積分計算の答えの確認法-数Ⅲの積分法-
数Ⅲでよく目にする積分計算の確認法
数Ⅲの積分計算でよく見かけるもので、\(e^x\)と三角関数の掛け算になっているものの不定積分、定積分です。これらは、部分積分をするのが常套手段ですが、eを底とする複素数の関数を用いた積分をすれば、容易に計算確認することができます。ただし、複素数を変数とする複素変数の微積分は、高校の範囲ではなく、大学での複素変数関数論の範囲ですから、あくまで計算確認にとめておくほうがいいですが、知っておくと便利だと思います。
複素数を用いる計算方法
\(\displaystyle \int{e^x・sinx} dx\) や \(\displaystyle \int{e^x・cosx} dx\)などの積分は、部分積分して求めますが、これを\(e^{x+ix}\)で積分すれば、\(e^{x+ix}\)=\(e^{(1+i)x}\)=\(e^x(cosx+isinx)\) ですから、
\(\displaystyle \int{e^{x+ix}}dx\)=\(1/(1+i)\)・\(e^{(1+i)x}\)=\((1-i)/2・e^x(cosx+isinx)\)=\(1/2・e^x(cosx+sinx)+1/2i・e^x(-cosx+sinx)\)・・・①
また、\(\displaystyle \int{e^{x+ix}}dx\)=\(\displaystyle \int{e^xcosx}dx\)+i\(\displaystyle \int{e^xsinx}dx\)・・・・②
①、②の実部、虚部は等しいですから、
\(\displaystyle \int{e^xcosx}dx\)=\(1/2・e^x(cosx+sinx)+C\)
\(\displaystyle \int{e^xsinx}dx\)=\(1/2・e^x(-cosx+sinx)+C\) ここで、Cは積分定数です。このようなチェックをすると、積分計算の答えのミス防止になると思います。
別解
\((e^xcosx)’\)=\(e^xcosx-e^xsinx\) また、
\((e^xsinx)’\)=\(e^xsinx+e^xcosx\)となりますから、これを両辺積分して、連立方程式の要領で計算しても、同様の結果が割合楽に求まります。
複素数を用いる方法は、\(\displaystyle \int{e^{ax}cosbx}dx\),\(\displaystyle \int{e^{ax}sinbx}dx\)などを求めるときに有効だと思います。