微積分基本演習・理系-解答編-
理系微積分の基礎
理系の数学には、数学Ⅲの微分積分の問題がよく出題されます。いずれも基礎が重要であることは言うまでもありませんが、計算スピード、正確性も極めて大切です。
ここでは、比較的基礎的な理系微積分の問題を取り上げてみましょう。
理系微分積分の基礎問題
【問題1】
曲線 \(C:\)\(y=e^{-x}\)上の点 \(P_0(0,1)\)における接線と\x軸\)との交点を\(Q_1\)とします。\(Q_1\)から\(y軸\)に平行な直線と、\(y=e^{-x}\)との交点を\(P_1\)とし、
\(P_1\)における曲線\(C\)の接線と\(x軸\)との交点を\(Q_2\)とします。以下同様にして、\(P_n、Q_n\)を定めます。2直線 \(P_{n-1}Q_n、P_nQ_n\)と曲線\(C\)で囲まれた図形を\(x軸\)の周りに回転してできる回転体の体積を、\(V_n\)とします。
\(V=\displaystyle \sum_{ n= 1 }^{∞} V_n\)を求めてください。
【解答1】
\(Q_0(0,0)\)とし、\(Q_n(x_n,0)\)とすると、\(P_{n-1}\)における接線の方程式は、
\(y=-e^{-x_{n-1}}(x-x_{n-1})+e^{-x_{n-1}}\)より
これが、\(Q_n\)を通るから、\(x_n-x_{n-1}=1\)
よって、\(x_n=n\)から、\(Q_n(n,0)\)となります。
\(V_n=\displaystyle \int_{n-1}^{n} π・(e^{-x})^2dx-1/3・(e^{-(n-1)})^2\)
=\(π/6・e^{-2(n-1)}-π+/2・e^{-2n}\)
従って、\(V=\displaystyle \sum_{ n= 1 }^{∞} V_n=π(e^2-3)/6(e^2-1)\)
【問題2】
\(p,q\)を正の整数とするとき、
\(I_{p,q}=\displaystyle \int_{0}^{1} t^p(1-t)^q・dt\) とおきます。
(1) \(q≧1\)のとき、次式が成り立つことをしめしてください。
\(I_{p,q}=q/(p+1)・I_{p+1,q+1}\)
(2) 次の式を証明してください。
\(I_{p,q}=p!q!/(p+q+1)!\)
【解答2】
いわゆるベータ関数を下敷きにした問題です。ガンマ関数も割合出題されています。
部分積分を使うだけの問題です。
(1) \(I_{p,q}=\displaystyle \int_{0}^{1} (t^{p+1}/(p+1))'(1-t)^q dt\)
\(=q/(p+1)\displaystyle \int_{0}^{1} t^{p+1}(1-t)^{q-1} dt\)
\(=q/(p+1)I_{p+1,q-1}\)
(2) \(I_{p,0}=1/(p+1)\)
また、上の\(I_{p,q}\)の漸化式を使って、
\(I_{p,q}=q/(p+1)・(q-1)/(p+2)・・・・・・・・・・1/(p+q)・1/(p+q+1)\)
=\(p!q!/(p+q+1)!\)
【問題3】
2つの曲線 \(x^2/9+y^2=1\)と \(\sqrt{x/3}+\sqrt{y}=1\)が第1象限で囲む部分の図形を\(x軸\)の周りに1回転してできる立体の体積を求めてください。
【解答3】
2つの曲線の交点は、\((3,0),(0,1)\)です。
2つの曲線は、\(y^2=1-x^2/9\)と\(y^2=(1-\sqrt{x/3})^4\)となりますから、
求める体積を\(V\)とおくと、
\(V=\displaystyle \int_{0}^{3} (π(1-x^2/9)-π(1-(\sqrt{x/3})^4 dx\)
=\(2π-π/5=9π/5\)
〔注) 後半の定積分は、置換積分をしています。
【問題4】
関数 \(f(x)=1/3・sin3x-2sin2x+sinx\) の 区間 \([0,π]\) における最大値と最小値を求めてください。
【解答4】
\(f'(x)=cos3x-4cos2x+cosx=4cos^3x+-8cos^2x-2cosx+4\)
=\(2(cosx-2)(2cos^2x-1)\) となりますから
増減を考えて、
最大値:\(2\sqrt{2}/3+2 (x=3/4π)\)
最小値:\(2\sqrt{2}/3-2 (x=π/4)\)