います。q⇒pの逆の命題が真であれば、p、qはともに必要十分条件と言うのはよくご存知だと思います。もし、p⇒qが偽であれば、何もいえませんので、必要でも十分でもないことになります。このあたりは基本的なことですから大丈夫だと思います。

数学基礎論で、その公理系(自然数論や集合論)は無矛盾か

これは、1900年に有名なヒルベルトが提唱した数学上の問題ですが、チョコスロバキアのゲーデルによって、不完全であることが示されました。つまり、公理系に矛盾が無いときに、その公理系の中に、正しいとも間違いであるとも証明できない命題がある事を証明してしまいました。これで、当時の数学会は相当な衝撃を受けたといわれています。この定理は、計算機を論理的に研究するときの基礎となる重要な役割を果たしています。

クレタ島の問題

このような命題の例として、クレタ島の命題があります。

「クレタ島の住民の老人が、次のように言いました。クレタ島に住む住民は、全員うそつきだ」

上の命題は、良く考えると、この命題は、正しいとも正しくないとも示すことが出来ない」ことになるのは、少し考えれば分かると思います。これは、一番簡単な例ですから理解は容易だと思います。

ゲーデルの不完全性定理

これは、詳細を書くと複雑にならざるを得ませんので、どういうものかを簡単に書いておきます。

1)第1不完全性原理
「ある矛盾の無い理論体系の中に、肯定も否定もできない証明不可能命題が、必ず存在する」
2)第2不完全性原理
「ある理論体系に矛盾が無いとしても、その理論体系は自分自身に矛盾が無いことを、その理論体系の中で証明できない」

これは、数学に限らず理論体系すべてに適用されることになります。ですから、1930年にゲーデルがこの不完全性原理を証明し発表したときには数学会のみならず、様々な分野で大きな衝撃を与えたのです。それまでは、数学などの論理には、矛盾が無いとして考えられていたのですから。。。。

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