難問解法のテクニック-解法のコツ-

難問解法のテクニック-難関大学入試問題をどう解くか-

難関大の難しそうな問題を見たときに、どのような対応をすべきか、考えてみましょう。入試問題は必ず解ける問題が出題されます。さらに、必ず出題者が解答を書いた問題です。中には解なし、と言う問題が出題事故で出ることはない訳ではありませんが、基本は解ける問題です。時間制限がありますので、敏速に解かねばなりませんが、スピーディーに解く方法はあるはずです。問題は次のリンクです。難問解法のテクニック

難問の解き方-そのテクニック-

【問題1】

\(f(x)=ax^2+bx+c\)とするとき、次の極限値を求めてください。

\(\displaystyle \lim_{ n \to \infty }n・\vert \displaystyle \int_{0}^{ 1} f(x) dx -\displaystyle \sum_{ k = 1 }^{ n }1/n・f(k/n)\vert\)
(東京工大)

【解法のテクニック1】

なんだか凄い式だな、と言う感じですが何とかわかりやすい式に解きほぐすしかないですね。1項目と2項目を具体的に計算するとどうなるのかですね。極限値を求めるのですから、おそらく発散はないでしょうから何かの値に収束するのだろうと考えるのが素直です。\(n\)がかかっているから、それを打ち消す式が絶対値のなかにあるはずだと見当をつけてまずは計算してみます。

\(\displaystyle \int_{0}^{ 1} f(x) dx=a/3+b/2+c\) これは、簡単です。
次は、
\(\displaystyle \sum_{ k = 1 }^{ n }1/n・f(k/n)\)

=\(1/n・(a(1/n^2+2^2/n^2+・・・・・・・・・+n^2/n^2)+b(1/n+2/n+・・・・・・・+n/n)+nc)\)
=\(1/n・an(n+1)(2n+1)/6n^2+b/n(n+1)/2n+c\)
となります。計算してみるとよく知った総和の式が出てきます。これで、絶対値の中を計算し
\(n→∞\)でおしまいです。
とても、ごつい式でしたが、やってみたらたいしたことありません。

答えは、\(\vert (a+b)/2\vert\) になります。

【問題2】

\(a,b,c,d\)はいずれも負でない実数で、これらの和は\(k\)、2乗の和も\(k\)、3乗の和も\(k\)であるとき、このような\(k\)の最大値を求めてください。
(一橋大学)

【解法のテクニック2】

条件を書いてみると、

\(a+b+c+d=k\)・・・・・・・①
\(a^2+b^2+c^2+d^2=k\)・・・・・・・・・②
\(a^3+b^3+c^3+d^3=k\)・・・・・・・・・③
\(a≧0,b≧0、c≧0、d≧0\)・・・・・・・・④
のときの、\(k\)の最大値を求めることになります。
④の条件をどう扱うかで迷うところです。負でないことを考えるのか、実数であることを考えるのか。
まず実数であることにこだわってみましょう。各式が対称式であることに気をつけると、
これの常套手段は、実数と言う条件を
\((a-b)^2+(a-c)^2+・・・・・・・・+(c-d)^2≧0\)・・・・・⑤で表現することです。
⑤を①~③で表せないかを考えてみればよい訳です。簡単な計算から、\(②*4-①^2\)で得られます。

\(②*4-①^2\)より、
\(4k-k^2=(a-b)^2+(a-c)^2+・・・・・・・・+(c-d)^2≧0\)
よって、\(0≦k≦4\) \(k=4\)となるのは、\(a=b=c=d\)で、
①より\(a=b=c=d=1\) また、これは、②、③、④を満たします。最大値は\(4\)です。

この解き方が、普通でしょう。ただし、負でないことにこだわっても出来ます。

【問題3】

\(f(x)\)は、係数が全て整数であるような多項式で、恒等的に\(0\)ではないとします。方程式\(f(x)=0\)が、2つの解\(1,3\)を持つとき、\(f(x)\)の係数のうち、\(-3\)より大きくないものがあることを証明してください。
(神戸大学)

【解法のテクニック3】

これは、どういうことなんだろうと雲をつかむような問題ですが、条件の検討からはじめるしかないようです。

\(f(x)=0\)の2解が、\(1,3\)であることだけが、\(f(x)\)の係数に、\(-3\)より大きくないものがあることを示すただ一つの手がかりです。これを上手く利用するしかないわけですから、\(f(x)\)をどのような形で表すかが、勝負の分かれめです。\(1,3\)が解なのですから、次のようにおくのは標準的です。
\(f(x)=(x-1)(x-3)(a_n・x^n+a_{n-1}・x^{n-1}+・・・・・・・・・+a_0)\)・・・・・・・・・①
そこで、①の右辺の展開式の係数に\(-3\)より大きくないものがあることを証明すればいいわけです。どうやるか。やはり①の右辺を展開するしかなさそうです。順番に掛けたほうがよさそうです。

まず、\(x-1\)をかけましょう。その結果を次のようにしてみます。
\(f(x)=(x-3)(b_{n+1}・x^{n+1}+b_n・x^n+・・・・・・・・・・・+b_1x+b_0\)
ここで、\(b_{n+1}+b_n+・・・・・・・・・・・・+b_1+b_0=0\)・・・・・・・・・・・・②

さらに、\(x-3\)を掛けます。
\(f(x)=c_{n+2}・x^{n+2}+c_{n+1}・x^{n+1}+・・・・・・・・・・・+c_1x+c_0\)
\(c_{n+2}=b_{n+1},c_k=b_{k-1}-3b_k(k=1,2,3,・・・・・・・,n+1),c_0=-3b_0\)

従って、\(f(x)=b_{n+1}・x^{n+2}+(b_n-3b_{n+1})x^{n+1}+・・・・・・・・・・+(b_k-3b_{k+1})x^k+・・・・・・・・-3b_0\)・・・・・・③

\(f(x)\)は恒等的に、\(0\)ではなく、\(2次\)以上の整数係数の多項式です。そのもとに、③の各係数(整数)のうち、\(-3\)より大きくないものが存在することを証明すればよい、と言うところまでたどり着きました。さて、どうやるか。少なくとも1つと言うことですから、背理法がにおってきます。直接法では困難だろうと見切りをつけてみます。

③の多項式の係数が、全て \(-3\) 以上だと仮定したときの矛盾を見つけることになりました。

\(-3b_0≧-2,b_0-3b_1≧-2,・・・・・・・・・,b_n-3b_{n+1}≧-2,b_{n+1}≧-2\)とします。

第1式から\(b_0≦2/3\)ここで、\(b_0\)は整数ですから、\(b_0≦0\) 以下同様にして、\(b_1≦0,・・・・・・・,b_n≦0,b_{n+1}≦0\)
条件より、\(f(x)\)は恒等的に\(0\)ではないから、\(b_k (k=0,1,・・・・・・・,n+1)\)には少なくとも1つは、\(0\)ではありませんが、これは、②に矛盾します。従って題意は証明されました。

\(f(x)\)をどう置くかと背理法に結びつけることが勝負です。

【問題4】

\(f(x)=sin^2x+sinx・cosx\)で、\(f(p)=f(q)=f(r), 0≦p<q<r≦π\)が成り立つとき、\(p,q,r\)を求めてください。
(九州工大)

【解法のテクニック4】

条件を整理すると、
\(f(p)=sin^2p+sinp・cosp\)
\(f(q)=sin^2q+sinq・cosq\)
\(f(r)=sin^2r+sinr・cosr\)
\(f(p)=f(q)=f(r)\)
の連立方程式が成り立つ \(p,q,r\)を求めなさいということになります。
たとえば、\(f(p)=f(q)\)であれば、少し計算すると
\(cos2q-cos2p+sin2p-sin2q=0\)・・・・・① となります。
①をどう処理するかです。三角の和→積か、合成かどちらかでしょう。

和→積なら、\(sin(p-q)\sqrt{2}sin(p+q+π/4)=0\)
合成なら、\(sin(2p-π/4)=sin(2q-π/4)\)

これは圧倒的に合成方式がやりやすそうです。
合成法ですすめます。要するに、上式は
\(f(x)=\sqrt{2}/2sin(2x-π/4)+1/2\)で、\(f(p)=f(q)\)とおいたのと同じです。
そこで、\(y=f(x)\)のグラフを、\(0≦x≦π\)で考えると、\(y\)の値が3回同じ値をとるのは、\(y=-1/\sqrt{2}\)のときで、実際の\(p,q,r\)を求めると、   \(p=0,q=3π/4,r=π\)

\(f(x)\)を微分して、\(y=f(x)\)のグラフを求める手もありますが、3角関数の合成を使ったほうが、計算含めて速いと思います。

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