4つの力-素粒子物理学の最前線-
4つの力について
素粒子物理学によると、私たちの世界には、4つの力が存在するとされています。4つの力とは、重力、電磁気力、そしてミクロな世界の弱い力と強い力です。私たちが色々な力を考えるときに、最後はこの4つの力に行き着いてしまいます。そこで、宇宙のいろいろな現象は、この4つの力によって起こっていると考えられています。現代の物理学者は、この4つの力を一つの理論にまとめて、宇宙の全ての現象をすべて説明できる基本的な理論を作ろうとしているのです。
4つの力の発見
4つの力は、重力、電磁気力、弱い力、強い力の4つです。重力や電磁気力は比較的なじみのある力なのかもしれません。重力は、実は詳しくはまだわかっていないそうですが、Newtonが、物体の落下(りんごが有名です.)も地球を回る月の現象も全く同じと見抜き、質量を持つすべての物体には質量に比例した引力が働くという万有引力の法則を発見しました。20世紀初頭に、Einsteinは、重力とは空間が曲がっていることだと主張し、時間と空間と重力の関係である一般相対性理論を発表しました。また、電気と磁気はかつては異なるものだと考えられていましたが、磁石の力と電気の力が本質的に同じもだと見抜いたのは、Maxwellです。つまり、電子の働きだとし、電磁気力を1864年にマックスウェルの4つの方程式にまとめました。私たちが日常で経験していることは、ほとんど電磁気力で説明できます。電子が原子核のまわりをグルグルまわっていることで、説明できてしまいます。
さて、現象論は電磁気力でほとんど理解できますが、原子の原子核の中の陽子と中性子を原子核に束ねている力は何なのでしょうか。陽子はプラスの電荷をもち中性子は電荷をもっていません。なぜ、原子核の中の陽子が反発しあって原子核は崩れてしまわないのか、と言う疑問が出てきます。この問題に取り組んだのが湯川秀樹です。湯川は、中間子が陽子と中性子の間に引力が働くと予言し後にπ中間子が発見され、実証されました。この電磁気力よりも強い力を核力といいます。
これ以上分割することができない基本的な粒子は、素粒子といわれています。陽子や中性子は当初素粒子と考えられていましたが、その後陽子や中性子にはより基本的な素粒子であるクオークから成り立っていることがわかりました。アップクオークとダウンクオークです。陽子は\(+2/3\)の電荷を持つアップクオーク2つと、\(-1/3\)の電荷をもつダウンクオークからできています。中性子は、アップクオーク1つとダウンクオーク2つです。これから分かるように、陽子は\(+1\)、中性子は電荷をもたないことになるのです。
また、素粒子には。物質を構成する素粒子と力を伝える素粒子があります。物質を構成する素粒子には、クオークとレプトンの2つのグループがあります。
力を伝える素粒子には、電磁気力を伝える光子、強い力を伝えるグルーオン、弱い力を伝えるウイークボゾンがあると考えられています。また重力を伝えるものとして、重力子があると考えられています。
グルーオンは、クオークとクオークの間で強い力をもたらす素粒子です。アップクオークやダウンクオークの間をグルーオンが行き来することで、強い力が働いていると考えられています。
また、いろいろな原子核のうち、不安定で時間がたつと壊れてしまうものがあります。これが、弱い力が見出された経緯なのです。\(C_{14}\)は弱い力で、\(N_{14}\)になります。この力を引き起こすのが、ウィークボゾンと言われるものです。
現代物理学では、電磁気力と弱い力を統一するところまできました。電弱統一理論と言われています。さらに現代物理学は、4つの力を統一して1つの理論で説明しようとしているのです。大統一理論や超ひも理論や標準理論や超対称性理論などが懸命に考えられています。