美少女コンテストの問題
ミスコンではなく数学の問題
こう言う少し面白い数学の問題があります。
ミスコンテストを想像してください。世の中には様々なミスコンがあります。2010年代で一世を風靡したAKBの総選挙などもある意味でミスコンの一つなのかもしれません。ここでは全日本美少女コンテストを考えてみましょう。通常は複数の審査員の投票によるか、ファンであれば誰でも投票できる大規模な投票もありますが、ここでは、自分が投票するとすればどの女の子に投票するかの問題とします。また、投票にあたっては以下の条件に従うものとします。
1)自分が投票したい女の子の理想のイメージは決めてあるものとします。このイメージに一番近い女の子を選ぶ方法を考えるものとします。
2)コンテストに出場する女の子は、一人ずつ目の前を通るものとします。その女の子が希望に合えば終了です。
3)女の子が目の前を通り選択しないで次の女の子が来たら、前の女の子を選択はできないものとします。
さて、ここで問題です。このように複数の女の子が順番に目の前を通るとき、どのような方法をとれば、一番自分の理想の女の子を選ぶことができるでしょうか。これが問題です。
数学的な考察
この問題を数学的に考えてみます。女の子が \(n\) 人いるものとします。そして次々に女の子が自分の前を通るのですが、その瞬間にYesかNoかを決めなければなりません。
\(n\) 人の女の子のうちに、\(i\) 番目に理想の女の子が通るものとします。これに最も近い女の子を選ぶ手順を探すことになります。\(r\)番目に理想の女の子が通る確率は、\(1/n\) です。そこで選ぶ手順として \(x\) 人目まで選択しないで、\(x+1\) 番目の女の子を選ぶ方法を考えます。ここで \(x\) は \(1≦x≦n\) の自然数とします。また、\(x+1\)人目に意中の人を選ぶ確率を \(p_x\) とすると
1)\(x≦i\) の場合
\(p_x=0\) となります。
2) \(x≧i+1\) の場合
\(p_x=x/(i-1)\) です。
そこで、意中の女の子を選ぶすべての確率は、\(P(x)=1/n・\displaystyle \sum_{ i = x+1 }^{ n }x/(i-1)\)
=\(1/n・(x/x+x/(x+1)+・・・・・・・+x/(n-1))\) です。よって \(P(x)\) が最も大きくなる \(x\) の値を求めればいいことになります。\(y=1/t\) における積分を考慮すれば、
\(\displaystyle \int_{x}^{n }・ 1/t dt<P(x)<\displaystyle \int_{x}^{ n+1} 1/t・ dt\)・・・・・・・・・・①
①より、
\(i/n・log(n/r)<P(r)<r/n・log((n+1)/r)\)・・・・・・・・②
②の右辺は \(x/n・log((n+1)/x)=x/n・(log(x/n)+log((n+1)/n)=x/n・log(x/n)+x/n・log(1+1/n)\) から
\(x/n・log(n/x<P(x)<x/n・log(n/x)+x/n・log(1+1/n)\)・・・・・・・・③
が成り立ちます。
ここで \(n\) が十分大きい値であれば、③の両辺ともに、\(g(x)=x/n・log(n/x)\) に近づきます。
\(x\) は離散的な自然数ですが、\(n\) が大きいとき、実数と考えると、
\(g'(x)=1/n・(log(n/x)-1)\) となり \(g'(x)=0\) のとき \(x=n/e\) となり、このとき \(g(x)\)は 極大かつ最大となります。
従って、このような確率は、 \(n\) が十分大きいという前提ですが、\(n/e\) で最大値 \(1/e\)をとります。
(注) あくまでも、大きな \(n\) に対するときの議論です。また、この問題は、「海辺の砂浜の美女問題」としても有名です。夏の砂浜で寝転んでいると、目の前を美女が歩いてきます。このなかで最も気に入った美女を選ぶにはどうすればいいか、という問題です。男女均等法のもとでは、女性の前をイケメン男性が歩く場合も考えなければいけませんね。(笑)