難関大学の複素平面の問題-解答編-

難関大学の複素平面の問題の取り扱い方

複素平面は、2つの実数の組で複素平面上の点を表せますので、2次元空間の座標やベクトルとも密接なものがあります。このため、複素平面と解析幾何やベクトルとの融合問題として出題されることもよくあります。問題をどういう視点で見るかで解法も異なってきますが、1つの問題で色々な解き方を考えてみるのも実力アップになると思います。別解の検討です。問題のリンクは次です。難関大学の複素平面の問題

複素平面の問題

問題1】

相異なる3つの複素数があります。これらのうちから、重複を許してとったどの2つの積も、これらの3数のどれかにあたるとします。3数の組を求めてください。(東京工大)

【解答1】

集合論(群論)と複素数の融合問題となります。

相異なる3つの複素数を、α,β,γとします。次の場合を考えます。
(ⅰ)αβγ≠0のときαβ-βγ=β(α-γ)≠0,αγ-αβ=α(γ-β)≠0,βγ-γα=γ(β-α)≠0
ですから、βγ,γα、αβは全て異なります。
よって、(βγ)・(γα)・(αβ)=αβγより、αβγ=1・・・・・・①
ここで、αβ-α^2=α(β-α)≠0、γα-α^2=α(γ-α)≠0から
βγ-α^2=0より、βγ=α^2・・・・・・②
①、②より、α^3=1 同様に、β^3=1,γ^3=1
よって、α,β、γは、の3乗根であり、それらの組は、
(1,(-1+\sqrt{3}i)/2、(-1-\sqrt{3}i)/2)となります。
(ⅱ)α,β,γの一つが0のとき、
α=0としても一般性は失いません。
このとき、0、β、γ3数からなる2数の積は、0,β^2,γ^2,βγですから、β≠0,γ≠0,β≠γだから、
これらが3つの数になるのは、β^2=γ^2のときで、β≠γから、β=-γ
さらに、β=βγまたは、γ=βγより、β=1または、γ=1
よって、3つの数の組は、(0,1,-1)です。
従って、求める数の組は、(1,(-1+\sqrt{3}i)/2、(-1-\sqrt{3}i)/2),(0,1,-1)となります。

【問題2】

a,bは実数の定数とし、a<bとします。このとき、t>0の実数とするとき、zに関する2次方程式
1/t・(z-a)^2+t(z-b)^2=0 は虚数解をもつとします。それらを、x+iy,x-iyとし、x,yは実数、y>0とするとき、複素平面状のP(x,y)はどのような図形を描くか求めてください。(東京大学)

【解答2】

実数部、虚数部の成分(x,y)の間の関係を求めてもいいでしょうが、ここでは、複素数として解いてみます。

与えられた式は、次式と同値です。z-a=±(z-b)ti
よって、\overrightarrow{az }⊥\overrightarrow{bz }ですから、
zは、2点A(a),B(b)を直径の両端とする円周上にあり、t>0だから、
z≠a,z≠bです。また、y>0だから半円(両端は除く)です。

【問題3】

a,b,c,θを次数と詩、zを複素数とします。
(1)(1-z^c)(1+z^c+z^{2c}+・・・・・・・・・・・+z^{mc})を求めてください。
(2)次の式(n項の和)を求めてください。
cosθ+a^2cos3θ+a^4cos5θ+・・・・・・・・・・+a^{2n-2}cos(2n-1)θ
(和歌山県立医科大学)

【解答3】

複素数ですから、ド・モアブルを使うであろう、と言うことは容易に推定できると思います。
(2)はかなり計算が面倒です。時間内に正確な計算をする能力も試されています。

(1)(1-z^c)(1+z^c+z^{2c}+・・・・・・・・・・・+z^{mc})
1+z^c+z^{2c}+・・・・・・・・+z^{mc}-z^c-z^{2c}-・・・・・・・-z^{(m+1)c}
1-z^{(m+1)c}
(2)C=cosθ+a^2cos3θ+a^4cos5θ+・・・・・・・・・・+a^{2n-2}cos(2n-1)θ
S=sinθ+a^2sin3θ+a^4sin5θ+・・・・・・・・・・+a^{2n-2}sin(2n-1)θ
とおき、z=a(cosθ+isinθ)とおくと、ド・モアブルの定理から、
aC+aSi=z+z^2+・・・・・・・・・・・・+z^{2n-1}・・・・・・・・① です。
一方この共役複素数を取ることにより、
aC-aSi=\overline{z}+\overline{z^2}+・・・・・・・・+\overline{z^{2n-1}}・・・・・・・②
①+②から、2aC=(z+z^2+・・・・・・・・・・・・+z^{2n-1})+(\overline{z}+\overline{z^2}+・・・・・・・・+\overline{z^{2n-1}})・・・・・・・③
ここで、(1)の結果から、
(1-z^2)(z+z^2+・・・・・・・・+z^{2n-1})=z-z^{2n+1}・・・・・・・・④
(1-\overline{z})(\overline{z}+\overline{z^2}+・・・・・・・・+\overline{z^{2n-1}})=\overline{z}-\overline{z^{2n+1}}・・・・・・・・⑤
よって、a=0なら、C=cosθ
また、a≠0なら、z=±1のときは、C=±nです。
z≠±1 なら、③、④、⑤から、
2aC=z(1-z^{2n})/(1-z^2)+\overline{z}(1-\overline{z^{2n}})/(1-\overline{z^2})となります。
これをCについて解き、z=a(cosθ+isinθ)を代入すると、
C=((1-a^2)cosθ-a^{2n}cos(2n+1)θ+a^{2n+2}cos(2n-1)θ)/(1-2a^2cos2θ+a^2)

【問題4】

p,qを相異なる正の整数とするとき、xに関する2つの2次方程式
x^{p-1}+x^{p-2}+・・・・・・+x+1=0、x^{q-1}+x^{q-2}+・・・・・・+x+1=0
が共通の解を持つとします。このとき、pqは公約数を持つことを証明してください。

【解答4】

整数係数の代数方程式の解と係数の性質及び整数についての問題です。少し考えにくい問題ですが、複素数を使うこと、自然数が公約数を持つことの意味に注目すれば解決の糸口が見えてくるかも知れません。この手の問題は背理法を使う場合がよくあります。

f(x)=x^{p-1}+x^{p-2}+・・・・・・+x+1=0,g(x)=x^{q-1}+x^{q-2}+・・・・・・+x+1=0とおくと、
これらの解は、x^p-1=0,x^q-1=0 (p≧2,q≧2、p≠q)のうち、x≠1でない複素数解です。

それは、cos2mπ/p+i・sin2mπ/p (m=1,2,3,・・・・・・・・・,p-1)
cos2nπ/p+i・sin2nπ/p (n=1,2,3,・・・・・・・・・,q-1)
と書けます。

条件から、この解のうち少なくとも1つは共通解ですから、
これをcos2mπ/p+i・sin2mπ/p=cos2mπ/q+i・sin2mπ/qとすると、
上式が成り立つには、0<2mπ/p,2nq/q<2π ですから、
2mπ/p=2nπ/qから、m/p=n/q、よってp/q=m/n・・・・・・・①
一方、1≦m<p,1≦n<q、p≠qですから、①式は、p/qが規約でないことを示しています。
従って、p,q は公約数を持ちます。

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