素数とは-prime numberの正体-

素数について

自然数や整数を学んでいくうちに、必ず出会うのが素数です。全ての自然数は、素数の累乗の積で表されます。これは、任意の自然数の素因数分解であり、素因数分解の一意性が保証されています。積の順序を別にして、素因数分解は1通りしかありません。さらに素数については、色々な事が分かっていますが、まだまだ分かっていない(証明されていない。)ものがたくさんあります。今回は、整数論で重要な項目である素数についてかんがえてみましょう。

素数とは何か

1) 素数は無限に存在する

この事実は、ギリシャのユークリッドの時代から分かっていました。
この背理法を使いますが、極めて明解です。素数が有限とし、その素数の積に1足したものを考えます。そうすると、その数も有限な素数で割って必ず1あまりますから、これも素数です。これは素数が有限であることに反します。従って素数は無限にあります。
そのほかにも証明できますが、この証明が最も簡単で明解だと思います。そのほかにも、クンマーの証明、オイラーの証明、ライザップの証明があります。

2)素数をみつける方法

いわゆるエラトステネスのふるいという方法があります。任意の自然数までに存在する素数をみつける方法です。まず最小の偶数の素数の\(2\)とその倍数を消します。次に、\(3\)の倍数を消し、ついで\(5\)の倍数を消します。これを繰り返せば、有限な自然数以下の素数は全て見つけ出すことができます。

3) 素数を表す式

整数\(n\)の式\(f(n)\)で素数を表せないかが考えられていますが、不規則に生じる素数では難しい。ではできるだけ多くの素数を表す式はないかが、考えられました。オイラーが考えた式は、
\(f(n)=n^2+n+41\) です。この式に、\(n=0、1,2,・・・・・・・・・,39\)を代入していくと、
\(41,43,47、53、61,71,83,97,113,131,151,173,197、223,251、281,313,347,383,421\)
\(461,503,547,593,641、691,743,797,853,911,971,1033,1097,1163,1231,1301\)
\(1373,1447,1523,1601\)
のような\(40\)個の数が得られますが、これらは全て素数になります。しかしながら、\(n=41\)では明らかに\(f(41)\)は素数ではありません。
もっと複雑な式ではどうなのかは、未だに明らかではありませんが、難しい問題であることには間違いありません。

4)素数の分布(素数定理)

素数が無限に存在することは、分かりました。では素数はどのような分布になるのかを多くの数学者が考えてきました。
そして天才ガウスが、素数表から素数の個数を数え統計をとり、極めてするどい直感で、ある予想をしました。後にこの予想は証明され
素数定理として知られるようになりました。
\(N\)を自然数として、自然数\(N\)以下の素数の個数を、\(π(N)\)とすると、
\(π(N)~N/logN\)となります。この式が素数定理で、\(~\)は漸近的に等しいことを示しており、
\(\displaystyle \lim_{ N \to \infty } π(N)/(N/logN) = 1\)という意味です。
ガウスは、当時あった素数表から、こつこつと1000きざみずつ素数の個数を調べ、その密度を計算したそうです。少なくとも\(100\)万位まで調べたといわれていますが、その素数の密度表から素数定理を演繹するのは、至難の業です。天才的な直感を持ち合わせてなければ到底無理な話だと思われます。ガウスの凄さをまざまざと見る思いがします。

5)素数のいろいろ

メルセンヌ素数やフェルマー数については、既に書きましたので、有名な素数に関するものを書いてみましょう。

ゴールドバッハ予想
ゴールドバッハが、18世紀中旬にオイラーに宛てた手紙に初めて現われたものです。現在まで未解決の問題です。
\(6\)以上の全ての偶数は、\(2\)個の素数の和として表されます。この予想は次のようなものです。
\(9\)以上の全ての奇数は、\(3\)個の素数の和で表されます。
\(6=3+3,7=2+2+3,8=3+5,9=2+2+5,10=3+7=5+5・・・・・・・・・\)などとなるのです。相当大きな数まで正しいと分かっていますが、きちんとした証明はまだ誰もできていません。

双子素数
\(3,5:5,7\)のように差が2である素数の組を双子素数と言います。もっと大きなものでは、\(9239,9241\)も双子素数です。
双子素数の分布についても、素数定理と似たような予想がなされています。ハーディー・リトルウッドの予想とも言われています。
ハーディーはケンブリッジで、あの天才ラマヌジャンの先生としても有名です。
自然数\(N\)までの双子素数の個数を、\(T(N)\)とすると、

\(\displaystyle \lim_{ N \to \infty }T(N)/(N/(logN)^2 )=C\) \(C\)はある定数です。

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