面積と体積の定義
面積と体積はどう定義するのか
面積と体積はどう定義するのかと言っても、図形を考えれば当たりまえだ、と言われればそのとおりかもしれません。しかし、数学では面積や体積も明確な方法で、定義しようと考えます。平面上のある範囲 \(K\) の面積\(S_K\)などをどう定義するか考えてみましょう。面倒な考察をしているように思われるかもしれませんが、様々な図形の面積や体積を明確に定義するためには必要なものです。
上限・下限と面積・体積
ある数の集合\(M\)について
\(1^o\) \(M \ni m\)の全ての\(m\)について、
\(m≦a\)
\(2^o\) \(a'<a\)ならば、
\(a'<a\)ならば、\(a'<m, m \in M\) を満たす\(m\)がある。
このとき、\(a\)は、\(M\)の上限といい、\(supM\) と表します。
同様に、\(M \ni m\)である全ての\(m\)について、\(m≧b\)であり、
\(b’.b\)ならば、\(b’.m,m \in M\)となる\(m\)があるとき、
\(b\)は\(M\)の下限といい、\(b=infM\)と表します。
このもとに、ある範囲\(K\)における面積\(S_K\)を定義してみましょう。
(1)\(K\)が長方形であれば、その2辺の長さを、\(a,b\)とすると、
\(S_K=a・b\)で定義します。
(2)互いに周以外には共通点を持たない範囲\(K\)に含まれる長方形の集合\(Ω_α\)を考えます。
このとき、\(Ω_α\)に含まれる全ての長方形の総和を、\(S_α\)とします。
集合\(Ω_α\)は、いろいろなものが考えられますが、集合\({S_α}\)を考え
\(sup{S_α}=s\)が存在するとき、これを一般の範囲\(K\)の内面積といいます。
ついで、互いに周以外共通点を持たない長方形の集合\(Ω_β\)を考えます。
\(K\)の範囲の全ての点が\(Ω_β\)のどれかの長方形に含まれるとき、\(Ω_β\)は\(K\)をcoverすると言います。
\(Ω_β\)に含まれる長方形の面積の総和を\(S_β\)とします。
このとき、\(K\)をcoverする全ての\(Ω_β\)についての総和\(S_β\)の集合\({S_β}\)を考え、
\(inf{S_β}=S\)が存在するとき、これを\(K\)の外面積を言います。
もし、\(s=S\)であるとき、\(K\)を面積確定と言い、
\(S_K=S=s\)と定義します。
面倒なことをやっていると思われるかもしれませんが、実際に面積を確定できない図形が存在するからです。
面積確定でない図形の例をあげてみましょう。
正方形\(0≦x≦1,0≦y≦1\)のうちから、\(x,y\)ともに有理数である点を除いた範囲を\(K\)としましょう。
外面積\(S=1\)ですが、内面積\(s=0\)となり、面積確定できません。
体積については、面積の場合の長方形を直方体に置き換えて同じことを考えればいいことになります。