整数の問題-合同式の利用-
整数の問題の項目の学習
新課程から、整数の問題が数学に導入されました。整数論でよく使われる合同式も学びます。整数の問題を合同式を使うと簡単に問題が解けることが良くあります。
合同式とは何か
合同式は、ある整数 a、bの差が正整数cで割り切れるときに、a≡b(modc)と書きます。つまり、a-b=kc(kは整数)のときに、aとbはcを法として合同といいます。合同式は、これまた、あのガウスが発明したもので、これを使うと整数の問題が楽に解けるときが良くあります。
合同式を使う例
例えば、a,b,cがピタゴラス数である時、つまり \(a^2+b^2\)=\(c^2\)が成り立つ時に、a,b,cの少なくとも1つは3の倍数である事を証明する問題の場合、通常はa,b,cを3で割った余りで分類し、どうなるかを調べていくのが通常です。つまり、a=3n、3n+1、3n+2などと分けて計算し、与えられた式がどうなるかを調べていきます。
これを合同式を考え、3を法として合同式を使うと、a≡0,1,2となります。それぞれの場合、\(a^2\)≡0,1、4≡1(mod3)となります。これは、bについても同様で、\(b^2\)≡0,1(mod3)となります。
従って、a,b,cが3の倍数で無いとすれば、\(a^2+b^2\)≡2(mod3) となります。一方\(c^2\)≡1ですからこれは、不合理です。従って、a,b,cのうち少なくとも1つは3の倍数です。合同式は使いこなせば、とても便利です。
大きな数字をある自然数で割った余り
これも合同式を使うと割合容易に求まります。\(29^{100}\) を7で割った余りはいくらでしょうか。まず、29≡1(mod7)となります。従って、
\(29^{100}≡1(mod7)\)となります。答えは、余り1となります。これは、簡単な例ですが、もう少し複雑な問題も同様な考え方で、余りを求めることが出来ます。
1次整数方程式の問題1
整数解の問題は、数字が大きくなると、相当難しくなります。例えば
x,yを整数として、4x-5y=2 を解きなさい、と言う問題は楽に解けます。1つの解が、(x、y)=(3,2)ですから、4・3-5・2=2となります。この2式の引き算をすれば、4(x-3)-5(y-2)=0となります。従って、4(x-3)=5(y-2)です。ここで、4と5は互いに素ですから、x-3=5k、y-2=4k(kは整数)となります。よって、x=3+5k、y=2+4k(kは整数)が答えです。
1次整数方程式の問題2
これが、次のような問題であればどうでしょうか。この問題でも、1つの解を求めればいいのですが、それが難しいのです。
11726・x-58833・y=125の整数解をもとめてください。
どうやって1つの解を求めるのかが問題になります。
整数の個数の問題
12個の約数を持つ自然数のうち、最小のものを求めてください。ただし自然数nの約数には、1とnを含むものとします。(私立医学部入試問題)