難関大学向け演習-解答編-
難関大学にむけて
2018年度の入試も真っ盛りです。センタ試験から、私立大学入試を向かえ、そしてメインイベントの国立大学の2次試験が2月25日/26日にあります。
2段階選抜ですから、センター試験の成績で足切りのあるところもありますが、不幸にも足切りにあった人は、私立大学や国立後期試験に備えてください。
ここでは、特に東京大学、京都大学、東工大、などの難関大を受験する人にむけて、いわゆる難しい問題を選択してみました。頑張って解いてみてください。
難関大学対応問題
【問題1】
\(a\)を定数として、\(0<a<π/2\)とします。
方程式 \(x(1-cosx)=sin(x+a)\) を考えます。
(1) \(n\)を自然数として、この方程式は、\(2nπ<x<2nπ+π/2\)にただ一つの解を持つことを示してください。
(2) (1)の解を、\(x_n\)とおきます。\(\displaystyle \lim_{ n \to \infty } (x_n-2πn) \)を求めてください。
(3) \(\displaystyle \lim_{ n \to \infty }\sqrt{n}( x_n-2nπ)\) を求めてください。
【解答1】
(1) \(x=t+2nπ\)とおくと、\(0<t<π/2\)で 予式は、
\((t+2nπ)(1-cost)=sin(t+a)\)・・・・・・・・① となり、
条件は、①が\(0<t<π/2\)にただ1つの解をもつことと同値です。
\(f(t)=(t+2nπ)(1-cost)-sin(t+a)\) とおけば、
\(f'(t)=(1-cost)+(1+2nπ)sint-cos(t+a)\) \(f”(t)=2sint+(t+2nπ)cost+sin(t+a)\)
\(0<a<π/2\)より、\(f”(t)>0\)で、\(f'(0)=-cosa<0\)、\(f(π/2)>0\) より
\(f'(α)=0\)となる\(0<α<π/2\)がただ1つ存在します。
また、\(f(0)<0\) \(f(π/2)>0\) より、\(0<t<π/2\)に\(f(t)=0\)を満たす\(t\)がただ1つ存在し
従って、与式は、だた1つの解をもちます。
(2) ②の解を\(t_n\)とおくと、\(t_n=x_n-2nπ\)
\((t_n+2nπ)(1-cost_n)=sin(t_n+n)\)から、
\(cost_n=1-sin(t_n+α)/(t_n+2nπ)\)
また、\(\vert\sin(t_n+α)/(t_n+2nπ) \vert<1/2nπ→0(n→∞)\)
従って、\(\displaystyle \lim_{ n \to \infty }t_n=\displaystyle \lim_{ n \to \infty }( x_n-2nπ)=0\)
【問題2】
(1) さいころを\(4\)回なげて、でた目を順に\(a,b,c,d\)とします。
\(f(x)=ax^3+bx^2+cx\)に対して、\(f(d)\)が素数となる確率を求めてください。
(2) さいころを\(6\)回なげて、そのでた目を順に、\(a,b,c,d,e,f\)とします。
2つの放物線 \(y=ax^2+bx+c、 y=dx^2+ex+f\) がただ一つの共有点をもつ確率を求めてください。
【解答2】
(1) \(f(d)=d(ad^2+bd+c)\)が素数になるには、\(d=1\)で、このとき\(f(d)=a+b+c\)
よって、\(d=1\)かつ\(a+b+c=素数\)
そして、\(a+b+c=素数\)になる組み合わせは、
\(a+b+c=3,5,7,11,13,17\)
これらの組み合わせは、\(73\)通り
よって、確率は、\(73/6^4=73/1296\)
(2) 答え \(1031/5832\)
【問題3】
関数\(f(x)\)は、1次導関数、2次導関数を持つものとします。
また、\(f(x)\)は、\(0≦x≦1\)で、\(f(x)>0\) \((f'(x))^2≦f(x)・f”(x)≦2((f’x))^2\) を満たしているとします。
このとき次の不等式を示してください。
(1) \(f(1/2)≦(a+b)/2\)
(2) \(f(1/3)≦\sqrt[3]{a^2b}\)
(3) \(f(1/4)≧4ab/(a+3b)\)
(4) \(\displaystyle \int_{0}^{1} f(x) dx ≦1/4・a+1/2・\sqrt{ab}+1/4b\)
【解答3】
(1) \(F(x)=logf(x)\)を\(0≦X≦1\)で定義できます。このとき
\(F'(x)=f'(x)/f(x)、F”(x)=(f(x)f”(x)-(f’x))^2)/(f(x))^2\)
よって条件より、\(F”(x)≧0\)
よって、\(f(X)\)は、\(0≦X≦1\)で下に凸です。
\(F(X)≦(1-x)F(0)+xF(1)=loga^{1-x}b^x\)\)から
\(f(x)≦loga^{1-x}b^x\)・・・・・・・・①
①に\(x=1/2\)を代入すると、
\(f(1/2)≦\sqrt{ab}≦(a+b)/2\)
(2) ①に\(x=1/3\)を代入すると
\(f(1/3)≦\sqrt[3]{a^2b}\)
(3) 条件より\(0≦x≦1\)で \(G(x)=1/f(x)\)が定義できます。
\(G”(x)=(-F”(x)f(x)+2(f(x))^2)/(f(x))^3\)
条件より、\(G”(x)>0\)より、下に凸
従って、\(G(x)≦(1-x)G(0)+xG(1)\)から
\(1/f(x)≦(1-x)/a+x/b\)より \(x=1/4\)を代入すると
\(f(1/4)≧4ab/(a+3b)\)
(4) 条件式より、\(0≦x≦1\)で、\(f”(x)≧0\)より、\(f(x)\)は下に凸です。
\(\displaystyle \int_{0}^{1} f(x) dx=\displaystyle \int_{0}^{1/2} f(x) dx+\displaystyle \int_{1/2}^{1} f(x) dx\)
≦\(1/2・1/2(f(0)+f(1/2)+1/2・(f(1/2)+f(1))=1/4・a+1/2・\sqrt{ab}+1/4・b\)
【問題4】
note:この問題は、リーマンのゼータ関数にヒントを得た入試問題です。
リーマンのゼータ関数は、\(ζ(s)=\displaystyle \sum_{ n= 1 }^{ ∞ } 1/n^s\)で表される関数で素数定理にも関連しています。
ζ関数に関してリーマンが予想をしていますが、150年以上未解決です。ζ関数は、オイラーによって無限積展開されることが示されていますが、
この問題は、その無限積展開に関連した問題です。国立大学の挑戦枠の問題です。
全ての素数を小さい順に並べた無限数列を、\(p_1,p_2,・・・・・・・・p_n・・・・・・・\)とします。
(1) \(n\)を自然数とするとき、
\(\displaystyle \sum_{ k= 1 }^{ n } 1/k<(1-(1/p_1)^{n+1}/(1-1/p_1) ・(1-(1/p_2)^{n+1}/(1-1/p_2) ・・・・・・・・・\)
・・・・\((1-(1/p_n)^{n+1}/(1-1/p_n)\)
を証明してください。
(2) 無限級数
\(\displaystyle \sum_{ k= 1 }^{ ∞ } (-log(1-1/p_k))\) 発散することを証明してください。
(3) 無限級数
\(\displaystyle \sum_{ k= 1 }^{ n } 1/p_k\) は発散することを証明してください。
【解答4】
(1) \((1-(1/p_1)^{n+1}/(1-1/p_1) ・(1-(1/p_2)^{n+1}/(1-1/p_2) ・・・(1-(1/p_n)^{n+1}/(1-1/p_n)\)
=\((1+1/p_1^2+・・・・・・+1/p_1^n)・・・・・・・(1+1/p_n+・・・・・・+1/p_n^2)\)・・・・・・・・・・・・・①
①の展開式を考えると、この中には、\(1,1/2,1/3・・・・・・・・・・・,1/n\) が含まれます。
よって、
\(\displaystyle \sum_{ k= 1 }^{ n } 1/k<(1-(1/p_1)^{n+1}/(1-1/p_1) ・(1-(1/p_2)^{n+1}/(1-1/p_2) ・・・(1-(1/p_n)^{n+1}/(1-1/p_n)\)
(2) (1)より
\(\displaystyle \sum_{ k= 1 }^{ n } 1/k<\displaystyle \prod_{k= 1 }^n (1-p_k^{-1})^{-1}\)・・・・・・・②
また、\(y=1/x\)は、\(x>0\)で下に凸ですから、
\(\displaystyle \int_{1}^{ n+1} 1/xdx<\displaystyle \sum_{ k= 1 }^{ n } 1/k\)・・・・・・③
②、③より、\(log(n+1)<\displaystyle \sum_{ k= 1 }^{ n } 1/k<\displaystyle \prod_{k= 1 }^n (1-p_k^{-1})^{-1}\)・・・・・・④
従って、④は両辺正ですから、
\(log(log(n+1)<\displaystyle \sum_{ k= 1 }^{ n }(-log(1-p_k^{-1}))\)
\(n→∞\)とすると
\(\displaystyle \lim_{ n \to \infty } \displaystyle \sum_{ k= 1 }^{ n }(-log(1-p_k^{-1})=∞\)
(3) \(1≦x≦1/2\)で容易に \(-log(1-x)<2log2・x\)を示すことが出来ます。
\(p_k≧2\)ですから、\(0<1/p_k≦1/2\)より、
\(1/2log2・ \displaystyle \sum_{ k= 1 }^{ n }(-log(1-p_k^{-1})≦\displaystyle \sum_{ k= 1 }^{ n } 1/k\)
よって、\(\displaystyle \lim_{ n \to \infty } \displaystyle \sum_{ k= 1 }^{ n }1/p_k=∞\)
(注)\(\displaystyle \lim_{ n \to \infty } \displaystyle \sum_{ k= 1 }^{ n }1/k\) なら、
\(\displaystyle \int_{1}^{ n+1} 1/xdx=log(n+1)\)から容易に示せます。
また、\(ζ(s)\)に関する問題では、\(ζ(2)=1/1^2+1/2^2+・・・・・・・・=π^/6\)を示すいわゆるバーゼル問題が
日本女子大学理学部に誘導つきで出題されています。