2次曲線について -パスカルの円錐曲線-
2次曲線 -平面2次曲線、空間2次曲線-
一般に2次曲線は、\(o-xy\)平面上で、\(x、y\)座標が2次式として定義されます。よく知られているものは、円、楕円、双曲線、放物線です。ともに、\(x、y\)の2次式の代数方程式の解(あるいは軌跡)として定義もされます。
円は、\(x^2+y^2=r^2\) であらわされ中心が原点半径がr>0となります。楕円は、\(x^2/a^2+y^2/b^2=1\)双曲線は、\(x^2/a^2-y^2/b^2=1\)さらには、双曲線は \(y^2=4px\) であらわされます。ここで、\(a、b、p\)は定数で正の値です。
このように、\(x、y\)の次数が2次のものを2次曲線といいます。2次曲線を、\(f(x,y)=0\)とすれば、\(f(x-p,y-q)=0\) は \(f(x,y)=0\) をx軸方向にp、y軸方向にq平行移動したものですから、2次曲線の平行移動したものとなりますが、これは容易だと思います。
円錐曲線
円錐を空間上に考え、その円錐をある平面で切った切り口を円錐曲線と言います。円錐の底面に平行な平面で切れば、円になりますし母線を切る切り口は楕円になります。このように、円錐の切り口が、円や楕円や双曲線や放物線になる事を発見したのは、パスカルです。パスカルは、物理学でも圧力に関するパスカルの法則を考えていますし、確率論を最初に考えたのもパスカルです。
有名な言葉に、「人間は考える葦である。」と言う格言があります。
2次曲線の極座標表示
2次曲線は、上に挙げたものがありますが、お互いに異なる形式をしています。これを、形式上同等の見方をしたものが、極座標表示です。これには、焦点の座標F,F’と離心率eであらわされます。2次元で考えておきましょう。
\(P(x,y)\)の原点からの距離を\(r,x軸とのx>0\)の反時計回りの角度をθ、離心率をeとすると2次曲線は、全て \(r=l/(1-e・cosθ)\)であらわされます。\(e=0\)なら円、\(0<e<1\)なら楕円、\(e=1\)なら、放物線、\(e>1\)なら双曲線となります。
太陽系などの天体運動も2次曲線で分類できます。太陽の周りを回っている惑星は、太陽を一つの焦点にする楕円軌道を動いており、\(0<e<1\)です。彗星などで太陽系の周りを1度しか回ってこないものは,\(e≧1\)の放物線か双曲線になります。
楕円曲線について
楕円曲線は、高校数学では学びませんが、フェルマーの最終定理の証明された有名な曲線ですので、ここで少し触れておきましょう。楕円曲線は、やはり曲線ですが、双有利変換したものが、\(y^2=x^3+ax+b\)・・・・・① に変形できるものを言います。有利変換した時に①になれば、全て楕円曲線となります。
楕円曲線は、楕円積分を求める過程でできたもので、2次曲線の楕円とは全く異なるものです。\(x^3+y^3=a\) もいわゆる楕円曲線です。x+y=tとおいてこの式を整理すると、\(t^3-3u^2y+3uy^2=a\) となりますから、t^3で割って、Y=y/t、X=1/t とおけば、\(3Y^2-3Y=aX^3-1\)となり、楕円曲線であることが分かります。
楕円曲線に関しては、谷山・志村予想があって、楕円曲線は保型形式(モジュラー)であることが証明されています。これを使って、フェルマーの定理が証明されたのです。少しレベルが高い問題ではありますが、こう言うことがある事を知っておいてもいいのではないかと思います。
2次曲線に関する問題例
点Pより放物線\(y=x^2\) に相異なる2本の接線が引け、その接点をQ,Rとします。角QPRが45°であるような点Pの軌跡を求めてください。