数Ⅲ演習-解答編-

数Ⅲの演習

理系の入試問題によく出題される数Ⅲの問題演習をやってみましょう。理系での2次試験で出題される割合は4割程度の大学がよくあります。理系志望の方は、数ⅠA、数ⅡBはもちろんのこと、数Ⅲも着実に学習していきましょう。問題は次のリンクです。数Ⅲ演習

数Ⅲの問題

【問題1】

周の長さが\(l\)(一定)である正\(n\)角形の面積を、\(S_n\)とします。
(1) \(S_n\)は増加関数であることを示してください。
(2) 数列\(S_n\)は、周の長さが\(l\)である円の面積 \(S\)に収束することを示してください。
(東京医科歯科大)

【解答1】

(1) \(S_n=n・l/2π・l/2π・cotπ/n=k^2/4π・(π/n)/tan(π/n)\)
\(tanx/x\)は、\(0<x<π/2\) で増加しますから、(微分してもグラフから考えてもいいです。)
\(S_n\)は増加します。
(2) \(\displaystyle \lim_{ n \to \infty } S_n=k^2/4π・\displaystyle \lim_{x \to 0 } x/tanx\)
=\(π(l/2π)^2\)
となりますから、\(S_n\)は、半径\(l/2π\)の円、すなわち周の長さが \(l\)の円の面積\(S\)に収束します。

【問題2】

(1) 関数\(f(x)=logx/x\)の増減を調べ、極値を求めてください。対数は自然対数です。
(2) \(e<α<β\)を\(α,β\)が満たすとき
不等式 \(α/β<logα/logβ<β/α\)が成り立つことを証明してください。
(順天堂大・医)

【解答2】

(1) 微分して増減を調べてください。\(x=e\)で極大値\(1/e\)をとります。
(2) (1)の結果より、\(e<α<β\)のとき、
\(logβ/β<logα/α\) が成り立ちますから、\(α/β<logα/logβ\)
また、\(0<1/β<1/α<<1/e<e\)ですから、
\(log(1/β)/(1/β)<log(1/α)/(1/α)\)より、\(-βlogβ<-αlogα\)から、
\(logα/logβ<β/α\) となります。よって与えられた不等式は成り立ちます。

【問題3】

(1) \(y^2=x^4(x+1)\)の概形を書いてください。(増減、極値、凹凸)
(2) 不等式 \(y^2≦x^4(x+1)\),\(x≦0\)をともに満たす部分の面積を求めてください。
(東北大)

【解答3】

(1) 定義域は、\(x≧-1\) この範囲で、与えられた式は、\(y=±x^2\sqrt{x+1}\)
この2つの曲線は、互いにx軸に関して対称ですから、\(y=x^2\sqrt{x+1}\)
を考えます。\(y’=(5x+4)x/(2\sqrt{x+1})\)
\(y”=(5x^2+24x+8)/(4(x+1)^{3/2})\) となりますから、増減、凹凸を考えて
グラフを書きます。\(x=(-12+2\sqrt{6})/15\)で変曲点になります。
(2) グラフから、求める面積は、
\(S=2\displaystyle \int_{ -1}^{1 } x^2\sqrt{x+1} dx\)ですから、
\(\sqrt{x+1}=t\)とおけば、\(S=\displaystyle \int_{ -1}^{1 } (t^2-1)・t・2tdt=32/105\)

【問題4】

(1) \(\displaystyle \int_{ -a}^{a} f(x) dx=\displaystyle \int_{0}^{a} (f(x)+f(-x)) dx\)
が成り立つことを証明してください。
(2) \(\displaystyle \int_{ -π/4}^{π/4} sin^2x/(1+e^{-x}) dx\) を求めてください。
(慶応大・医)

【解答4】

(1) \(x=-t\)とおけば、\(\displaystyle \int_{-a}^{0}f(x)dx= \displaystyle \int_{0}^{a}f(t)dt\)だから、
与式は成り立ちます。
(2) (1)の結果をもちいます。
\(\displaystyle \int_{ -π/4}^{π/4} sin^2x/(1+e^{-x}) dx\)
=\(\displaystyle \int_{0}^{π/4} sin^2x・(1/(1+e^{-x})+1/(1+e^x))dx\)
=\(\displaystyle \int_{0}^{π/4} sin^2xdx\)
=\(π/8-1/4\)

【問題5】

\(\displaystyle \sum_{ k= 1 }^{∞} 1/k^2\)は収束することが分かっています。(\(ζ\)関数の\(s=2\)の場合です。)
(1) これを用いて、\(\displaystyle \sum_{k= 1 }^{∞} 1/(k^2(k+1))\)が収束することを示してください。
(2) \(\displaystyle \sum_{ k= 1 }^{∞} 1/k^2\) および \(\displaystyle \sum_{k= 1 }^{∞} 1/(k^2(k+1))\)
の値(収束値)をそれぞれ \(S,T\)とするとき、\(S\)と\(T\)の間に成り立つ関係式を求めてください。
(入試問題です)

【解答5】

(1) 示されている無限級数は、有名な問題でバーゼル問題と言いますが、これを証明するのはかなり難しいです。これが収束することを前提にしたこの問題は、格段に易しくなります。

\(\displaystyle \sum_{k= 1 }^{n} 1/(k^2(k+1))\)
=\(\displaystyle \sum_{k= 1 }^{n} 1/k^2-\displaystyle \sum_{k= 1 }^{n} (1/k-1/(k+1))\)
=\(\displaystyle \sum_{k= 1 }^{n} 1/k^2-1+1/(n+1)\)
\(n→∞\)のとき、条件で第1項は収束し、第3項は、0に収束しますから、この級数は収束します。
(2) また、\(S=T-1\)

 

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