整数に関する問題-難関大・解答編-
整数に関する問題-難関大・解答編-
難関大の整数に関する問題は、難しい問題や、解きにくい問題も結構出題されています。難関大の問題はパターン化された問題は多くはありませんので、思考力や推理力を必要とされる場合が多くなっています。そのようなトレーニングを積むことも重要だと思います。問題は、以下のリンクにあります。整数の問題-難関大-
整数の問題
【問題1】
\(n^2-n[\log_{a} n]^2+8=0\)を満たす整数があるとします。実数\(a\)の値の範囲を求めてください。 [ ] はガウス記号です。(九州工大)
【解答1】
\(\log_{a} n\)の条件より、\(a>0,a≠1、n>0の整数\) ・・・・・・・・・・・・・①
このもとに、条件式は以下のように変形できます。
\([\log_{a} n]^2=n+8/n・・・・・・・・・・・・・②\)
②式より、\(n+1/n\)は自然数の平方数です。よって、\(n\)は\(8\)の約数であるから、\(n=1,2,4,8\)です。
このうち、②を満たすのは、\(n=8\)でこのとき②式は、
\([\log_{a} n]^2=9\) ですから、\([\log_{a} n]=±3\)となります。
よって、
1) \([\log_{a} 8]=3\)のときは、\(3≦\log 8/\log a<4\)から、\(\sqrt[ 4 ]{8}<a≦2\)
2) \([\log_{a} 8]=-3\)のときは、同様にして、\(\sqrt{2}/4<a≦1/2\)
となります。
【問題2】
正の整数\(n\)に対して、1と自分自身も含めた全ての約数の和を\(S(n)\)とします。
(1)\(k\)を正の整数とし、\(p\)を3以上の素数とするとき、\(S(2^kp)\)を求めてく
ださい。
(2) \(S(2016)\)を求めてください。
(3) \(2016\)の正の約数\(nで、S(n)=2016\)となるものを全て求めてください。
(名古屋大学)
【解答2】
(1), (2) は易しいので、答えを示します。(1) \((1+p)(2^{k+1}-1)\) (2) \(6552\)
(3) \(2016=2^5・3^2・7\) と素因数分解されますから、\(n=2^k・3^l・7^m\) と書けます。
\(ここにk,l,mは、自然数で 0≦k≦5、0≦l≦2、0≦m≦1\)
\(m=0とm=1\)について\(n\)を考えると、
a) \(m=0\)のとき、\(n=2^k・3^l\)で\(l\)の値を考察すると、題意に適する\(n\)は存在しない。
b) \(m=1\)のとき、\(n=2^k・3^l・7\) だから、
\(S(n)=(1+2+・・・・・・・・+2^k)(1+3+・・・・・・・+3^l)(1+7)=8(2^{k+1}-1)(1+3+・・・・・・+3^l)\)
より、\(S(n)=2016\)になるには、\(8(2^{k+1}-1)(1+3+・・・・・・+3^l)=2016\)から、
\((2^{k+1}-1)(1+3+・・・・・・+3^l)=252\) ・・・・・・・・・① となります。
ここで、\(l=0,1,2\) で ①を満たす\(k\)が存在するかどうかを調べると、
\(l=1\)のとき、\(k=5\)のみが、①を満たします。
よって、求める\(n\)は、\((k,l,m)=(5,1,1)\)のときで、\(n=2^5・3^1・7^1=672\)です。
【問題3】
\(n\)を4以上の自然数とします。ここに書かれた数が全て\(n\)進法で表されているも
のとし、\(2^{12}=1331\)が成り立っています。この時の\(n\)を10進法で求めて
ください。 (京都大学)
【解答3】
題意より、\(2^{n+2}=n^3+3n^2+3n+1より、2^{n+2}=(n+1)^3\)・・・・・・・・・①
①式より、2は素数だから、\(n+1=2^k、k≧3(n≧4の自然数より)\)とおけます。
従って、①式は、\(2^{2^k+1}=2^{3k}\) ですから、\(2^k+1=3k\)・・・・・・・・②
②は、\(k=3\)で成り立ちます。\(y=2^x+1、と y=3x\)を\(x>3\)で比較すると
\(2^x+1>3x\) よって、②が成り立つのは、\(k=3\)のみです。
従って、\(n=2^3-1=7\) となります。
【問題4】
\(n\)を2以上の自然数とします。\(n\)が素数でなく、かつ4でもないとき、
\((n-1)!は、n\)で割り切れることを示してください。(東工大)
【解答4】
\(n\)が素数でなく、かつ4でもないとき、
\(n=k・l、かつ k、l≧2\)となる\(自然数k,l\)が存在します。ただし、\((k,l)≠(2,2)\)
ここで、
1)\(k≠l\)の場合、\(k,l<kl\)ですから、\(1,2,・・・・・・・・・・,n-1=kl-1\)の中に、\(k,l\)
が含まれますから、\((n-1)!は、n\)で割り切れます。
2)\(k=l\)の場合、\(k≧3\)ですから、\(2k<k^2\)となります。従って、\(1,2,・・・・・・・,k^2-1\)
のなかに、\(kと2k\)が含まれますから、\((n-1)!は、n\)で割り切れます。
以上より、問題は証明されました。(Q.E.D.)