難関大入試問題演習-解答編-
難関国立大入試問題(理系)
偏差値の高い国立大理系の入試問題に関する説明をしました。医学部では、7割以上の得点でないとなかなか合格は難しいと思います。センター試験は、2020年にはなくなる方向ですが、難関校は、センター試験の配点が圧縮され、2次試験重視の傾向があります。センター試験は、9割以上の得点が必要です。解説と問題は、次のリンクにあります。難関国立大入試問題(理系)
難関国立大入試問題の解答(150分)京都大学
【問題1】
次の各問いに答えてください。
(1)aが正の実数のとき、\(\displaystyle \lim_{ n \to \infty } \sqrt[1/n]{1+a^{n}}\) を求めてください。
(2)次の定積分を求めてください。
\(\displaystyle \int_{ 1 }^{ \sqrt{3}} log(\sqrt{1+x^2} dx\)
【解答1】
(1)ⅰ)\(0<a<1\)のとき、\(\displaystyle \lim_{ n \to \infty } a^n=0\)ですから、
\(\displaystyle \lim_{ n \to \infty } \sqrt[1/n]{1+a^{n}}=1\)
ⅱ)a=1のとき、現式=1
ⅲ)a>1のとき
\(a=\sqrt[1/n]{a^{n}}\ ≦ \sqrt[1/n]{1+a^{n}}\)・・・・・①
また、\(\sqrt[1/n]{1+a^{n}}=a^{1+1/n}\)から、\(a^n=1/(α-1)\) よって、\(\sqrt[1/n]{1+a^{n}}<a^{1+1/n}\)・・・・・・・②
とすることができます。①、②より、n→∞のとき、ともにaに収束しますから、答えはaです。
【問題2】
正4面体\(OABC\)において、点 \(P,Q,R\)をそれぞれ\(OA、OB, OC\) 上にとります。
ただし、\(P,Q,R\)は正4面体\(OABC\)の頂点とは異なるとします。
\(△PQR\)が、正三角形ならば、3辺\(PQ,QR,RP\)はそれぞれ3辺 \(AB, BC、CA\)に平行である事を証明してください。
【解答2】
\(△OPQ,△OQR\)に余弦定理を使うと、
\(PQ^2=OP^2+OQ^2-2・OP・OQ・cos60°\)・・・・・・・①
\(QR^2=OR^2+OQ^2-2OR・OQ・cos60°\)・・・・・・・②
\(△PQRは正三角形だから、PQ=QR\) が成り立ちます。よって、①、②から、
\(OP^2-OP・OQ=OR^2-OR・OQ\) 従って、\((OP-OR)(OP+OR-OQ)=0\)
\(OP+OR>OQ より 、OP+OR-OQ≠0\)から、
\(OP=OR\) となります。
\(△OACにおいて、OA:OC=OP:OR=1:1 から、 PR//AC となります。\)
同様にして、PQ //AB, GQ//BC がいえます。
【問題3】
実数x、yが条件\(x^2+xy+y^2=6\)を満たしながら動くとき、
\(x^2y+xy^2-x^2-2xy-y^2+x+y\) がとり得る値の範囲を求めてください。
【解答3】
\(x^2+xy+y^2=(x+y)^2-xy=6\)・・・・・・・① となります。
すなわち、\(xy=(x+y)^2-6\)です。
\(P=x^2y+xy^2-x^2-2xy-y^2+x+y=xy(x+y)-(x+y)^2+(x+y)\)・・・・・②
ですから、ここで、\(x+y=k\)とおけば、①、②から、与えられたP式は、
\(P=(x+y)^3-(x+y)^2-5(x+y)=k^3-k^2-5k\)となります。
また、①から、yを消去すれば、\(x^2-kx+k^2-6=0\)です。xは実数ですから、この判別式をDとすれば、\(D=k^2-4(k^2-6)≧0\)から、
\(-2\sqrt{2}≦k≦2\sqrt{2}\)・・・・・・・・③
従って、\(P=f(k)=k^3-k^2-5k\) の③でのとりうる範囲を求めればいいことになります。
\(f'(k)=3k^2-2k^2-5=(3k-5)(k+1)\)より、\(f’(k)=0の解は、k=5/3、-1\) となります。増減表を書き、③の範囲で\(P=f(k)\)のとりうる範囲を求めると、\(-6\sqrt{2}-8≦P≦3\) となりますから、
\(-6\sqrt{2}-8≦x^2y+xy^2-x^2-2xy-y^2+x+y≦3\)となります。
【問題4】
(1) \(\sqrt[3]{2}\) が無理数である事を証明してください。
(2) \(P(x)\)は、有理数を係数とするxの多項式で、\(P(\sqrt[3]{2})=0\)を満たしているとします。\(P(x)は、x^3-2\)で割り切れることを証明してください。
【解答4】
(1)背理法で容易に示せます。
\(\sqrt[3]{2}\) が無理数でないとすると、\(\sqrt[3]{2}=p/q\)(p,qは互いに素)とかけます。
これより。\(2q^3=p^3\)で、p,qは互いに素ですから、pは2の倍数になりますから、\(p^3\)は8の倍数となります。従って、\(q^3\)は4の倍数となりますから、qも2の倍数です。これは、p,qが互いに素である事に反します。従って、
\(\sqrt[3]{2}\) が無理数です。
(2) \(P(x)を、x^3-2\)で割ったときの商を\(Q(x)\)、余りを\(ax^2+bx+c\)とおきます。ここで、\(a、b、c\)は有理数です。
\(P(x)=(x^3-2)Q(x)+ax^2+bx+c\)・・・・・・・・① とかけます。
\(p(\sqrt[3]{2}))=0\)より、
①から、\(a(\sqrt[3]{2})^2+b\sqrt[3]{2})+c=0\) となります。
ここで、\(p=\sqrt[3]{2}\)とおくと、
\(ap^2+bp+c=0\) ・・・・・・・② となり、②にpをかけると
\(2a+bp^2+cp=0\)・・・・・・③ となります。
②、③から、\((b^2-ac)p-2a^2+bc=0\)
従って、\(b^2-ac≠0\)なら、\(p=(2a^2-bc)/(b^2-ac)\)となり、これは有理数ですから、矛盾します。
また、\(b^2=ac\)のときは、\(2a^2=ac\)です。\(a≠0\)なら、
\(c=b^2/a\)から、\(2=(b/a)^3\)から、\(\sqrt[3]{2}=b/a\)となり、
これは、矛盾です。従って、\(a=0、また、b=0、c=0\) となりますから、
題意は成り立ちます。(QED.)
【問題5】
次の命題 \(p、q\)が正しいかどうか答えてください。正しければそれを証明し、正しくなければ、反例を挙げてください。
(p) 正n角形の頂点から3点を選んで内角の1つが60°である三角形を作ることができれば、nは3の倍数である。
(q) \(△ABCと△ABD\)において、\(AC<ADかつBC<BD\)ならば、\(∠C>∠D\)である。
【解答5】
論証のしにくい問題だと思います。
(p) 正3k 角形では、ある頂点からk-1個の頂点をおいて次の頂点を選び、そこからk-1個の頂点をおいて次の頂点を選んで三角形を作れば正三角形になるので、内角の1つが60°である三角形を作ることができます。
逆に、正n角形のn個の頂点から3点を選んで三角形を作るとき、内角の1つが60°になるということは、この内角を見込む外接円の円弧は円周の1/3になる、ということです。
nが3の倍数でないとき、正n角形の隣接2頂点を頂点とする円弧のうちの小さい方の弧の長さは円周の1/nです。kを自然数として、k/n=1/3 とすると、n=3kでnが3の倍数となって矛盾するので、円周の1/nをk個集めても円周の1/3になることはありません。
従って、正n角形のどの2頂点を選んでも、この2頂点を両端とする円弧は円周の1/3にはなり得ないので、内角の1つが60°である正三角形はできません。
よって、命題pは正しいことになります。
(q)△ABCと△ABDとで共有する辺ABを弦にもつ円を考えると、∠C,∠Dは、弦ABの上に立つ円周角として考えることができます。円の半径が大きくなると弦ABの上に立つ円周角は小さくなります。
DをAD>ABとなるようにとり、ADを半径とする円C3を描きます。Bは円C3の内側に来ます。ここで、Bを中心として、BDを半径とする円C4を書くとBは円C4の内側に来ます。円C1はBを通るので、円C1上の点で、円C3の内側にあって、かつ、円C4の内側にある点が存在します。この点をCとすれば、AC<ADかつBC<BD”を満たします。ところが、CはC1上の点、DはC2上の点なので∠C<∠Dです。
よって命題qは正しくありません。
【問題6】
さいころをn回投げて出た目を順に\(X_1,X_2,・・・・・・・,X_n\) とします。さらに、
\(Y_1=X_1, Y_k=X_k+1/(Y_{k-1})\) \(k=2,3,・・・・・・・n)\)
によって、\(Y_1,Y_2,・・・・・・・・・,Y_n\) を定めます。
\((1+\sqrt{3})/2≦Y_n≦1+\sqrt{3}\) となる確率 \(p_n\)を求めてください。
【解答6】
\(Y_n≧1\)が示せます。\(1/(1+\sqrt{3})=(\sqrt{3}+1)/2\) となりますから、
ⅰ) \(1≦Y_n≦(1+\sqrt{3})/2\) のとき、\(X_n+1+\sqrt{3}-≦Y_{n+1}≦X_{n+1}+1\)ですから、\(X_{n+1}=1のとき、(1+\sqrt{3})/2≦Y_{n+1}≦1+\sqrt{3}\) となり、\(X_{n+1}≧2\)のとき、\(Y_{n+1}>\sqrt{3}+1\)
ⅱ)\((1+\sqrt{3})≦Y_n≦1+\sqrt{3}\) のとき、\(X_{n+1}+(\sqrt{3}-1)/2≦Y_{n+1}≦X_{n+1}+\sqrt{3}-1\)ですから、\(Xn=1、2 \)で、\(1+\sqrt{3})/2≦Y_{n+1}≦1+\sqrt{3}\)となり、\(X_{n+1}≧3\)のとき、
\(Y_{n+1}>1+\sqrt{3}\)
ⅲ) \(Y_n>1+\sqrt{3}\) のとき、
\(X_n=1\)のとき \(1≦Y_{n+1}<(1+\sqrt{3})/2\)
\(X_n=2\) のとき、\((1+\sqrt{3})/2 ≦Y_n≦1+\sqrt{3}\)
\(X_n≧3\)のとき、\(Y_{n+1}>1+\sqrt{3}\) となります。
ここで、\(1≦Y_n≦(1+\sqrt{3})/2\)となる確率を、\(a_n\)、\(Y_n>1+\sqrt{3}\) となる確率を、\(b_n\)とすれば、\(a_{n+1}=1/6・b_n\)
\(a_n+p_n+b_n=1\)・・・・・・・① となります。
また、上記の議論から、\(p_{n+1}=1/6・a_n+1/3・p_n+1/6・b_n\)・・・・・②
①、②より、\(P_n\)の関係式を導くと、
\(p_{n+1}=1/6・p_n+1/6\) となります。
\(p_1=1/6\)ですから、\(p_n=1/5・(1-(1/6)^n\) となります。