物理現象の問題-微積分でどうとくか-
物理学の現象を数学で解く
物理現象は、大概簡単な微分方程式で表されます。大変すっきりしたごく少数の式で、物理現象が理解できるのですから、ある意味驚異でもあります。物理学や数学の天才に負うところが多いですが、われわれが、自然現象を理解するのにとても恩恵を受けています。普通の力学では、ニュートンの3法則で全ての現象が理解できます。第二法則が本質的ですが、ある時間、ある空間位置で開始された物理現象は、因果律(Causality)がなりたちます。また、電磁気学では、マックスウエルの方程式が成り立ちます。電磁気学では、偏微分やベクトル解析が必要ですが、必要な微分方程式はしごく簡単明瞭です。また量子力学では、シュレディンガー方程式が重要です。これにも偏微分が必要ですが、エネルギーポテンシャルを適切に考えることにより、シュレディンガー方程式を変数分離法により解くことにより、原子の周りの電子のエネルギー準位を解くことができます。高校でも学ぶ\(1s,2s,2p,3s,3p,3d,・・・・・\)などの電子軌道を決めることができます。要するに、ほとんどの物理現象は、ごく少数の微分方程式で理解され、その微分方程式を解くことにより、現象を明確にすることができることになります。従って、どういう微分方程式をたてるか、そしてその微分方程式をどう解くかが物理を理解することといえると思います。
物理と数学の問題
【問題1】
半直線\(OX\)が点\(O\)のまわりを毎秒\(1\)ラジアンの角速度で回転しています。\(OX\)上を運動する点\(P\)が、時刻\(t\)秒において、点\(O\)から\(e^{2t}\)の距離にあるとします。時刻\(0\)秒から\(2π\)秒の間に、点\(P\)の動く道のりを求めてください。(東京大学)
【問題2】
水平方向を\(x\)軸、鉛直方向に\(y\)軸をとり、\(xy\)平面上で投げ出された物体の位置を、\(P(x,y)\)とすると、位置ベクトル\(\overrightarrow{ OP }\)に対して、次のニュートンの第2法則が成り立ちます。
\(d^2\overrightarrow{OP}/dt^2=-g・\overrightarrow{i }\) なお\(\overrightarrow{i }\)は\(x\)軸方向の単位ベクトルで、\(g\)は重力加速度です。(ここで、空気抵抗などは、無視することにします。)
傾斜\(30°\)の長い坂道の途中で、上り方向と下り方向に向かって、一定の初速で石を投げるとすると、坂道を最も遠くに石を届かせるためには、それぞれ何度の仰角で石を投げればよいか、求めてください。
(神戸大学)
【問題3】
座標平面上に2点、\(P,Q\)があります。\(P\)は原点を中心として半径\(1\)の円上を角速度の大きさが\(1\)ラジアン/秒で正の向きに等速円運動をしています。また、\(Q\)は、点\(P\)を中心として、半径\(a\)の円周上を\(ω\)ラジアン/秒\((ω>0)\)の速さで等速円運動をしています。
時刻\(t=0\)で\(P\)は、\(P(1,0)\),\(Q\)は、\(Q(a+1,0)\)にあるとします。
(1)ある時刻において、点\(Q\)の加速度が\(0\)ベクトルになったとします。\(a=1/3\)のとき、\(ω\)を求めてください。
(2)\(a=1/2,ω=2\)とします。\(t=0~2π\)の間で、\(Q\)が動いた距離を求めてください。
(東京医科歯科大学)