微分法、積分法 -なぜ微積分を学ぶのか-
微分・積分法について
微分積分は、ニュートンやライプニッツが作り上げて言ったといわれています。ただ、彼ら以前にも、微分積分法のアイデアは生まれていたようです。最初のアイデアをまとめたのは、ニュートンですが、現在使われている微積分の標記法は、ライプニッツが作り上げ、体系化したと言われています。\(dy/dx\)や\(f ‘(x)\) や\(∫\) などです。微分積分では、誰が最初に発見したのかも、この二人の間で争われています。自然科学では、こう言う事はままあることのようです。
近代の微分積分の考え方の応用フィールド
近代微積分学は、物理学の力学を数学的にあらわすために考えられています。ニュートンは、運動の法則を考えましたが、これを数式化するときに微分法を使っています。すなわち、ニュートンの第二法則としてよく知られたもので、ある質量mの質点にある力がかかった時には、\(m・d^2p/dt^2 =F\)であらわされます。\(p、F\)は空間における位置ベクトル、力のベクトルです。また、ある曲線の接線を求める時にも微分法を使うと楽に導けます。
積分は、微分の逆演算として定義されます。ある関数を微分したら元の関数になるものを、定数Cを含めて不定積分といいます。また、不定積分を用いると、ある領域の面積を求めることが出来ます。これを定積分と言いますが、高校で学ぶ定積分は、リーマン積分と言います。区分求積法をイメージすると考えやすいと思います。区分求積法は、閉区間を等間隔の長方形の和とし、これの極限を考えますが、リーマン積分は等間隔でなくても収束することが知られています。
大学の数学の積分法では、従属変数の方から考えるルベーグ積分を学びます。積分法は、面積を求める時に良く使われますが、逆に図形の面積を定積分で定義する方法もあります。
微分積分学以降の物理法則の数式化
微積分法が確立されて以降、物理法則は微分方程式で表される事が一般的になっています。例えば、電磁気学のマックスエルの法則も、3次元の微分方程式で表されていますし、量子力学もシュレディンガー方程式として3次元の微分方程式で表されます。これらは偏微分方程式となっておりますので、大学でその解法を詳しく学びます。色々な物理現象は、これらの微分方程式を解く事によって理解することが出来ます。
宇宙の物理現象も同様です。例えば、宇宙にはブラックホールが存在するといわれておりますし、実際にX線を発生する恒星が発見されたりしています。これはアインシュタイン方程式をある条件のもとに解くことにより、シュバルツシルド解として示されています。
但しアインシュタインの一般相対性理論も、重力、強い力、弱い力、量子力学の統一場理論の確立は出来ていませんし、ダークマターの存在、Higgs粒子がCERNで発見されて以来、相対論の見直しである標準理論と反対称性理論の研究が続けられています。
高校で学ぶ微分方程式は、相当簡単な微分方程式で、微分式=0で左辺の微分式が線形になっています。(つまり1次式ということです。)これを斉次1階常微分方程式といいます。これは、変数分離法で簡単に解けることになります。
極限について - \( ε-δ\) 論法への道 -
\(y=f(x) の x=a \)での微分係数を求めることは、この曲線での接線の傾きを求める事と同等です。図を書いてみればその様子がよく分かります。
接線の傾きは、lim(h →0 )((f(a+h) – f(a))/h=f ‘ (a) を求めることになるのですが、極限値は、数学的には厳密な議論をする必要があります。
通常は、lim(x→a) f(x) =b とf(x) のx→a の極限値は、bと書きますが、厳密には、いわゆるε-δ論法で議論しなければなりません。
これは、任意の実数εに対して、ある実数δが存在し、0<lx-al<δ ⇒ lf(x)-bl<εである事を論証しなければなりません。詳細は大学の教養課程で学びます。
上記の場合、接線の方程式が、\(y=f ‘(a)・(x-a)+f(a)\) となる事は容易に理解できると思います。
微積分に関する問題例
【問題1】
a>0の定数とするとき、全ての正の実数xに関して、不等式\(a^x≧a・x\) が成り立つとします。aを求めてください。(京都大)
【問題2】
an=\(\displaystyle \sum_{ k = 1 }^{ n } \frac{1}{\sqrt{k}}\), bn=\(\displaystyle \sum_{k= 1 }^{ n } \frac{1}{\sqrt{2k+1}}\) とするとき、\(\displaystyle \lim_{ n \to \infty }an\)、\(\displaystyle \lim_{ n \to \infty }bn/an\) をそれぞれ求めてください。(東大)