最大・最小に関する問題-解答編-
最大・最小の問題
最大・最小の問題は、数学の様々な分野にあります。1次関数、2次関数、三角関数、指数関数、対数関数、など関数があれば、区間が区切られれば、値は変域に範囲ができます。等号条件がついているときや、極大値や極小値が存在するときには、最大値や最小値がでてくることになります。単元により解法は異なりますが、式をどのように取り扱えば問題の解決になるのかを、十分考えることが重要になります。
次に示した問題の解答を書きます。最大・最小の問題
最大・最小の問題の解答
【問題1】
実数\(a,b,c\)が、\(a+b+c=a^2+b^2+c^2=1\) とします。
このとき、cのとりうる値の範囲を求めてください。(南山大改)
【解答1】
条件式より、\(a+b=1-c、a^2+b^2=1-c^2\)となりますから、
\(ab=c(1-c)\) よって、a,bは、\(t^2-(1-c)t+c(1-c)=0\)・・・①
の解となります。a,bは実数ですから、①の判別式をDとすると、
\(D=(1-c)^2-4c(c-1)≧0\) よって、\((3c+1)(c-1)≦0\)ですから、
\(-1/3≦c≦1\) となります。
(*)これは落とせない問題です。方針に迷うこともありません。
【問題2】
実数x、yが \(x^2+y^2-2xy-4x-4y+6=0\) を満たすとき、
\(x+y、xy\)の最小値をそれぞれ求めてください。(同志社大)
【解答2】
この問題も落とせません。確実に答案を書き上げましょう。
\(x+y=u、xy=v\) とおくと、\(x,yは、t^2-ut+v=0\)の解ですから、この判別式をDとすると、\(D=u^2-4v≧0\)
よって、\(v≦u^2/4\)・・・・・・・①
また、\(x^2+y^2-2xy-4x-4y+6=u^2-4v-4u+6=0\)となり、
\(v=1/4・(u-2)^2+1/2\)・・・・・・・②
よって、②上の点(u、v)が ①の範囲にあるときの、u、vの最小値を求めればいいことになります。②を①に代入して整理すると、
\(1/4・(u-2)^2+1/2≦1/4・u^2 から、u≧3/2\) ・・・・・・③ となります。
\(u≧3/2\)における\(v=1/4・(u-2)^2+1/2\)のとりうる範囲は、
\(v≧1/2\) となります。よって、\(x+y\) の最小値は、\(3/2、xy\) の最小値は、\(1/2\)です。
【問題3】
角 \(α、β、γが、α+β+γ=π、α≧0、β≧0、γ≧0\)を満たすとき、
\(cosα+cosβ+cosγ\)の最小値を求めてください。(京都大改)
【解答3】
\(cosα+cosβ+cosγ=cosα+cosβ+cos(π-(α+β))\)=\(cosα+cosβ-cos(α+β)\)=\(2cos(α+β)/2・cos(α-β)/2-[2cos^2{(α+β)/2}^2-1]\)
=\(2cos(α+β)/2・{cos(α-β)/2-cos(α+β)/2}+1\)
=\(2cos(π-γ)/2・(-2)sinα/2sin(-β/2)+1\)=\(4sinα/2・sinβ/2・sinγ/2+1\)
となります。
ここで、\(α≧0、β≧0、γ≧0、α+β+γ=π\)ですから、
\(0≦α/2≦π/2、0≦β/2≦π/2、0≦γ/2≦π/2\)となり、\(0≦sinα/2、sinβ/2、sinγ/2\)となりますから、\(4sinα/2・sinβ/2・sinγ/2≧0\)
従って、求める最小値は、1となります。
(注)現問題は、\(cosα+cosβ+cosγ≧1\)を示しなさいという問題でした。これであれば、かなり解きやすくなると思います。
【問題4】
頂点がz軸上にあり、底面がxy平面上の原点を中心とする円である円錐とします。この円錐の側面が、原点を中心とする半径1の球に接しているとします。このとき
円錐の体積の最小値を求めてください。(一橋大)
【解答4】
z軸を含む平面で円錐を切った切断面で考えます。底面の中心をOとし、円錐の頂点をAとします。題意の半球がこの断面の側面の接点をDとし切断された三角形をABCとします。 円錐の高さを、hとすると、
\(AD=\sqrt{h^2-1}\)となり、\(△OAB∽△BOD\)
となりますから、\(\sqrt{h^2-1}:h=1:BO\)から、\(BO=h/\sqrt{h^2-1}\)です。
\(V=1/3・π・BO^2・h=π/3・h^3/(h^2-1)=π/3・1/(1/h-1/h^3)\)
となりますから、\(t=1/h\)とおけば、\(V=π/3・/(t-t^3)\)となります。
ここで、\(f(t)=t-t^3、(0<t<1)\) とおくと、\(f’(t)=1-3t^2\)
ですから、\(0<t<1でf'(t)\)の増減表を書くと、\(t=1/\sqrt{3}\) のときに
最小となります。よって、最小値は、\(\sqrt{3}/2・π\) となります。
【問題5】
3辺の長さが、\(a,b,c\)の直方体があるとします。長さがbの辺を1辺とする回転軸として90°回転させるとき、この直方体が通過する領域をVとします。
(1)Vの体積を求めてください。
(2)\(a+b+c=1のとき、V\)の体積のとりうる値の範囲を求めてください。
(東大)
【解答5】
(1)Vの底面を考えると、底面がa,cの長方形となり、回転軸の長さは、\(\sqrt{a^2+c^2}\)で、高さがbの立体を、90°回転すればいいですから、
\(V=1/4・b(π・a^2+ac+π・c^2)\) となります。
(2)\(a+b+c=1\)より、\(a+c=1-b\)ですから、
\(V=1/4・{π(1-b)^2+(4-2π)ac}b\)・・・・・・・① となります。
ここで、\(ac=a(1-a-b)=-{a-(1-b)}^2+1/4・(1-b)^2\)で、
\(0<a<1-b\)より、\(0<ac≦1/4・(1-b)^2\)です。
よって、①から、\((π+2)/8・(1-b^2)b≦V<π/4・(1-b^2)b\)・・・・・②
ここで、\(f(b)=b(1-b)^2 (0<b<1)\)とおくと、\(f(b)は、b=1/3\)で極大値を持ちます。また、\(f(0)=f(1)=0、f(1/3)=4/27\)となりますから、
\(0<V<π/27\) となります。