数列の問題-解答2-
ベクトル・数列の演習
数Bで扱われるベクトルと数列は、割合苦手にしている人が多いように思います。ベクトルでは平面ベクトル、空間ベクトルがありますが、空間ベクトルがやや難しくなっています。また数列は、他分野との融合問題や複合問題があります。苦手意識がある人は、問題演習をやって、問題に慣れておきましょう。
数列の問題の解答を示します。問題は次のリンクです。ベクトル・数列の演習
ベクトルの問題の解答を先に公開しましたので、今回は数列の問題の解答を公開します。
【問題3】
\(n\)を自然数とします。
(1) 自然数\(k\)は、\(2≦k≦n\)を満たすとします。このとき、\(9^k\)を\(10\)進法で表したときの桁数は、\(9^{k-1}\)の桁数と等しいか、または\(1\)だけ大きいことを示してください。
(2) \(9^{k-1}\)と\(9^k\)の桁数が等しいような\(2≦k≦n\)の範囲の自然数\(k\)の個数を\(a_n\)とします。\(9^k\)の桁数を\(nとa_n\)で表してください。
(3) \(\displaystyle \lim_{ n \to \infty } a_n/n\)を求めてください。
(神戸大学)
【解答3】
(1)\(9^k\)の桁数を、\(m_k\)とします。このとき、\(10^{m_{k-1}}≦9^k<10^{m_k}\)が成り立ちます。
これから、\(10^{m_k-2}<10^{m_k-1}/9≦9^{k-1}<10^m_k/9<10^m_k\)
よって、\(9^{k-1}\)の桁数\(m_{k-1}\)は、\(m_{k-1}=m_k-1\)または\(m_{k-1}=m_k\)
(2)\(m_{k-1}=m_k(2≦k≦n)\)を満たす自然数\(k\)の個数が、\(a_n\)であり、残りの\(n-1-a_k\)個の\(k\)で\(m_k-m_{k-1}=1\)となります。
\(m_n=(m_n-m_{n-1})+(m_{n-1}-m_{n-2})+・・・・・・・・+m_1=n-1-a_n+1\)
より\(m_n=n-a_n\)
(3)(2)より、\(10^{n-a_n-1}≦9^n<10^{n-a_n}\)
この式の常用対数をとると、
\(n-a_n-1≦n\log_{10} 9<n-a_n\)
これより\(1-\log_{10} 9-1/n≦a_n/n<1-\log_{10} 9\)
この式で、\(n→∞\)とすれば、挟み撃ちの原理から
\(\displaystyle \lim_{ n \to \infty } a_n/n=1-\log_{10} 9=1-2\log_{10} 3\)
【問題4】
\(n\)を正の整数とします。\(xyz\)空間の点\(P(x,y,z)\)が、次の関係式を満たすとします。
\(x+y+z≦n\)
\(-x+y-z≦n\)
\(x-y-z≦n\)
\(-x-y+z≦n\)
このとき、\(P(x,y,z)\)で、\(x,y,z\)が全て整数であるものの個数を\(f(n)\)とします。
\(\displaystyle \lim_{ n \to \infty } f(n)/n^3 \)を求めてください。
(東京大学)
【解答4】
\(z=k (kは整数)\)における不等式を考えると、\(k-n<x+y<n-k\)かつ\(-n-k<x-y<n+k\)となるから、
これらを満たす\((x,y,z)\)が存在するためには、\(k-n≦n-k\)かつ\(-k-n≦n+k\)が条件だから、\(-n≦k≦n\)
点\((x,y)\)の存在範囲は、4頂点が\((-k,n),(-n,k),(k,-n)、(n,-k)\)である長方形の辺ないし内部です。
そこで長方形の内部にある格子点の数を、\(N_k\)とすると、長方形の1辺に、\(n-k+1\)個、他の1辺には、\(n+k+1\)個の格子点があります。
また、\(y=x\)に平行な直線上には、\(n-k+1 または n-k\)個の格子点があります。
従って、\(N_k=(n-k+1)(n+k+1)+(n-k)(n+k)=-2k^2+2n^2+2n+1\)となりますから、
\(f(n)=\displaystyle \sum_{ k =-n}^{ n } (-2k^2+2n^2+2n+1)\)
=\(-2/3n(n+1)(2n+1)+(2n^2+2n+1)(2n+1)\)
従って、\(\displaystyle \lim_{ n \to \infty } f(n)/n^3=8/3\)となります。
【問題5】
\(a\)は\(0<a<π\)を満たす実数とします。
\(n=0,1,2,・・・・・・・・\)に対し、\(nπ<x<(n+1)π\)の範囲で、\(sin(x+a)=xsinx\)を満たす\(x\)がただ1つ存在します。これを\(x_n\)とします。
(1) \(\displaystyle \lim_{ n \to \infty }(x_n-nπ)\)を求めてください。
(2) \(\displaystyle \lim_{ n \to \infty }n(x_n-nπ)\)を求めてください。
(京都大学)
【解答5】
(1)条件より、\(sin(x_n+a)=x_n・sinx_n、nπ<x_n<(n+1)π\)
よって\(sinx_n=sin(x_n+a)/x_n\)
\(\displaystyle \lim_{ n \to \infty } x_n=∞\)であり、\(\vert sin(x_n+a) \vert≦1\)
\(\displaystyle \lim_{ n \to \infty } sinx_n=0\)
また、\(0<x_n-nπ<π\)ですから、
\(\displaystyle \lim_{ n \to \infty }( x_n-nπ)=0またはπ\)
ここで、\(x_n-nπ\)が\(π\)に十分近いときは\(sinx_nとsin(x_n+a)\)が異符号となり、条件がなりたちません。
よって、\(\displaystyle \lim_{ n \to \infty }( x_n-nπ)=0\)
(2)\(\displaystyle \lim_{ n \to \infty }n(x_n-nπ)\)=\(\displaystyle \lim_{ n \to \infty }(x_n-nπ)/sin(x_n-nπ)・nsin(x_n-nπ)\)
(1)より、\(\displaystyle \lim_{ n \to \infty }( x_n-nπ)=0\) だから、\(\displaystyle \lim_{ n \to \infty }(x_n-nπ)/sin(x_n-nπ)=1\)
また、\(sin(x_n-nπ)=±sinx_n\)であり、(1)より、\(π<x_n/n<(1+1/n)π\) ですから \(\displaystyle \lim_{ n \to \infty }x_n/n=π\)
よって\(\displaystyle \lim_{ n \to \infty }n(x_n-nπ)=1/π・sina\)