漸化式-数列・積分などで使われる方法、解答編
数列・積分に関する漸化式の解法
数列や積分に関する問題の説明を以前いたしました。難関校ではこれらは融合問題として出題されることが結構あります。数列や積分はもちろんのこと、三角関数、微分法等の縦横な理解が必要とされます。
漸化式に関する問題1
【問題1】
数列{an}が、a1=\(\sqrt{2}、an+1=\sqrt{an+1}\)) (n=1,2,3・・・・)によって定められている。
(1)an=2sinθn、0<θn<π/2 を満たすθnを求めてください。
(2)lim(n→∞)an を求めてください。(東大)
【解答1】
(1)\(an+2=2(sinθn+1)\)=\(2(2sin(θn/2)・cos(θn/2)\)+\(cos^2(θn/2)\)+\(sin^2(θn/2))\)=\(2(cos(θn/2)+sin(θn/2))^2\)=\((2sin(θn/2+π/4))^2\) よって、an+1=2sinθn+1=√(2+an)=l2sin(θn/2+π/4)lとなります。ここで、0<θn<π/2より、π/4<θn/2+π/4<π/2 です。
従って、θn+1=θn/2+π/4・・・・・・①となります。a1=√2=2sinθ1からθ1=π/4、①の漸化式から、\(θn-π/2\)=\((1/2)^{n+1}(θ1-π/2)\)=\(-(π/2)(1/2)^n\)、従って、\(θn=π/2(1-1/2^n)\) となります。(答)
(2)(1)より、lim(n→∞)an=2sin(limθn)=2sin(π/2)=2となります。
挟み撃ちでも極限値は求めることができます。
漸化式に関する問題2
関数f(x)=sinxに対して、f'(x)=f(x)、
\(f^n(x)=df^n(x)/dx\)により定めるものとします。任意の自然数nについて、2つの関数 \(y=x・f^n-1(x\))、\(y=f^n(x)\)のグラフを、C1、C2とします。PがC1、C2の交点であれば、PにおけるC1、C2の接線は、互いに直行する事を示してください。 (京大)
【解答2】各記号は、n次、n-1次の微分です。
\(f(x)^(n-1)(x)=g(x)\)とおくと、C1:\(y=xf^(n-1)(x)\), C2:\(y=f(x)^n(x)=g'(x)\)となります。C1とC2の交点Pのx座標をとすると、Pでは、t・g(t)=g'(t)・・・・①です。2つの接点のx座標t1、t2における接線の傾きを、k1、k2とすれば、 k1・k2={g(t)+tg(t)}g”(t)=\({g(t)+t^2g(t)}g”(t)\)・・・・・② となります。また、\(g(t)=f^(n-1)(x)\)は、 g(x)=±sinxのときは、g'(x)=±cosx、g’’(x)=+sinx,-sinx g(x)=cosx,-cosxのときは、g'(x)=-sinx,+sinx、g”(x)=-cosx、+cosx となります。どの場合もg”(x)=-g(x),\{(g(x)}^2+{g”x)}^2=1 となります。よって、m1・m2=-{(g(t))^2+(tg(t))^2}=-{g(t)^2+(g'(t))^2}=-1です。従って、t1⊥t2 となります。
漸化式に関する問題3
\(xn=\int_{0}^{π/2}sin^nθ・dθ\) (n=1,2,3・・・・・・)とします。
(1)xnの漸化式を求めてください。
(2)nxn・xn+1を求めてください。
(3)xnは 減少数列である事を示し, \(lim(n→∞)n・xn^2\) を求めてください。 (東京医科歯科大)
【解答3】
与えられた式は、Wallisの公式です。部分積分で容易に漸化式を求めることができます。
xn=(n-1)/n・xn-1 となります。あとは、計算ですからやってみてください。