群論-問題の解答編
群論について
群論については、歴史的な経緯やその定義について記述いたしました。問題をあげてありましたので、その解答を書いておきます。群論にテーマを求めた公立大医学部入試問題です。
問題の解答
問題は、下記のようなものでした。
【問題】
0でない複素数からなる集合Gは次を満たしているとします。Gの任意の要素z、wの積zwはGに属します。
(1)ちょうどn個の要素からなるGの例をあげてください。
(2)ちょうどn(n≧2)個の要素からなるGを求めてください。
(京都府立医大 入試問題)
【解答】
(1)n個の集合Gの例は、\(z^n=1\)の解の集合が考えられます。\(z=cosθ+isinθ\) とおけば、ド・モアブルの定理から、
\(cos(nθ)+isin(nθ)=1\) となります。従って \(θ=2π/n\)となります。よって、\(α=cos2π/n+isin2π/n\) とおけば、
\(G\)={\(1、α、α^{2}、・・・・・・・・・、α^{n-1}\)}となります。これは、複素平面上で半径1の円の円周のn等分点になります。
(2)\(G={z1、z2、・・・・・・・・、zn}\) とします。ただし、\(z{i}(i=1・・・・、n)\)は全て異なるものとします。\(w∈Gでw\)を任意の要素とするとGの定義から、wzi∈G (i=1、2,3、・・・・・・、n)となり、相異なることになります。
従って、z1・z2・・・・・・・zn=wz1・wz2・・・・・・・wzn となります。よって、z1・z2・・・・・・・zn≠0より、\(w^n=1\)となり、Gは\(w^n=1\)の解の集合になりますから、Gは、(1)で求めた集合となります。すなわち、
G={\(1、α、α^2、・・・・・・・・・、α^{n-1}\)}、\(α=cos2π/n+isin2π/n\) となります。
注意事項
(1)は群の例を求める問題ですが、いきなりn個の群を求めるのは厳しいかも知れません。n=3くらいであたりをつけて、n個のものを考えた方がいいと思います。このときは、\(z^3=1\)の集合で、{\(1、ω、ω^2\)}となります。ω=(-1±√3i)/2です。
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