素数について-解答編-
素数について
前回に素数に関する現在知られている定理やまだ未解決の問題について書いてきました。今回は、素数研究の現状を踏まえ素数に関する問題をあげてみました。もちろん全て解決済み(解ける)の問題ですから、安心して解答にあたってください。入試問題などは全て解ける問題であり、必ず誰かが解いた問題ですから、精神的な圧迫感を持たずに解くことができるはずです。入試問題などはそう言う類の問題なのです。頑張れば頑張っただけのリターンがあるはずです。
整数に関する記号を次のように示しておきます。整数\(a,b\)について、\(a\)が\(b\)で割り切れるとき、すなわち\(a\)が\(b\)の倍数であるとき
これを、\(alb\)、最大公約数を\((a,b)\)、最小公倍数を、{a,b}と書きます。\((a,b)=1\)は、\(a,b\)が互いに素であることは、すぐに分かると思います。
問題は次のリンクです。素数についての問題
素数に関する問題
【問題1】
\(a,b,c,d\)を整数とします。\(ad-bc=1\)であるとき、分数\((a+b)/(c+d)\)は規約分数であることを示してください。
【解答1】
最初に説明した記号を使って証明します。
\(a+b、c+d\)が約数を持つとし、その約数を\(n\)とします。
よって、\(nla+b\)、\(nlc+d\)です。
\(ad-bc=(a+b)d-b(c+d)=1\) よって、\(nl1\) ですから、題意は成り立ちます。
【問題2】
\(n\)を自然数とすると、\(4n+3\)の形の素数も、\(6n+5\)の形の素数も、無限に存在することを示してください。
【解答2】
このような問題は、合同式を使って解くと簡潔な証明が書けると思います。最初の形の素数について証明してみましょう。
\(mod4\)で考えます。\(N_1=(nl n≡1(mod4))\)、\(N_3=(ml m≡3(mod4))\)とします。
\(n_1,n_2 \in N_1\)なら、\(n_1・n_2≡1(mod4)\)は明らかです。
\(3\)以外の\(N_3\)の素数をみつけると、\(7\)があります。
他も同じようにできます。
【問題3】
素数全体の数列 \(2,3,5,・・・・・・・・・・・・\) の続く2つの奇素数を\(p,q\)とします。このとき\(p+q\)の素因数分解は、少なくとも\(3\)つ(同じものがあってもよいとします。)の素数を含むことを示してください。
【解答3】
\(q=p+2k\)とおくと、\(p+q=2(p+k)\)です。
ここで、\(p<p+k<q\)また、\(p,q\)は奇素数だから、\(p+k\)は合成数で、\(2\)以上の素数の素数の積です。
従って、\(p+q\)は、\(3\)つ以上の素数の積です。 (1つは、いつも2です。)
【問題4】
\(n\)を任意の整数とするとき、\(n^2+1\)の奇数の素因数は、\(4k+1\)の形であることを示してください。
【解答4】
素因数の1つを、\(p=2t+1\)とします。
\(n^2≡-1(modp)\)、 \(p l n^2+1\)だから、\(pはn\)の倍数ではありません。
\(n^{p-1}≡n^{2t}≡(-1)^t≡1(modp)\)となります。
よって\(t\)は偶数でですから、\(p=4k+1\)とかけます。
【問題5】
\(x^2-3y^2=17\)は整数解を持たないことを示してください。
【解答5】
\(mod3\)で考えます。
\(x^2=3y^2+17\)ですが、\(3y^2+17≡2 (mod3)\)
一方 \(x^2≡0,1(mod3)\)ですから、上式を満たす整数解はありません。
(注) \(x^2≡0,1\)であるのは、\(x≡0,x≡1, x≡2\)のいずれも\(x^2\)では、\((mod3)\)で\(0か1\)で\(2\)にはなりません。