指導要領の改訂-世界に通用する教育課程になるのか-
新指導要領の2020年からの改訂について
2014年11月に、教育審議会は文部科学省に対して、今後の教育指導要領の改訂に関する諮問をいたしました。現在の日本の教育課程がグローバル化に追いついていないこと、暗記から考える能力のアップ、理数系の教育アップがその骨子になっているようです。
新指導要領の内容概略
今回の改訂は、小学校は2020年度(平成32年)、(ちょうど東京オリンピックの開催される利ですね。)中学校は21(平成33)年度、高校は2022(平成34)年度の入学生から順次、実施に入る見通しです。最大の改訂は、学校教育の重点を「何を教えるか」から「何ができるようになるか」に転換することです。そのために複合的な学習を含めるような学習方法を全面的に採用することだといえるでしょう。欧米では必須になっている討論やプレゼンテーションの教育も含まれるものと思われます。まだ先だと言う感覚もありますが、今の小学生にも、既に英語教育はなされていますが、中高一貫校の中学入試に英語が入ってくるのは、予定よりは少し早いかもしれないとも言われています。
新指導要領の基本的な考え方
諮問理由の中に、「育成すべき資質・能力を子供たちに確実に育む観点から、そのために必要な学習・指導方法や学習評価を充実させていく観点が必要」との一文があります。これからの時代に必要な資質・能力を「~ができる」という形で明確にし、学校の教育活動全体をとおして、実社会の中で役立つ力にまで高めようという考え方です。
アクティブラーニングの必要性
課題の発見・解決に向けて生徒が主体的・協働的に学ぶ「アクティブ・ラーニング」(能動的学習)という学習方法も検討されます。基礎・基本となる知識を軽視しているわけではありませんが、すべてを教え込むだけでは、社会で生きて働く力にはならないという考え方も込められています。テスト直前に必死に覚えるといった勉強の仕方は転換を迫られることになると考えられます。
新指導要領の目指すもの
諮問理由では、これからの時代に必要な資質・能力について、経済協力開発機構(OECD)の「キー・コンピテンシー」(主要能力)や国際バカロレアのカリキュラム、復興教育などを例に挙げています。また、今回の改訂は、「生きる力」の育成を目指した今の指導要領の趣旨を徹底しようという側面もあります。改訂を待たず、授業に影響を与える可能性もあると考えられます。
大学入試はどうなるのか
現在行われているセンター試験は、なくなる方向で検討されています。その代わり一発勝負のセンター試験ではなく、複数回の基礎学力テストが実施される事が検討されています。また、学校でも基礎学力テストが定期的に行われることになる方向が検討されています。試験の機会が増えることはいいことだと思われますが、ゆとり教育導入時の失敗は明確で、学力低下を招いています。これでは元も子も無いわけですから、慎重な議論をしていただきたいと思っています。