精選問題集その2-解答編-
精選問題集 その2
前回は、数ⅠAを中心とした精選問題でしたが、今回は数ⅡBを中心とした精選問題をこなしていきましょう。
精選問題
【問題1】
実数x,y,zのあいだに、x+y+z=0の関係があるとき、x,y,zのうち、少なくとも1つは0でないとすると、
a^{3x}+a^{3y}+a^{3z}=3 が成り立たないことを証明してください。
ただし、a>0,a≠1とします。
【解答1】
a>0だから、a^{3x}+a^{3y}+a^{3z}≧3\sqrt[3]{a^{3x}a^{3y}a^{3z}}=3
等号が成り立つのは、a^{3x}=a^{3y}=a^{3z}のときで、a≠1だから、x=y=zです。
従って、a^{3x}+a^{3y}+a^{3z}=3 が成り立つなら、x+y+z=0から、x=y=z=0となり、
条件に反します。よって、背理法から、題意は成り立ちます。
【問題2】
acosθ+bsinθ=cos2θ, asinθ-bcosθ=2sin2θが成り立つとき、
(a+b)^{2/3}+(a-b)^{2/3} はθに無関係な一定値をとることを証明してください。
【解答2】
acosθ+bsinθ=cos2θ=cos^2θ-sin^2θ・・・・・・・・・①
asinθ-bcosθ=2sin2θ=2sinθcosθ・・・・・・・・・・・②
①、②より、a,bについて解くと
a=cos^3θ+3sin^2θcosθ
b=-3sinθcos^2θ-sin^3θ
よって、(a+b)^{2/3}+(a-b)^{2/3}=2(sin^2θ+cos^2θ)=2
【問題3】
a_n=1+1/2+1/3+・・・・・・・・+1/n-lognとおくとき、数列{a_n}は収束することが知られています。
この事実を用いて、
無限級数 1-1/2+1/3-1/4+1/5-・・・・・・・・ の和を求めてください。
【解答3】
S_n=1-1/2+・・・・・・・・・+(-1)^{n+1}1/n とおきます。
S_{2n}=(1+1/2+・・・・・・・+1/2n)-2(1/2+1/4+・・・・・・・+1/2n)
=a_{2n}-a_n+log2n-logn
=a_{2n}-a_n+log2
ここで、a_nは収束しますから、n→∞のとき、S_{2n}→log2
一方、S_{2n+1}=S_{2n}+1/(2n+1)より、S_{2n+1}→log2
従って、1-1/2+1/3-1/4+1/5-・・・・・・・・=log2
(注)γ=\displaystyle \lim_{ n \to \infty } (1+1/2+1/3+・・・・・・・・+1/n-logn) と書いてオイラーの定数と言います。
オイラー乗数の実態は、まだよく分かっていません。
【問題4】
f(x)=x^3-3abx-c において、f(a)=f(b)=f(c)=0のとき、a,b,cの値を求めてください。
ただし、a≠0でa,b,cは実数とします。
【解答4】
条件より、
f(a)=a^3-3a^2b-c=0・・・・・・・・①
f(a)=b^3-3ab^2-c=0・・・・・・・・②
f(a)=c^3-3abc-c=0・・・・・・・・③
①-② より、
(a-b)^3=0 よって、a=b
また、c=-2a^3
よって、4a^6-3a^2-1=0
(a^2-1)(2a^2+1)^2=0より、a=±1
従って、(a,b,c)=(1,1,-2)(-1,-1,2)