漸化式について-数列や積分などで使われる方法-

漸化式について

一般的に、数学で最初に学ぶ漸化式は、数列に関する漸化式です。数列の漸化式には、パターンがありますから、この解法を確実に身につけることが大切です。数列の漸化式では、2項間の漸化式、3項間の漸化式、2項間の数列 an+1-an=f(n)のようなnの関数になるものもあります。また、階差数列も、相隣り合う2項の差を考えますので、1種の漸化式と言えるかもしれません。

2項間の漸化式

2項間の漸化式は、a1=a、an+1=p・an+q・・・・・・・① で表されるものです。この式は、pを公比とする等比数列と考えられます。そこで、①をan+1-α=p(an-α)・・・・・・②とおき、α(1-p)=q となります。従って p≠1ならば、α=q/(1-p)となります。よって、②よりan-q/(1-p)=p^(n-1){(a-q/(1-p)}です。従って、an=q/(1-p)+p^(n-1){(a-q/(1-p)}となります。また、p=1なら、①は公比qの等差数列となりますから、一般項は容易です。αを導出するのに、x=px+qを解けばいい事になります。このxの式を特性方程式といいます。

3項間の漸化式

既にフィボナッチの数列を示しましたが、一般的な漸化式の解法を示しておきましょう。

an+2=p・an+1+q・an・・・・・・・・・③

2項間の漸化式と同様に、③を

an+2-α・an+1=β(an+1-αan)・・・・・・③’ とおきます。この式は③と同値ですから、

α+β=p・・・・・・④ αβ=q・・・・・・・⑤ が成り立つことになります。④、⑤より、α、βは、\(t^2-pt+q=0\)・・・・・・⑥ の解です。よって、③’から初項 a2-α・a1 で、公比βの等比数列となります。ただし、⑥が重解をもつ場合は、別途考えなければなりません。

an+1-an=f(n) の場合の漸化式

この場合は、Σf(n)(n=1~n)が計算できれば、anを求めるのは容易です。

微積分、定積分に関する漸化式

有名なのは、Wallisの公式です。

\(In=∫(0、π/2)sin^nθ・dθ=∫(0、π/2)cos^nθ・dθ\) は部分積分を使えば、nの偶数、奇数で簡単な式が求められます。

積分に関する漸化式は、ほとんど部分積分を2回程度やれば、求めることが出来ます。

漸化式の例

\(In=∫x^n・e^2x・dx\)の漸化式を求めなさい。

【解答】\(In=1/2∫(e^2x)・x^ndx=1/2x^n・e^2x-n/2・In-1\)

よって、\(In=1/2(x^n-nIn-1)\)

漸化式に関する問題

【問題1】

数列{an}が、a1=√2、an+1=√(an+2) (n=1,2,3・・・・)によって定められている。

(1)an=2sinθn、0<θn<π/2 を満たすθnを求めてください。

(2)lim(n→∞)an を求めてください。(東大)

【問題2】

関数f(x)=sinxに対して、\(f^{0}(x)\)=f(x)、

\(f^{n}(x)=df^{n}(x)/dx\)により定めるものとします。任意の自然数nについて、2つの関数 \(y=x・f^{n-1}(x\))、\(y=f^{n}(x)\)のグラフを、C1、C2とします。PがC1、C2の交点であれば、PにおけるC1、C2の接線は、互いに直行する事を示してください。  (京大)

【問題3】

\(xn=∫(0,π/2)sin^nθ・dθ\) (n=1,2,3・・・・・・)とします。

(1)xnの漸化式を求めてください。

(2)nxn・xn+1を求めてください。

(3)xnは 減少数列である事を示し, \(lim(n→∞)n・xn^2\) を求めてください。                 (東京医科歯科大)

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