微積分の問題-難関大・解答編-

微積分の理系難関大の問題

難関大でも数Ⅲの分野である微積分に関する問題は結構出題されます。大学で学ぶ解析学の基本となるものですから、正確な知識と理解をし、計算力も磨いておきましょう。問題のリンクは次です。微積分-難関大の問題-

微積分の問題の解答

【問題1】

\(O\)を原点とする座標平面の第Ⅰ象限に曲線 \(C:y=f(x)\)があるとします。\(C\)上の任意の点における接線が、\(x,y\)軸の正の部分と\(P,Q\)で交わるとし、関数\(y=f(x)\)は2回まで微分可能とし、\(f’’(x)>0\)とします。このとき、線分\(PQ\)の長さが\(a(>0)\)となるような\(f(x)\)を求めてください。(頻出)

【解答1】

\(C\)上の任意の点\((t,f(t)) (t>0)\)における接線は、\(y=f'(t)(x-t)+f(t)\)から、\(P,Q\)を求めると、\(P(t-f(t)/f'(t)、0)、Q(0,f(t)-tf'(t))\) ここで、\(f(t)>0\)
よって\(PQ^2=((f(t)-tf(t))/(-f'(t))^2+(f(t)-tf'(t))^2=a^2\)
整理すると、\((f(t)-tf'(t))^2=a^2(f'(t))^2/(1+f'(t)^2)\)となります。
\(P,Q\)は正の部分にあることから、\(f'(t)<0\)がいえますから、
\(f(t)-t・f(t)=-af'(t)/\sqrt{1+f'(t)^2}\)が成り立ちます。
ここで、流通座標\((x,y)\)に置き換えて考えると、\(f(x)-x・f(x)=-af'(x)/\sqrt{1+f'(x)^2}\)・・・・・・・・・・①
①の両辺を\(x\)で微分すると、\(2・f'(x)-xf”(x)=-af”(x)/\sqrt[3]{1+f'(x)^2}^2\)から、\(\sqrt[3]{x/a}=1/\sqrt{1+f'(x)^2}\)従って、\(f'(x)=-\sqrt{(x/a)^{2/3}-1}\)・・・・・・・② ②を①に代入すると、\(x^{2/3}+y^{2/3}=a^{2/3}, (0<x<a) \) となります。これは、アステロイドの第1象限の部分です。

【問題2】

\(f(x)\)を実数全体で定義された連続関数で、\(x>0で0<f(x)<1\)を満たすものとします。\(a_1=1\)とし順に、\(a_m=\displaystyle \int_{0}^{a_{m-1}} f(x) dx (m=2,3,4,・・・・・・・)\)により数列\(a_m\)を定めます。

(1)\(m≧2\)に対し、\(a_m>0\)であり、\(a_1>a_2>・・・・・・・>a_m>・・・・・\)であることを示してください。
(2)\(1/2016>a_m\)となる\(m\)が存在することを証明してください。
(名古屋大 改)

【解答2】

(1) 数学的帰納法で証明します。
\(a_1=1>0\)です。
\(a_m>0\)と仮定すると、\(0<f(x)<1\)だから、
\(a_{m+1}=\displaystyle \int_{0}^{a_m} f(x) dx>\displaystyle \int_
{0}^{a_m} 0 dx=0\)
\(a_{m+1}=\displaystyle \int_{0}^{a_m} f(x) dx<\displaystyle \int_
{0}^{a_m} 1・dx=a_m\)
よって、数学的帰納法より、題意は成り立ちます。

(2) \(α\)を\(0<α<1/2016\)・・・・・①である実数とします。連続関数\(f(x)\)は、
閉区間\(α≦x≦a_1=1\)で最大値をもち、最大値を\(M\)とすると、\(0<M<1\)
ここで、\(a_m≧1/2016 (m≧1)\)・・・・・・・② と仮定すると
\(a_{m-1}>α>0 (m≧2)\)
これより、\(a_m=\displaystyle \int_{0}^{α} f(x) dx+\displaystyle \int_
{α}^{a_{m-1}} f(x) dx<α+M(a_{m-1}-α)\)
従って、\(a_m-α<M(a_{m-1}-α)<・・・・・・・<M^{m-1}(a_1-α)\)・・・・・③
③で\(m→∞\)とすると、\(\displaystyle \lim_{ m \to \infty } a_m =α<1/2016\)
となり、②に矛盾します。従って背理法により、\(1/2016>a_m\)となる\(m\)が存
在します。

(注)名大の問題は、2002年に出題されており、\(1/2002>a_m\)となる\(m\)が存在することを証明する問題でした。本問は、これを2016年版に変更したものです。何年でも通用する問題ですが。。\(2015\)年には、東大に、\({}_{2015}\mathrm{ C }_m\)が整数になる最小の自然数\(m\)を求めなさい、と言う問題が出題されています。さて、\(2016\)年はどうでしょうか。

【問題3】

関数\(f(x)=sinx\)に対して、\(n\)階導関数 \(f^{ ( n ) }(x) (n=0,1,2・・・・)\)を
\(f^{ ( 0 ) }(x)=f(x)\) \(f^{ ( n+1 ) }(x)= df^{ ( n ) }(x) / dx \)で定めます。また、任意の自然数\(n\)に対して、\(2\)つの関数\(y=x・f^{ ( n-1 ) }(x)及びy=f^{ ( n ) }(x)\)のグラフを、\(C_1,C_2\)とします。\(P\)が\(C_1,C_2\)の交点であれば、\(P\)における\(C_1,C_2\)の接線は、互いに直交することを証明してください。(京都大)

【解答3】

\(f^{ ( n-1 ) }(x)=g(x)\)とおくと、\(C_1:y=xg(x)、C_2:y=g'(x)\)
\(C_1,C_2\)の交点\(P\)の\(x\)座標を、\(t\)とおくと、
\(tg(t)=g'(t)\)・・・・・・・①
また、接線\(t_1,t_2\)の傾きを、\(k_1,k_2\)とすると、
\(k_1・k_2=(g(t)+t^2g(t))g”(t)\)・・・・・・・・②
\(f(t)=sint\)だから、\(g(t)=f^{(n-1)}(t)\)は、\(±sintまたは、±cost\)のどれかです。
どちらの場合も、\(g”(t)=-g(t), {g(t)}^2+{g'(t)}^2=1\)です。
よって、\(k_1・k_2=-1\)となるので、\(t_1,t_2\)は互いに直交します。

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